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【取材File】ゆったり暮らす、そんな生活もいいじゃない!?作業活動ものんびり!知的障害者を対象とした生活介護の入所施設『横須賀ヘーメット』

今回、取材でお邪魔したのは、横須賀市長井にある障害者支援施設『横須賀ヘーメット』。

 

畑が広がるのどかな立地にあるこちらの施設は、知的障害の方を対象とした、生活介護の通所・入所施設です。

・・・

取材では、利用者さんが個々の空間でゆったりと生活されている様子を見学し、お話を伺ってきました!


▲横須賀ヘーメット・支援課長の安田さん(左)とsukasuka-ippo代表・五本木愛(右)

入所施設って?どんな方が利用しているの?

  • 入所施設とは、障害のある方が家族と離れて暮らす生活の場です。
  • こちらでは横須賀市・三浦市内の比較的重度の知的障害(支援区分4以上)をお持ちの方を受け入れています。
  • 入所の定員は40名。2017.3現在、男性26名・女性14名の利用者さんが入所しています。
  • 31歳から73歳までの方が同じ空間で生活しています。平均年齢は49歳になります。(2017.03現在)

その他、通所と短期入所もあります!

  • 短期入所の定員は4名
  • 通所の利用定員は10名

実はこちらの横須賀ヘーメットさんの立地は独特で、目の前の駐車場を挟んで向こう側が三浦市になります。なので、短期入所については、短期入所の施設がひとつしかない三浦市の方の利用も多いです。

気になる『ヘーメット』の由来は・・・

『ヘーメット』はスウェーデン語で『ホーム・家』。

理事長が昭和40年代後半にスウェーデンに行った際に、「こういう家をつくりたい」と思ったのが名前の由来なんだそう。

平成13年に開所し、その後、平成19年に法人が社会福祉法人かながわ黎明会から独立してよこすか黎明会となり、1法人1施設1グループホームというかたちで現在まで運用しています。


▲理事長が作詞作曲した「ヘーメット讃歌」もあります。

それでは施設内を見学!生活のメインである居住スペースから

[1F] 男性フロア‐デイルーム&居室


▲デイルームに集まったみなさんはのんびりくつろいでいらっしゃいました。

居室は基本2人部屋で、タイプは3種類


▲こちらは和洋室タイプ。畳ベッドになっているので、昼間は座って過ごすことができ、夜は布団を敷いて寝るというかたち。


▲こちらは和室タイプ。寝具もそれぞれの特性に合わせて選んでいます。


▲フローリングに、マットレスを敷いた低層タイプの寝具。

利用者さんに合わせて過ごしやすい空間づくりを工夫


▲もともと2人部屋でしたが、自閉傾向が強い方のために仕切りを設けて1人部屋にしてあります。


▲てんかん発作がある方のお部屋は、ぶつけてもケガしないように床や壁にクッション素材を貼っています


▲高齢の方のためのリクライニングべッドもあります。


▲好きなもののポスターやグッズを飾るのは利用者さんの自由!男性は比較的飾り気がない部屋が多いのですが、このように利用者さんの趣味が窺えるお部屋もあります。

人が集まるデイルームの他に、静かに落ち着いて過ごせるデイルームもあります。


▲主に静かに過ごしたい方はこちらでテレビを見たり、ゆったりできるリビングのような空間です

[2F] 女性フロア-デイルーム&居室

2階の女性フロアも、1階と同じ配置です。


▲みなさんデイルームに集まり、くつろいでいらっしゃいました。


▲集団からちょっと離れてのんびりできるデイルームが2Fにもありました。


▲晴れた日は、窓からこんなにのどかな畑の風景が一望できます。


▲高齢により認知症の症状が出てきた利用者さんのために、お部屋の前に写真つきネームプレートをつける工夫もみられました。


▲男性の部屋と違って、本やぬいぐるみ、小物など、好きなものでかわいくデコレート。


▲寝具は施設のものもありますが、女性の利用者さんはそれぞれ好きなものを持ってきて使われる方が多いのだとか。

【気になるpoint】持ち込みは基本的には自由!

