学齢期の子どもの療育というとみなさん、どこを思い浮かべますか?
養護学校に進学したお子さんは、療育についても考慮された教育を日々受けられるでしょうが、小学校の支援級に通うお子さんはどうでしょう。療育という面では少し不安に感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。
そんな小学校の支援級に通うお子さんの放課後の過ごし方を考えると、受給者証により料金面での負担が少ない放課後等デイサービスがまず思い浮かびます。遊び中心、お勉強中心、療育も考慮します、肢体不自由のお子さんも受け入れられます…など、それぞれの事業所さんによって特色や理念が違います。
そんな中、今回はもうひとつの選択肢として、京急北久里浜駅近くの横須賀YMCAが提供する発達障がい支援プログラム~「個別指導」と「ソーシャルスキルトレーニング」~トライアングルクラスを取材しました。
実際にこちらのプログラムを受講するお子さんは、市内の小学校の支援級や通常級に在籍。小学校低学年は保護者の付き添いで、高学年~中高生は自分で通ってきています。取材中、付き添いの保護者の方々が談笑している様子が印象的で、小学校の支援級の保護者同士はあまり接点がないので、親が交流できる場としても貴重だなと思いました。
『横浜YMCA発達障がい支援プログラム』とは
横須賀YMCAは、横浜YMCAに属する施設です。
そして『横浜YMCA発達障がい支援プログラム』は、学習や友だちとの関わりなどにつまづきを持つ子どもたちの発達をサポートすることを願って実施されているもので、横浜YMCAに属する地域でこれがあるのは横浜北YMCA(菊名)、湘南とつかYMCA(戸塚)、藤沢YMCA(藤沢)、そしてこの横須賀YMCAの4校のみ。なお、横須賀YMCAでは1995年にスタートしました。
※現時点(2016.05)で受給者証が使えるのは、横浜北YMCA 1校のみ。横須賀YMCAでは受給者証が使えません。利用料金については、詳しくは横須賀YMCAにお問い合わせください。
発達障がいのある子どもたちだけでなく、その周辺の同じような課題のある子どもを対象とし、ひとりひとりの学び方や特性に合わせた指導を行っています。
クラスを担当する指導者は、発達障がいの療育についての専門知識を持ち、日本LD学会等様々な研究会でも継続的な研修を受け、子どもたちのサポートを行うボランティアの育成も行い、きめ細かな指導を心掛けています。
トライアングルクラス
もっともベイシックな個別プリント学習とソーシャルスキルトレーニングのクラスです。
YMCAオリジナルプリント教材を使った「個別プリント学習」では、ひとりひとりに合わせた教材を使用し、学校の補修ではない“社会で生きていく力”を身につける学習を行います。「ソーシャルスキルトレーニング」では、遊びやスポーツを通じて、友だちの関わりや年齢に応じたマナーや社会のルールを学びます。
【指導と特色】
- 前半は、マンツーマンの「個別学習」、後半は「ソーシャルスキルトレーニング」
- ひとりひとりのための指導プランを準備し、YMCAオリジナル教材での学習
- 学期末に「個別報告書」を保護者に渡し、クラスの様子を報告
- 保護者会、個別面談を定期的に実施
- 季節ごとの長期休暇中には「宿泊プログラム」「デイキャンプ」など様々なプログラムを実施 ※別料金
※2016.05現在、B~Dクラスのみ開催(横須賀YMCA)。クラスの開催状況については、横須賀YMCAに直接お問い合わせください。
『ソーシャルスキルトレーニング』の流れ
■ABクラスの流れ(ある1日の活動例)
在籍/ 小学2~3年生
時間/ 17:00~17:45
活動名(ねらい)
あいさつ
スケジュール確認
ひとことトーク(話す/聞くスキル)
言葉集めビンゴ(語の想起・友だちに尋ねる言い方を練習する・声を揃えて発表する)
いろいろバスケット(ルール理解 ・リーダーの指示に注目して動くことができる)
ふりかえりの時間
絵本
あいさつ
■Cクラスの流れ(ある1日の活動例)
在籍/ 小学4~6年生
時間/ 18:00~18:45
活動名(ねらい)
あいさつ
テーマトーク 「GWにやりたいこと」(話す/聞くスキル・うなずき、あいづちをしながら聞く)
文字探し(友だちに声を掛けながら作業をする・準備と片付けができる )
