今年も障害者施策検討連絡会主催の『平成28年度障害者福祉に関する意見交換会#18』が総合福祉会館5階ホールで開催され、盛況でした。
前方左側には横須賀市の障害福祉課やこども青少年支援課、教育委員会の方々が並び、午前の部がスタート。
当事者の生の声があふれたメインの意見交換会では、障害をお持ちの方々が「お給料がもっと欲しい!」「地震が怖い!」などなどそれぞれの思いについて、障害児を育てる保護者も「てんかん座薬の小学校での扱いは?」「放課後デイサービスの情報を整備して!」「ことばの教室はどうして平日の午前中?」など活発に発言し、その場で市の担当部署から回答をもらったり、また意見を持ち帰ってもらったり…。
ということで、2時間半にわたるこの意見交換会(午前の部)の模様を速報ダイジェストとしてご紹介します。
当日配布された資料について、全てご覧いただけるように、各所にリンクを設けてあります。
【開催主旨の説明】自分が我慢すれば後に続く人にも同じ我慢をさせてしまう!?当事者の声は施策を変える第一歩
まず、意見交換会の主旨について、施策を検討するための意見を直接当事者から聞く大変貴重な場であるという説明が盛り込まれた主催・障害者施策検討連絡会代表のあいさつからスタート!
当日配布資料(PDF)>>主旨説明
今回の意見交換会のテーマは大きく2つ。
『もしもの時に備え』…東日本大震災や熊本の地震で困っている人たちのことを思いながら、この横須賀でも「もしもの時に備え」ということを今回のテーマのひとつに据えて考えてみようという提案がありました。
『障害者差別解消法』…2016年4月に施行されたこの法律では、これまで議論されていた『差別』に加え、『合理的配慮の提供』をしないことも差別だ、という視点が加わっています。この合理的配慮の提供について考えるために、日常での困りごとについても自分だけが我慢すればいいと考えるのではなく、どんなことでも積極的に発言して、みんなで考えていく必要があるという呼びかけがありました。
【障害者施策検討連絡会とは】
障害のある人の団体と支援者・家族の団体で構成されていて、障害の相互理解と障害のある人が地域で生活するための施策の検討と提言を行っている連絡会です。
【意見交換会】困りごとから願いまで、当事者の生の声から今の障害福祉が見える!?
それではお待ちかね!当事者の生の声をご紹介します。
当事者の思い・意見・困りごと
■シャロームで活動しています。シャロームのような施設が市内には1ヵ所のみ。施設をもっと増やしてほしい。[作業所利用者・女性(代弁)]
■麻痺があるので、買い物の時に床に落としてしまうことなどがあり、大変です。ヘルパーさんに一緒に外出して手伝ってほしいです。通う途中の道にいつも犬のうんちが落ちていて、困っています。(補足/障害をお持ちの方は道の障害物を避けるのもあまり得意じゃない。管理する部署の方に配慮してもらえたらと思います)[作業所利用者・男性]
■(新しくできたグループホーム)ピースカラー(単独型短期入所施設)の体験が楽しかったです。お泊り訓練をやっています。6月8日発売の雑誌の7月号が欲しいです。お給料がこれからも欲しいです。[作業所利用者・男性]
■作業所に行く途中の川をきれいにしてほしいです。お魚がかわいそうです。お給料とボーナスをもっといっぱいほしいです。障害者年金が少ないです。電車代が高いです。ヘルパーさんとグループホームをもっと増やしてほしいです。[作業所利用者・女性]
■お金の使い方がわからなくて困っています。病院代が高いのでもっとお給料が欲しいです。病院で自分のことをうまく伝えられないです。(補足/痛いことは伝えられますが、細かい症状を伝えることができません)グループホームで1人でいるときに地震が来たらどうしたらいいかわかりません。[作業所利用者・男性]
■会議室にあるような折り畳み式のテーブルについて、下に荷物置きが付いているものがありますが、車イスの人はこれがあると足がつかえて前に行けません。緊張が強い時は上に上がってしまうこともあります。荷物置きがない机をもっと増やしてほしいです。[車いす利用者・男性]
■現在10名の作業所の定員を15人に増やすためのお金がほしいです。署名活動を頑張っています。地震のニュースを見ると男女混合である場面が多く抵抗があります。消費税には反対です。戦争も反対です。[作業所利用者・女性]
■ヘルパーさんと映画を見に行きました。楽しかったです。これからも一緒に出掛けたいです。[作業所利用者・男性]
■ひとりで通勤しています。ひとりの時に地震がきたら、助けてくれる人が欲しいです。自分では探せないと思います。[作業所利用者・男性]