テレビ・CD・ラジカセなどを持ってきている方が多いです。

ただし・・・
・たばこは預かります
・持ってきたものを他の利用者さんが壊してしまうケースもあるので、そのときはお互い様!

などいくつか注意点もあるそうです。

短期入所のお部屋も見せてもらいました。

『横須賀ヘーメット』では短期入所として4名まで受け入れをしています。


▲和洋室のお部屋

 [1F]日当たりの良い明るい食堂。食事はみんなで一斉に!


▲80席あり、朝・昼・夕の3食をここでみんなで食べます。

【気になるpoint】

  • 食事は、ハーベストという会社に委託していて、3食×365日提供してもらっています
  • 食形態は、普通食~ペーストまで4段階
  • てんかんをお持ちの方や、咀嚼や嚥下に問題のある方は職員がついて一緒に食べます

[1F・2F]工夫いっぱいのトイレ。必要に応じて手すりやカーテンを設置

トイレは1Fと2Fで合わせて4か所。


▲立ち便器にも手すりを設置


▲トイレットペーパーはよく流されてしまうので、カギつきのペーパーホルダーで防止!
ちなみに通販で買えるそうです。

✅2017.04に不具合箇所を修繕予定

[1F・2F]安全性が配慮された浴室。入浴は利用者さんの状態に合わせて時間で区別。

浴室は2か所あり、1Fが男性、2Fが女性です。


▲こちらは1階男性の浴室。床も壁もブルーを基調としています。


▲2階の女性の浴室はピンクの壁と床。


▲浴室はすべりやすいため、入浴時はマットを敷いて利用します。


▲てんかん発作がある方などは腰のベルトを使ってしっかり支えます。


▲シャンプーやボディソープは施設で用意したものもありますが、女性はそれぞれ個人持ちをされる方が多いのだとか。
使いたいものを自分のお小遣いで買ったり、親御さんが持たせてくれたりします。


▲寝たまま上下して入浴できる介護浴槽もあります。

【知りたいpoint】

  • 入浴は1日2回に分けています
    【16時~】てんかん発作のある方やご高齢の方が先に入浴。施設内に看護師がいて、かつ病院が開いている時間帯なので、何かあってもすぐ対応できるようにしています。
    【19時~】比較的健康面の問題のない方が入浴します。
  • 10-5月は週に4回、6-9月は週に6回、男女別に曜日を決めて、入浴できるようにしています。

[1F]洗濯・リネン室。入居者さんの洗濯物はその日のうちに洗ってお返し!

こちらでは入所者40人分の洗濯物を、朝預かってその日のうちに返すようにしています。

強いこだわりをお持ちの方は、その日の内に洗濯物が返ってこないことでパニックを起こすこともあるのだそうです。


▲洗濯乾燥機、フル稼働中!


▲毎日これだけの量になるから大変!量が多いため、洗濯の介助員を専門で雇っています。

また、午後の洗濯物たたみには女性の利用者さんが1人、手伝いに来てくれているほか、ボランティアセンターの方にもお手伝いいただいています。

[1F]医務室・理美容室。普段は看護師が常駐し、内科や精神科は回診、歯科治療もできます!


▲こちらが医務室


▲隣の理美容室には歯科診察台も設置!ここで治療ができます。

【知りたいpoint】

  • 月~金の9~17時は看護師が常駐しています。
  • 医師の回診は、内科 月1回・精神科 月2回・歯科 月1回 です。

次は廊下で繋がる作業棟へ

鍵付の扉で仕切られた居室棟を後にして…


▲廊下でつながっている作業棟へ移動。


▲窓の外には、中庭と先ほど見学した居室棟が見えます。

壁には利用者さんの絵がズラリ!