仲間探し(自分から声を掛けることができる・質問のやりとりが適切にできる)
ふりかえりの時間
あいさつ
■Dクラスの流れ(ある1日の活動例)
在籍/ 中学1~高校3年生
時間/ 19:00~19:45
活動名(ねらい)
あいさつ
ひとことマスター「自己紹介編」(世の中の常識やマナーを学ぶ・場面に合った自己紹介を知る)
連想リレー (一般的な視点を知る)
買い物上手! (相談のスキル・値段の相場を知る)
ふりかえり
あいさつ
バランス運動プログラム
運動やグループ活動がちょっと苦手な子どもたちのためのプログラムです。
【バランスアップ・体操】
基本的な運動や、様々な運動種目にチャレンジしながら、身体づくりと学校体育への自信を高めます。順番を守る・ルールを守るなど社会性を身につけるように取り組んでいます。
【バランススイム・水泳】
水泳の経験に合わせてグループを作り、プールでの運動の楽しさを経験します。初めての子どもはプールに慣れることから始めています。
※軽度の発達障がいで、小グループでの活動ができる方が対象
※参加希望の際、事前にアンケートの提出と体験・面談が必要
※初めて参加の場合、1.000円の入会金とクラス費2カ月分を現金で支払い
横須賀YMCAの基本情報
〒239-0807 横須賀市根岸町3-3-15
電話/ 046-834-5811
FAX/ 046-834-8521
他にも幅広い年代に向けた様々なプログラムを実施。詳しくはHPで!>>http://www.yokohamaymca.org/branch/ymca_yokosuka.html
京浜急行線 北久里浜駅 徒歩3分
提携駐車場あります。(徒歩1分/割引チケット販売しています)
そもそもYMCAとは…
・キリスト教を基盤とする団体です。
・ボランティアとスタッフの協働により、団体運営・プログラム運営がなされています。
・非営利公益団体として地域のニーズに即したプログラムを提供しています。
・青少年はもとより、あらゆる年代・性別・宗教の人々がかかわっています。
・119の国と地域にひろがる国際団体です。
・ちなみにYMCAとは、日本語でキリスト教青年会(Young Men’s Christian Association)
▼横須賀YMCA主催『発達障がい理解講座』等イベントも開催
5月23日開催の模様は横須賀YMCAの公式ブログでご覧いただけます!!>>http://omoiwotunaguh.blogspot.jp/2016/05/blog-post_30.html
sukasuka-ippo代表・五本木愛の視点
障害児が通える習い事というのはやはり見つけるのが困難です。
プールなどは市でも障害児用のお教室があったりしますが、療育であったり勉強の補佐ができるような習い事というのは限られています。そんな中で、今回取材でお邪魔した横須賀YMCAさんのプログラムは貴重だと感じました。しかしながら、やはり人数の制限や「軽度の発達障がいで小グループでの活動ができる方が対象」とあるように個人の「できる範囲」がある程度必要だということ、放課後等デイサービスとは違って現時点では受給者証を使えないという点でやはり金銭的な負担が利用者にかかってしまうなど、利用できる人は限られてしまう一面も感じました。
とはいえ、見学させていただいたクラスのお子さんはみんな笑顔でとても楽しそう。個別の勉強に関しては集中力を保たせる訓練にもなりますし、集中力が切れてしまったお子さんへのサポートも的確でした。
後半はグループに分かれて意見交換をすることでコミュニケーションの練習をしたり…。
こちらも積み重ねることで慣れる、取得するというように、無理なく子供たちの成長に繋がっていると感じました。
本来であれば、このような障害児のための習い事がもっとあってしかるべきだし、せめてもう少し手軽に選択肢を持てるくらいにまで増えればいいのにな…と、今回の取材を通してその必要性を再確認しました。
2016.04.27
取材/ 五本木愛・Kyoko Aoyagi
文/ Kyoko Aoyagi
編集/ pototon
写真提供/ 横須賀YMCA
sukasuka-ippo
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