■地震のことが怖いです。道が狭いところが多いのでなんとかしてもらえるといいなと思います。[作業所利用者・男性]
■ダンプでも揺れるような建物なので、耐震診断等が必要だと思いながら、そのお金をどう捻出するか等、今後、考えていきたいと思っています。[作業所職員]
■ひとり暮らしを始めましたが、グループホームかケアホームについての情報がもっと欲しいです。[作業所利用者・男性]
■僕は一生懸命この場所に来たことを伝えたいです![作業所利用者・男性]
■グループホームに入る練習、ショートステイの練習がしたいです。もっとそういう場所を増やしてほしい。コンサートに行きたいのでお金が欲しいです。作業所でクッキーを作っていますのでどうぞ買ってください。[作業所利用者・女性]
■作業所で避難訓練をしています。津波が心配です。[作業所利用者・女性]
■グループホームではみんなで小学校に逃げることになっています。[作業所利用者・男性]
■グループホームの2階から滑り台で降りる練習をしていますが緊張します。[作業所利用者・女性]
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■京浜急行のバスで、車イスが乗れるバスを増やしてほしい。[作業所利用者・男性]
障害福祉課のコメント>>つい最近調べた結果では、横須賀市内を走る京急バスのうち、2/3がノンステップバスになっています。京急バスとは直接顔を合わせて話す機会があるので、今日のご意見をお伝えしたいと思います。
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■両親の高齢について心配です
・おかあさんが年を取ってしまい、心配です。忘れることが多いです。僕もイライラしています。僕もどうしようか不安です。[作業所利用者・男性]
・おとうさん、おかあさんの面倒をみたいです。これからもずっと一緒に暮らせるようにしてほしいです。私が面倒をみます。宜しくお願いします。[作業所利用者・女性]
障害福祉課のコメント>>ご両親のご健康についての悩みはあるかと思いますが、高齢化ということで課題を感じた場合は、高齢福祉課や介護保険課など相談窓口がありますので、おひとりで抱え込まずに早めにご相談ください。
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■基幹相談支援センターについてよくわからない。
発達障害についての相談はカナックにしてもらっていたけれど、それがなくなってしまい、発達障害支援相談は電話ぐらい。横須賀にもそういう相談窓口を作ってもらいたいです。特に、新しくできる基幹相談支援センターの中に発達障害の支援センターの機能もつけてもらうことはできますか。[発達障害支援相談利用者・男性]
障害福祉課のコメント>>基幹相談支援センターの計画には発達障害の方の支援も含まれます。手帳をお持ちでない方も相談の対象としています。ワンストップでの対応できればいいですが、それができない場合には適切な相談機関を紹介させてもらいます。
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障害児者の親や支援者の困りごと・質問・意見
■移動支援サービス利用時のトラブル、どこか仲介してほしい。
当事者同士(移動支援事業者と利用者)で話し合うのは角が立ってしまうのでどこか仲介に入ってくれるところがあれば教えてほしいです。移動支援を利用している時のトラブル(時間通りに来てくれない、時間より早く着いた時に迎えがいなくても子どもを置いて帰ってしまう…など)について、そういう事業者にどこが指導してくれるのか、困った時に利用者がどこに訴えればよいのかわからないので窓口を教えてください。
障害福祉課のコメント>>その場で、事業所に言うのが一番だとは思いますが、それが難しい場合、障害福祉課の方で何らかの形でお話を伝えることはできると思います。
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■18歳以上の放課後デイサービスの利用について…
放課後デイサービスの利用について、18歳以上は利用できないと聞きました。どこに相談すればよいか、18歳以降はどのような制度を利用できるのかなど、情報をアナウンスをしてほしいです。
障害福祉課のコメント>>18歳以上についてもそれぞれの特性に応じて色々とご案内できます。是非、前もって障害福祉課にご相談ください。
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■支援学級の先生方の指導力の向上、国立特別支援教育総合研究所など横須賀にある研究機関をもっと利用してほしい!