 [2F]作業指導室。作業は利用者さん個々に合わせたものを用意。


▲明るい光が差し込む作業室

以前は全員こちらで作業していましたが、中にはこの場所では落ち着かず、あまり取り組めない利用者さんもいらっしゃいました。そういう利用者さんは居住スペースのデイルームに作業ボックスを置いて、気が向いたときに部屋から出てきてやる、というふうにしたら結構やってくれるようになったので、現在はこの作業室とデイルームとで作業が行えるようにしています。


▲作業室にはいろいろな種類の作業物品が置いてあります。

3段のボックスが1セット(1人分)になっています。例えば…

【STEP.01】紐通し

【STEP.02】形合わせ

【STEP.03】粘土

「STEP.01-03までやったら終わり!」という流れ。

既成の物品だけでなく、身近にあるものも活用!

ボックスの中身は利用者さんによって違い、それぞれが好きなものを取り入れることで、楽しく作業できるようにしています。


▲長~いひもが好きな利用者さんもいれば・・・


▲ペットボトルの中にビーズをただひたすら入れていく、という単純作業が好きな利用者さんも。


▲こちらは100円ショップで購入したプラスチックのスプーンやフォーク。種類や色で分けて入れていく、というひとつの作業ができます。

靴下のはぎれが大変身!?指編みでつくる本格マット


▲これ、なんだかわかりますか?ヘアゴムのようにも見えますが、実は、靴下を作るときに出る「はぎれ」なんです。工場から送料のみでいただいています。


▲このように色分けして…

手作業で輪っかを繋げていき、編んだものがこちら!▼

▲とてもしっかりしたマットができあがります!色合いがなんともシックで素敵。


▲完成したものはこんな風に施設内やバザー、作品展などで販売しています。

【知りたいpoint】

  • 皆さん作業が好きで、作ったものが売れるということもわかっているので、工賃もお支払いしています。 差がつけられないので、皆さん一律で月500円、年末はボーナスもあり!
  • 手作業のほか、清掃活動として湘南国際村やソレイユの丘での草むしりを定期的に行っています。

[2F]喫茶室。週に1回のパン作り、次の日にみんなで食べる楽しみが!


▲こちらが喫茶室。落ち着いた照明が喫茶店の雰囲気を演出!?


▲調理室があり、1Fの食堂横の厨房と同じ設備になっています。

毎週火曜日にはここでパンを焼き、次の日の朝にここでみんなで食べるのがお楽しみ。
そのほか、おやつ作り、夏休みにはかき氷・カレー作りなど、利用者さんと一緒に調理できるスペースになっています。

明るくて広々としたホール!クリスマス会やカラオケ、ステージ上は暗くしてスヌーズレンにも!?地域交流室 [2F]


▲扇形の変形スペースが印象的、とても広く感じるこのホール。

  • 運動や体操
  • クリスマス会などのイベント
  • カラオケや、映写機を使ってビデオ鑑賞
  • ステージ上で幕を閉め暗くして、上からぶら下げた装飾・ライトなどを点けてスヌーズレン風に!?

など、いろんなことに使われています。

社会活動・余暇活動として年1回の宿泊旅行や普段の外出も楽しんでいます!

▼楽しかった思い出は見えるところに写真で貼り出し!


【3F】広々とした屋上。朝のお散歩や夏にはプールも!津波の時の避難場所にも


▲この日はあいにくの雨で外には出られませんでしたが、お天気がよければ眺めも抜群、とても気持ちよさそう!

奥にはプールもあります。

東日本大震災後、津波のことを心配した理事長が屋上に避難小屋を作りました

この施設がある場所は海抜8.7m。屋上で16.7mです。

近くにある「ソレイユの丘」まで逃げられれば安心ですが、渋滞したり、何より利用者さんを連れて逃げるのはとても難しい。そのため、普段から避難訓練はここへ逃げる練習をしています。


▲災害用備蓄も屋上階に置いてあります。

【エレベーター】施設内のエレベーターはパスワードでロック


▲利用者さんが1人で乗ってしまうことのないようロックしています

【目がテンpoint】自動ドアは手動!?こうすると利用者さんがドアの手前で止まってくれるんです


▲玄関ドア。本当は自動ドアですが、電源を切ってあるため手動に。利用者さんが逃げ出したとき、自動で開かないからここで止まってくれるんだそう。

防犯の意識も高めなければいけない時代

万が一の外部からの侵入などに備え、今は施設内すべてにセキュリティを入れています。

建物の外にも作業場が。陶芸室や苗木のハウス、しいたけ栽培まで!

【陶芸室】毎年、干支の置物を200組焼いています。工房の中は本格的!


▲シャッターを開けてもらい、中へ入ると…


▲ずらりとならぶ道具たち。


▲陶芸用の窯もあります!


▲毎年干支の作品を作っていますが、こちらは今年の干支・酉の置物。あれ?どこかで見たことある!?


▲そう!以前、取材で伺った元気パンさんの店内にかわいく飾られていました!


▲お皿も見事に味のある出来栄え!

ただ…
今は100円ショップなどでも手軽に食器が買える時代。こういう食器はなかなか売れないという悩みもあるそう。
焼いたものはお歳暮に配る用に施設で買い取って、利用者さんに還元するのだとか。

【ハウス栽培】木の苗を育てて出荷。震災で木が流れてしまったところにも


▲アラカシとタブの木を1年半ほど育て、立派な苗になりました

☑実はこれ、社会福祉法人 進和学園が取り組む「いのちの森づくり」プロジェクト。
連携福祉施設(どんぐりブラザーズ)として、苗木の栽培と育樹活動につとめています。

▽▽詳しくはこちら▽▽

【ハウス栽培】しいたけの原木は400本。2月にはしいたけ祭り!?


▲この中に原木が。2月に穴をあけて菌を植える作業をするのを「しいたけ祭り」と呼んでいます


▲今はまだかわいい椎茸、これからどんどん育ちます!

【作業スペース】こちらは作業スペースとして建てましたが、災害時に避難小屋としても使えるように雨水トイレを設置。


▲別棟に建てられた作業場。駐車場を挟んでこちらは三浦市なので管轄が違うのだそうです。


▲1階は土足で作業できます。


▲2階も広々としたフロアになっています。


▲雨水をためて、トイレが流れるようになっています!


▲利用者さんに人気の和式トイレも設置。

先ほど見た屋上の備蓄品とは別に、こちらにも利用者さんみんなが1晩過ごせるくらいの備蓄は用意してあるそう。

『横須賀ヘーメット』の支援課長・安田さんにお話を聞きました


▲写真向かって右側から横須賀ヘーメット・支援課長の安田さん、sukasuka-ippo代表・五本木愛

横須賀・三浦は障害者の入所施設が非常に少ないという現実

安田さん 入所施設については、ご両親の考え方によって利用の目的もタイミングもそれぞれです。

次にいつ入れるかわからないという現状もあるので、空きがあったタイミングですぐに入れるという方もいらっしゃいますし、最後までご自身でお子さんを見るという方もいらっしゃいます。

少し上の世代の方からは入所施設やグループホームは嫌だという声も多く聞かれますし、逆に、若い方はグループホームが良いという方もいらっしゃいますし、本当に人それぞれです。

利用の条件は支援区分4以上、2017.03現在の待機は15人以上

ただ現状では、受け入れができる支援区分も4以上に限られていますし、うちでも待機が15人以上います。その方々も申し込み順に入れるわけではありませんし、本当に入れ替わりがない年もありますし、続けて3人入れる年もありましたが、タイミング次第なので「いつ入れる」というご案内もできないので、こちらも切ないんですよ。

近くにないから、遠くの施設を探してるという方もいらっしゃいます。

養護学校を卒業したらどこかしら施設に、とイメージされてる方も多いと思いますが、その受け皿があるかどうか…というところが現実問題としてあります。

『横須賀ヘーメット』の強みはオールインワン。通所から始めて、将来的には入所へ

そういうところで言うと、ここは通所もあるし、短期入所もやってるし、将来的には入所もできるよ!ということで、やっぱり通所から入所へという流れが多いですし、それがうちの強みでもあります。

「うちの子は重いから、将来入所を見据えて、ここにお願いするわ」という親御さんもいます。
でも、そうやって段階的に進めていくことで、お互いのことがよくわかるし、親御さんも安心できるんだと思います。