娘は障害児で小学校への就学を来年に控えています。2016年4月に施行された『障害者差別解消法』によって支援級のかたちも変わっていくのかなと思うのですが、支援級に入ってくれる先生方の質の向上が支援級全体の充実に繋がるのではと考えています。横須賀市内に国立特別支援教育総合研究所(特総研)があり、全国から支援級に携わる先生方が研修に集まっているというお話を聞きに行った時に、残念ながら横須賀市からは研修の要望があまりないということを伺いました。せっかく横須賀にある専門機関を活用できないのはとても残念だと思います。[ひまわり園保護者会会長/sukasuka-ippo代表・五本木愛の発言]
教育委員会のコメント>>支援学級の担任の指導力の向上については、教育委員会でも大事なことだと認識しています。毎年、特別支援学級の担任のための研修を企画していますが、それで十分だとも思っていません。この課題については、今後も研修を積み上げていきたいと考えています。特総研については、支援学級の教員が実際に研修を受けるのは日程的にも難しいのですが、特別支援学校やろう学校などでは数年に1回、研修を受ける機会があります。その他、国大の研修に1年間出るということもやっています。こちらについては教員が参加できるように体制を整えています。
sukasuka-ippoでは、この国立特別支援教育総合研究所を取材し、記事にまとめています。(関連リンク)>>【取材File】国立特別支援教育総合研究所
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■ことばの教室の利用はどうして平日の午前中だけなの…
吃音のある小学校低学年の娘について、就学相談の際にことばの教室があると案内があったけど平日の午前中のみ。通う時間も考えるとその曜日は毎週、午前中かかってしまうこともあるという説明。どうして、学習時間とことばの教室を天秤にかけなくてはいけないのか。他の授業を抜けてという時間帯ではなく、放課後など通いやすい時間に利用できないのには何か事情があるのでしょうか。[ひまわり園保護者/sukasuka-ippo・pototonの発言]
教育委員会のコメント>>子どもたちの学習の保障という点での心配はよく理解しています。しかし、『ことばの教室』に配置される教員は、毎年、ことばの教室を利用するお子さんの人数に応じて県から教員が配置されています。高学年のお子さんについては、放課後の時間を利用できる機会を確保していきたいと考えています。低学年のお子さんについてはやはり平日の午前中や5時間目の時間帯での利用をお願いしています。基本的には1年間を通して週1回利用してもらうことになりますが、毎回、同じ教科が受けられないということにならないように、担任の先生と時間割を調整するなど配慮しています。まだまだ環境も不十分、もう少し丁寧な説明をできるように心がけ、また指導内容の質の向上にも努めます。今回の質問の内容については、多くの保護者から声が挙がっているので、持ち帰って考えていきたいと思います。
sukasuka-ippoでは、この「ことばの教室」について、改めてその役割や意義などを調べて、記事にまとめたいと思います。
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■駐車禁止除外標章について、子どもに応じて配慮してもらえませんか?