会いたいときに会いに来て!親離れは別にしなくてもいいんじゃないかな

入所施設ということで、親離れ子離れをしなければならないイメージをお持ちの方は多いかもしれませんが、今もそれができていない方はいらっしゃいます。特に、お母さんの方がやっぱり心配されて、例えば地震があったり、インフルエンザ流行る時期に、「うちの子どうですか?」というように電話をかけてこられることがあります。

でも、「平日でも土日でも、会いたいときに面会に来てくれて構わない」というのがうちのスタンス。

利用者さんの中には親御さんがいない方もいるので、こういう多目的室で会っていただいたり、外にご飯を食べに行っていただいたりという配慮はしていただきますが、無理に親離れをする必要はないのかなと思います。

「頑張って何かを作って売る!」ということはあまり考えていません

ここは生活介護なので、歯磨きや入浴など、あくまで生活に関わる基本習慣の確立というのが目的。

「作業!作業!」というのではなく、生活の中で自然に体を動かしたり、手先を動かしたりできればいいと思っています。もっと作業能力をあげたほうがいいんじゃないかとか、親御さんや職員の間でも意見はいろいろありますが…。

資格を取得した職員には奨励金!マイクロバスの運転もみんなができる!?

職員には働きながら資格を取ってスキルアップしてもらい、ここで長く働いてもらうために、社会福祉士や介護福祉士というような資格取得を奨励しています。

ちょっとしたお散歩やドライブ、外でのお仕事の移動にはマイクロバスが不可欠。でも、専門の運転手は雇わず、職員が日替わりで運転しています。年齢によっては普通免許の限定を解除することで運転できるようになりますし、若い人だと限定を解除した上で、中型免許を取り直す必要があります。


▲こちらは外出時やドライブに使うマイクロバス。

この日は雨だったので、日課のお散歩の代わりにドライブ!運転する職員によって三崎や湘南国際村などコースが違うので、面白いです。

近隣とのお付き合いも大切に!町内会にも参加しています

町内会にも参加させてもらっていますし、夏祭りをやる時は声を掛けていますし、近隣の中学校が福祉体験に来てくれることもあります。

また、ソレイユの丘には委託で年間50日、その他、湘南国際村へも草むしりに行かせてもらっています。

最後に安田さんご自身についてお聞きしました!ご縁でここまで、刺激もいっぱい!

安田さん 実は私は横須賀出身、中学は長沢だったので近くにしらとり園がある環境で育ってきましたが、今とは違う業種の会社に勤めていました。でも思うところがあってその仕事を辞め、横須賀に戻ってきた時に、たまたま募集を見て働き始めたのが、実は清光ホームでした。

五本木 福祉の世界に抵抗はなかったですか?

安田さん いいえ、私はとても楽しかったです。

そこで3年ぐらい働くうちに、もっとちゃんと勉強したいなという思いが出てきて、社会福祉主事の任用の資格も取らせてもらいました。

そこで、特に自閉症のことを学びたいなと自分でもいろいろと勉強するようになり、いい意味で外に出てみたいという思いが生まれ、かねてより面白いところだと聞いていた長野県のある施設の採用試験を受けてみたら受かったのでそこへ行きました。そこはものすごく自由だったんです。作業なんかやらなくていいよ、子どもたちは…という方針で、日課がなくて、みんなで温泉行ったり買い物行ったり…。

そうしたら、さらにそこから長野県の親御さんが自閉症に特化した施設を作っていて、声を掛けてもらい、オープニングから働かせてもらうことになりました。本当にご縁ですよね。そして、その施設の考え方が「この子たちは障害を持って生まれてきただけで大変な思いをしてるんだから、私たちに近づけて仕事させるのは違うだろ」っていう考え方なんですよね。

五本木 すごい!その発想はすごいですね!でも、確かにそうですよね!!