ひまわり園の保護者です。子どもは年中の重度知的障害を伴う自閉症で、最近は多動も出てきました。車で買い物に出かけた際なども、車から降りるなり親の手を振りほどいて駆け出してしまい、危険を感じています。駐車禁止指定除外車両の標章については対象がA2からとなっているようですが、うちの子の療育手帳はB1で対象外です。事情に応じて、例えば、手帳の級数とは別に主治医の診断書などがあれば発行できるなどの配慮が欲しいです。また、障害者マークを車につけて、障害者用の駐車スペースを利用することもあるのですが、外見からはわからない障害なので、周りから理解をされず困ることがあります。
障害福祉課のコメント>>駐車禁止指定除外標章の発行は警察署が権限を持っています。こうしたケースについて、これまで障害福祉課で警察署の考えを聞いたことがなかったので、近いうちに警察署と情報交換の場を設けてみたいと思います。
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■小学校でのてんかん発作時の座薬の扱いについて
保護者>>娘は現在、ひまわり園に通園しています。てんかんの発作時に使用できる座薬の扱いについて、厚生労働省や文部科学省からは色々な通知や通達が出ているようですが、各自治体により対応はまちまちのようです。娘の就学を考えるにあたり、横須賀市の学校では座薬に対応してもらえるのかを教えてもらいたいと思います。対応できないということであればその理由もお願いします。[ひまわり園保護者・ぱぱりんの発言]
教育委員会のコメント>>座薬等の対応については、医療行為が※が必要になると思いますので、現在、看護師が常駐している市立養護学校においてはしっかり対応しています。通常学級や支援学級では、まだ相談や対応の例がないので、ここでお返事できる段階にありません。今後、個別の就学相談の中で早めにご相談いただきながら話をしてきたいと思います。
保護者>>実際に相談が上がってきていないということでしたが、当事者の中では学校に断られたという話も聞いています。そういう体制についても見直していかなくてはいけないなと思います。教育委員会としての座薬についてのお考えを聞かせてください。
教育委員会のコメント>>座薬について、医療行為※となると誰でもができることではありません。持ち帰らせていただき、検討したいと思っています。
sukasuka-ippoでは、この座薬について発言者ご自身にお話を聞いたうえで、※『医療行為』という部分については、事実と異なる部分があり、補足が必要と考えましたので、補足資料として以下の外部リンクの閲覧をご提案します。
学校で対応できる旨などが示された厚生労働省や文部科学省の通達(外部リンク)>>通達文書(ドラベ症候群患者家族会HP掲載)
園・学校の先生方のためのてんかん情報サイト(てんかん知識の簡易版、校内研修などで活用いただける説明資料なども公開されています)UCB社のホームページ(外部リンク)>>てんかん for School
「てんかんfor School」サイト内の「てんかん座薬の学校での扱い」について(外部リンク)>>てんかん for SchoolQ&A
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■熊本地震の被災地を見て、避難所の改善を願う
熊本の地震を経験し、横須賀に来ています。友だちから重度のお子さんが入っている入所施設が震災でダメになり、避難場所がなくて夜は車の中で寝たりという生活が続いているという話を聞きました。多くの障害者に適応できるマニュアルを準備しておいてほしいです。
障害福祉課のコメント>>市内の小中学校に一次避難が設けられていて、その中での生活が難しいというような障害をお持ちの方については、耐震設備がよりしっかりしている二次避難所が市内6ヵ所にあり、そこに移れるようになっています。さらに特別なケアが必要な方については、3次避難所としてしっかりしたところと協定を結んでいるので、そちらと連携を取って対応していきます。
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■アメグストで精神障害の方の支援をしています。
基幹相談支援センターができることにより、日中のたまり場(地域活動支援センター)や自分の居場所がなくなるのではないかという心配の声がアメグスト利用者から出ています。そのあたりについてお聞きしたいと思います。
障害福祉課のコメント>>基幹相談支援センターについてのご心配について、その部分は重要な場所であると考えています。グループホームの入所については、障害福祉課に一覧表の用意もあるので、ご相談いただければイメージ等のご説明も含めて対応させていただきます。
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■精神障害をお持ちの方や引きこもりの方にも災害対策が必要だと思います。
障害福祉課のコメント>>個々のケースによって、外出できる範囲も違いますし、また相談窓口にいらっしゃれない方もいると思いますが、このような心配事をきっかけに相談していただければと思います。
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■ここ最近で増えた放課後デイサービスについて…
中2・小4に子どもがいます。ここ最近、放課後デイサービスが増えてありがたいのですが、それぞれの事業所がいろいろなサービスを打ち出しています。色々な障害のお子さんがいて、その打ち出した目標ができていないとか、資格のない方もいらっしゃって、そこは保護者がよく見て選ぶしかないという印象。もう少し全体を整理して放課後デイの特色なりを見比べられるような基準を作ってもらえたらいいなと思います。
こども青少年支援課のコメント>>放課後デイサービスに特化したものではありませんが、移動支援サービスなども含めた事業者連絡会は療育相談センターにあり、情報交換はされていると思います。放課後デイサービス自体が比較的新しいサービスなので、まず数を増やすことを目指しているので、あまり規制ない中で増えている傾向はあります。規制をかけていく方向での話も進んでいますし、事業者同士の連絡の中で検討されている状況です。
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■気管切開をしている子の就学にかかる送迎について…
ひまわり園保護者です。気管切開をしている年長の子がいて、次は就学となりますが、気管切開をしているので移動手段は親の送迎に限られます。気管切開をしているので痰の吸入が数分に1回必要という状況。常にどこかに車を停車させて吸入するか、赤信号の間に急いで吸入するのが現状。就学しても、学校のバスも利用できず、移動支援も保護者も一緒という条件でのみ利用できるので親が学校から戻る手段がなく利用の機会は限られます。近い学校を選ぼうにも医療行為があるので受け入れ可能な学校は、片道30分かかる市立養護のみ。そうした保護者の負担や事故につながる危険性をどうしたら解消できるのか、教えていただきたいと思います。[ひまわり園保護者/sukasuka-ippoメンバー・ゆっぴーの発言]
教育委員会のコメント>>回答なし(持ち帰って検討していただけるようです)
・・・
以上の意見交換会の参加者の発言内容は『sukasuka-ippo(すかすかいっぽ)』が当日の取材メモをもとにまとめた速報ダイジェストになります。何かお気づきの点がございましたら、お問い合わせフォームからご連絡ください。
掲載内容については、主催者である障害者施策検討連絡会に大きな齟齬がないかのみを監修してもらっています。公式な意見交換会の報告については、後日、主催の障害者施策検討連絡会から文書で公開される予定です。
『sukasuka-ippo(すかすかいっぽ)』メンバー、またはひまわり園保護者の発言について、発言者本人より補足説明があるものについて、そして最後に掲載した参加者の感想については、障害者施策検討連絡会監修の対象外となりますので、その旨を明記した上で、別途記事にまとめてリンクでご紹介させていただきます。
【2016年度の障害者施策】去年からどこが変わった?障害福祉課と教育委員会から平成28年度の障害者施策について説明
障害福祉課と教育委員会から説明があった平成28年度に変更等があった事業内容については、以下のリンクでご覧いただけます。
また、28年度の予算に対する障害者施策検討連絡会からの要望についての回答については書面にまとめられ、当日配布されました。こちらについては、以下のリンクからご覧いただけます。
当日の配布資料>>PDFが開きます
注目!>>平成28年度予算要望への回答
【分科会からの報告】障害者の今がわかる!行政に近い議論の場ではこんなことが話し合われています
この意見交換会を主催した障害者施策検討連絡会は、主に3つの分科会があります。
- 教育分科会…障害児の教育や子育て世代の困りごとについて議論しています。
- 生活支援分科会…障害者の生活全般について議論します。(防災ワーキング・医療ワーキング)
- 就労分科会…障害者の就労について話し合います。
それぞれの分科会からの報告には、まさに障害児者が今直面している問題が浮かび上がってきました。
当日の配布資料>>PDFが開きます。
sukasuka-ippo代表・五本木愛の視点
私は昨年に引き続き、意見交換会には2度目の参加となります。そして、昨年同様、やはりとても勉強になる会でした。
私たちはまだ幼少期の障害児を育てる親ですが、実際に大人になられている障害者の方々の意見を直接、お顔を見ながら聞くことで我が子の将来や成長に応じたビジョンを思い描くきっかけにもなるかとも思います。