安田さん また、そこの施設長は「健常の子を育てる時も大学に行くだなんだで200-300万かかるでしょ?この子が一生過ごせるとしたら200万円は安いでしょ?」という発想だったんです。それを10人集めれば2000万だよね?って。土地柄もあると思うんですが、施設を作るパワーやその方針にとても大きな刺激を受けました。

その後、研修を終えて地元に帰ってきたときに、ちょうどここが立ち上がるというので、開所から働かせていただいています。

振り返ると、私自身は本当にいろんなご縁でここまで来ています。

『横須賀ヘーメット』の基本情報

所在地  / 〒238-0316  横須賀市長井1丁目14番1号
TEL /046-855-5951

詳しくはHPで!(外部リンク)>>http://www.yokosuka-hemet.com/

運営 /社会福祉法人 よこすか黎明会
施設の種類 /障害者支援施設
定員 /入所支援40名  生活介護50名  短期入所4名
職員 / 管理者1  事務員1  サビ管1  生活支援員26  看護師1  栄養士1  相談員1  介助員10  洗濯清掃員5  嘱託医2    計49名

活動・年間行事を整理

【作業活動】
・陶芸…施設で買い上げて、お歳暮として配ったりしています。
・シイタケ栽培
・製菓パン…毎週1回作って、翌日の朝食でみんなで食べます。その他、バザーにも出品。
・クリーニング…入所されている40人の洗濯を畳む作業に利用者さんがひとり入っています。
・清掃…利用者さん2名が施設内の清掃に入っています。
・軽作業…簡単なビーズ通しや、3ステップの活動

【社会活動】
・外出・外食
・見学…お寿司屋さんやショッピングセンターへの買い物。江の島へ行ったりもしました。
・作品展での展示・販売(11月)
・日帰りまたは宿泊で旅行(10月)…去年は全員で伊香保に行きました!

【余暇活動】
・音楽…カラオケなど
・絵画 …月に1回、先生に来てもらっています。

【日課】
7:00 起床…みなさん早起きで、夏には5時に起きる方も!?
8:00 朝食…みんなで食堂で食べます。
9:30-11:30 作業やお散歩など…ソレイユの丘まで行くグループもあります
12:00 昼食
13:00 室内作業やお散歩など
(16:00 入浴・清拭)
18:00 夕食
(19:00 入浴・清拭)
20:00 余暇・お茶
21:30 就寝

土曜日はお楽しみとして、みんなで近くのコンビニまでおやつを買いにいきます!

【主な年間行事】
・6月 スポーツレクリエーション大会・三浦しおかぜアリーナで開催
・8月 夏祭り
・10月 旅行
・12月 クリスマス会
・2月 シイタケ祭り

sukasuka-ippo代表・五本木 愛 の視点

今回取材させていただいたのは、知的障害者を対象とした入所施設『横須賀ヘーメット』さん。実は清光園の取材の際に、秋津さんよりこちらをご紹介いただきました。

知的障害の方の入所施設の取材は私たちにとって今回が初めてのこと。事前にホームページなどは拝見させていただいたものの、なかなかうまくイメージできずに取材の日を迎えました。

当日はまず支援課長の安田さんから施設の概要についてのお話を伺ってから、施設内を見学させていただきました。

平均年齢が49歳というこちらの利用者さんたちともお会いしましたが、私自身が幼少期の障害児の保護者なので、入所のタイミングや親離れ子離れについて考えながら見学しました。

でも、「無理に子離れしようとすることはない」という安田さんの言葉がとても印象的で、入所したら会えなくなるということはなく、いつでも会えるし、家族としての時間がなくなるわけではない。そして、本人がゆったりと日々を楽しみながら過ごすというのも選択肢の1つなのだということも教わりました。

そして障害というのは、それぞれ様々に特性があります。一律に労働や生産性を求めず、本人が穏やかに日々を過ごすことを目的とした居場所の作り方もあることを、保護者として知っておくことで、選択の幅がさらに広がることを学ばせていただきました。ありがとうございました!

2017.03
取材/ 五本木愛・misa・ゆかねこ・pototon
写真・加工/ misa・pototon・ゆっぴー
文・構成/ yuka kaneko
編集/ takeshima satoko

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『自分たちが足りないと思うこと、欲しいと思うものを自分たちで作り上げていく』を現実に!夢を1つずつ叶えるために!
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