今回の意見交換会については、私が昨年度から会長を務めさせていただいているひまわり園保護者会の定例会でも「都合がつく方は意見交換会へ是非!」とご案内しました。結果、昨年よりも多くの保護者の方が参加し、意見を発言されていたのを見て、ひまわり園の一歩外へつなぐお手伝いができたのかなと思いました。
そして、私自身も今年度は「障害者差別解消法」が施行され、あらゆる意味で形が変わるであろう支援教育について意見を述べさせていただきました。
発言した内容については、今すぐどうにかなるということではないかもしれませんが、こういったたくさんの方々がいらっしゃるところで発言をすることが、ひとつの前進につながると思っています。私たち幼少期の障害児を育てる保護者が今、できることを真剣に考え、発信することの大切も改めて感じました。
来年も是非、参加させていただきたいと思います。
がらっぱちの感想ノート
去年に続き、今年も参加させていただきました。今年はsukasuka-ippo(すかすかいっぽ)のパンフレットを資料に挟み込ませていただき、是非、ひとりでも多くの方に注目していただけたらいいなと思いました。
受付で来場された方に資料を渡していたら、『(この催し)面白い?』と聞きながら資料を受け取るおやっさんがいました。残念ながら、前半の市役所の方からの事業説明の途中で会場を出ていかれました。「あぁ~!後半戦の意見交換がおもろいですよ~!」と一言添えれば良かった!!やはり、当事者ももちろんだけれども、一般の人にも障害福祉について知ってもらうきっかけだったかもしれなかったなと…。
障害を持っていて、自分のお給料も十分に確保するのが難しい状況で、年老いた親の心配をし、はたまたそんな親を支えたいだなんて…。司会の海原さんも仰ってました。『まずは共有することから』って。みんなに知ってほしいと思いましたよ。
ぱぱっぱち(がらっぱちのご主人)の感想ノート
2時間半という短い時間で効率よく進行するために、ある程度の質問や意見は、事前に集計して市や教育委員会で解答をまとめて欲しいなと思った。一部の意見のようにすぐに返事が出ないような質問について、明確な返事が聞きたいなと思ったし、質問を持ち帰って、また1年かけての回答になると遅すぎると正直思う。ホームページとかで回答が閲覧できるようになれば便利だなと思う。
【sukasuka-ippoからの補足】
このような初めて会に参加された人が持たれるであろう感想については、まず施策検討連絡会の仕組みをご説明する必要があると思います。
実は、この意見交換会のように当事者が自身の意見を直接、公に発信できる場は実はそう多くありません。
通常、各障害者団体が団体や所属する個人の要望を取りまとめて、それを精査しながら少しずつ形を整えて、文書として行政に届け、行政からその回答を得るという一連の流れには1年ほどの時間がかかり、それを取りまとめているのがこの意見交換会を主催している障害者施策検討連絡会。
意見要望がとりまとめられ、行政から回答を得るまでの流れを並べてみると…
01.各グループや団体で要望をまとめます。
▼
02.各分科会でその要望を発言します。
▼
03.各分科会で出された要望を施策検討連絡会で整理します。
▼
04.横須賀市の予算編成の前に要望書として提出します。
▼
05.要望の背景について横須賀市の担当部署と懇談します。
▼
06.要望書への回答を予算決定後(翌年の5月ごろ)文書でもらいます。
▼
07.意見交換会を開催、回答を書面で配布する一方で、当事者が活発に発言。
▼
01.に戻って各団体での意見要望のとりまとめ(意見交換会での発言も盛り込む…)
・・・
となり、01〜07を繰り返しながら、毎年、丁寧に要望を届け、回答をもらうというサイクルがあるので、要望と回答の間にはどうしてもタイムラグが生じてしまいます。
ともあれ、各情報公開の即時性はやはり当事者の求めるところであります。そこで、私たちsukasuka-ippoは、分科会や施策検討連絡会、そして今回のような意見交換会に参加させてもらいながら、その内容をわかりやすいかたちでみなさんに届けるお手伝いができればいいなと思っています。ただ、これはあくまでも速報なので、最終的には施策検討連絡会の公式の発表内容を確認する必要があります。
ゆっぴーの感想メモ
昨年、初めて参加し、今回2回目の参加をさせていただきました。昨年同様、会場には当事者の方や私たちのように障害のある子の親など、多くの方が参加され、ご夫婦で来られている方も多く、心強く感じました。
この意見交換会の醍醐味は、当事者の生の声を聞くことができること。また、私たちの質問にその場で市の職員の方から返答をいただけることです。
私自身が質問した気管切開児の送迎については、窓口で個人的に相談してもどうすることもできなかったもので、なかなか解決には至らない難しい問題ではありますが、私たちの困り事・願いを多くの方に知っていただくことができたと思います。市の職員の方々には是非とも解決するための話し合いをたくさんしていただき、当事者も家族も周りの人も笑顔でいられる解決法が見つかるきっかけになればいいなと思いました。
とはいえ、大勢の人の前での発言は、とっても緊張してしまい、声が震えてしまいました!私の想い伝わったかな…
ゆかねこの感想メモ
私は今年初めて参加させていただきました。
去年の様子は仲間を通じて聞いており、当事者の生の声を聞けるということで、とても楽しみにしていました。
実際、今日この場で、一生懸命自分の言葉で思いを伝える当事者の方々の姿を見て、胸が熱くなりました。
「川が汚れているからきれいにして欲しい、魚がかわいそう」といったような素直な感性や、「お父さんお母さんの面倒は私が見ます!だからこれからも一緒に暮らしたい」と、切実な強い意志が感じられたり。
やはり母目線で聞いてしまうので、自分の子どもの将来と重ね、今まで全く想像できなかった大きくなった息子の姿が、垣間見えたような気がしました。と同時に、これは何とかしなくてはいけない、と実感させられた瞬間でした。
理想を掲げるのは簡単ですが、問題はそれをどう形にしていくか・・・発案から実行まで、またそこから試行錯誤を繰り返しながら定着していくまでを考えると、きっと数年では済まないことだと思います。
だからこそ今、できることから始めなければと考えさせられました。
今回は私自身まだまだ勉強不足ということもあり、ひたすら皆さんの発言に耳を傾けてメモをとるのが精いっぱいでしたが、来年また参加できる機会があるならば、自分の意見として何かを発信できるようになっていよう、と思いました。
Kyoko Aoyagiの感想ノート
2度目の意見交換会。
当事者の生の声を聞けるとても貴重な会でした。自分と同じように障害児を持つ親御さんが今、どういった問題に直面しているか、そして、まだまだ小さい障害児の子どもたちが、将来どういう思いを抱えるのかを知ることができ、いろいろ考える良い機会となりました。
今後、このたくさんの方の貴重な意見を、行政がどのように検討・改善していくのかに注目したいと思います。
misaの感想ノート
今回初めての参加で、当事者の生の声が聞けて本当に勉強になりました。
最初は、開催主旨や分科会の報告など難しい話が多い中、年長の息子がこの場にいたらきっと飽きて落ち着きなくなるだろうなと思ってしまったけど、障害当事者のみなさんがきちんと椅子に座り、人の意見に耳を傾け、時に手をあげて意見を言う。本当に素晴らしいなと思いました。
意見交換会では、30名くらいの方が意見を述べていました。その中でひまわり園の保護者も5名が手を挙げて発言していました。親として切実に感じる問題ばかりでした。
移動支援や放課後等デイサービスのお話もあって、放課後等デイサービスがたくさんできているから、まとめて見れるようにしてほしいという意見には、ぜひ『sukasuka-ippo』のサイトを利用してほしいなと感じました。
他には、当事者の方が手をあげ、特に多かったのが災害についての不安な気持ちやお給料の問題。
司会の海原さんの最後の言葉がやはり印象的で『共有することから、知恵や工夫が出てきて少しずつ変わる力になる』
やっぱり何でも言い続けていくことが大切で、その声が少しずつ形になっていけば良いなと感じました。
ひまわり園保護者・ぱぱりんの感想ノート
行って良かったです!
教育委員会や障害福祉課の方々に「てんかん児が抱える坐薬問題」についての話を直接聞いてもらえて、質疑応答もできました。顔を見ながら話せる貴重な機会で、すごく有意義な時間でした。
教育現場での坐薬挿入については今一度精査していただき、対応をお願いしたいと思います。
このような意見交換会が開かれることを情報発信してくださったひまわり園保護者会には感謝いたします。
今後とも当事者が声を上げていくことが大切だと思いました。
ひまわり園保護者・もりりんの感想ノート
なんと言っても、当事者の方のお話が本当に心に響いてます。
紙を見ながら、一生懸命自分の言葉で話している当事者の方の姿には「頑張って!」って心の中で応援してました。
そして、高齢になられた親御さんを心配する声や、ずっとお母さんと一緒にいたいという話は、思わずハンカチを取り出しました。誰も泣いてないだろうなって周囲を見渡したら、五本木さんも泣いてた(笑)
今は、娘がただ生きていてくれるだけで充分!という思いがありますが、やはり、当事者の方の話を聞くと、自分の気持ちや、してほしいことは、ちゃんと伝えることが大事だと思いました。
本人のことを考えると、せめて自分で助けを求められるくらいには育ててあげたい、いや、育ててあげなければと感じました!
・・・
取材日/ 2016.06.16
取材/ 五本木愛・misa・がらっぱち・ゆっぴー・ゆかねこ・Kyoko Aoyagi・pototon
編集/ takeshima satoko
情報監修/ 横須賀市障害者施策検討連絡会(一部対象外)・横須賀市(回答部分について)
sukasuka-ippo
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