突然ですが皆さん。
防災訓練って参加したことありますか?
回覧板や掲示板で目にしてもなかなか参加するきっかけがつかめない。ましてや幼い障害児を抱えていると参加することで迷惑をかけてしまうのではないかなどと訓練参加を諦めている方も多いのではないでしょうか。
一方で、いつどんな災害が起こるかわからないこのご時世、無関心ではいられませんよね。自分のことだけではなく、子どもたちをどうやって守るか。これは、親としてきちんと考えておかなければ…
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実は、横須賀市では障害者やその家族、関係者などが集まり、障害児者を取り巻く様々な問題について話し合いが行われていますが、そのひとつに『防災ワーキング』という会議があります。
横須賀市の防災計画や避難所運営マニュアルを見直しながら、障害児者とその家族が災害時にどういった支援を求めていくか、どんなことが必要かなど、継続的な話し合いと訓練を実施しているこの防災ワーキングに、今年度からsukasuka-ippoも参加させていただいているのですが、「まずは防災訓練に参加してみて!」というお言葉をいただきましたので、今回、メンバーのがらっぱちとゆかねこが、子どもを連れて参加してきました。
その模様をレポートさせていただきます。
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今回、訓練会場となったのは鷹取中学校。集まったのは総勢279名!
防災訓練というと限られた人が参加する小規模なものを想像していましたが、近隣の自治会の方々をはじめ、消防団の方、市の地域安全課職員の方、中学校職員の方など、たくさんの人が参加していました。
まずは校庭に集合!
体育館では、より具体的な指示や受付などが行われます。
▲体育館では、災害を想定した流れの確認や、備蓄品の紹介、携帯トイレの実演、避難者カードの記入(一般の方)などが行われました。
▲非常用備蓄品リスト。このうち、どれくらい備蓄できているだろうと考えると…(冷や汗)
配慮が必要な方は、一次福祉避難所として設定された武道館へ移動
『一次福祉避難所』というのは、ちょっと聞きなれない言葉ですよね。
体育館など、通常の集団による避難生活が困難となる高齢者、障害者、妊婦、乳幼児等のうち、特別な配慮を必要とする人たちを受け入れる場所がこの一次福祉避難所で、横須賀市では各避難所にこれを設置することが定められています。
さらに障害の度合いやケアの仕方によって、二次福祉避難所、三次福祉避難所が用意されています。
ちなみに、災害時は療育相談センターや養護学校などが二次福祉避難所として使われるようです。
まず避難者カードと、避難所要援護者受付名簿に記入します
▲記入するがらっぱちとバギー型車椅子に乗った息子のぽこっぱち
支援の緊急レベルによって、色分けされます
▲ゆかねこの息子ハルは疾患や投薬がないので、緊急レベルが一番下であることを示す緑のガムテープを胸元にペタリ。(っていうか顔がもう緊急感ゼロ・・・)
なお、「自閉症です」「○○が苦手です」などと大きく書いたビブス(ランニング)を着用している方もいらっしゃいましまが、外見からはわかりにくい障害や求める支援を示す方法として、個人的にいいなと感じました。
防災訓練では障害児者の家族として、どんな支援を求めているかを1人ずつ話す機会も!
その一部をご紹介すると・・・
- 「特定の音が苦手。特に、せきとくしゃみはすごく嫌みたい」
- 「目が離せないので、自分がトイレに行きたい時など5分でも10分でも誰か見ててくれる人がいたら…(ゆかねこ)」
- 「頭にシャントが入ってるので、それが狂わないよう磁石は近づけないようにしている(がらっぱち)」
- 「耳が聞こえにくいので目で見てわかる表示や筆談のほうがありがたい」
障害の特性によってそれぞれ配慮の仕方が違うことを伝える貴重な時間でした。
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その他、車椅子など障害児者の避難を想定した実演も
▲消防隊員による車椅子の扱い方の実演
▲災害時に傷病者を車椅子に移動させる一連の流れなども見ることができました。
非常食の試食もさせてもらいました!
訓練が終わった後に用意していただいていた非常食。
▼アルファ米のドライカレーとビスケットです。
普通に美味しい!
アルファ米ってすごいですね。これなら子どもも食べやすそう~
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sukasuka-ippo代表・五本木 愛の視点
今回、sukasuka-ippoのメンバー(追浜方面在宅)2名が鷹取で行われた防災訓練に参加させてもらいました。
防災訓練の参加の意義については色々な会議で話し合いが設けられていますが、東北や熊本などの震災を目の当たりにし、改めて避難場所などでの障害児者への対応の問題が山積されていることが浮き彫りになり、これらに早急に対応すべく議論が重ねられています。
とはいえ、やはり議論だけでは解決に繋げるのは難しい。そのための防災訓練参加なのだと思います。
実際に障害児を育てる保護者として、町内で行われる防災訓練への参加はどうしても躊躇してしまいがちです。
周りの方へご迷惑をおかけしてしまうのでは?訓練の雰囲気に子どもがパニックを起こしてしまわないか…などと考えてしまいます。しかし、そうしたリスクを多く持っているからこそ訓練に参加するべきなのではないでしょうか。
現実に災害が起きてしまった時、そこで初めて障害児者の避難を申し入れるというのでは遅いのです。
障害によってはそれぞれ配慮していただくことも異なります。人の集まる場所が苦手だからパーテーションを用意しておいてほしい、医療行為が必要なので速やかに衛生環境や電源等を整えてほしいなど、それを事前に伝えておくことが備えになり、それこそが障害児者とその家族にとって必要なことではないでしょうか。
sukasuka-ippoでも地域の防災訓練への参加を広げるお手伝いができればと思っています。
がらっぱちの感想メモ
さしあたっての感想は、来てよかった!
どんな感じなのか、もっとアウェー感満載なんじゃないか?と腹くくってました~(;´_ゝ`)
気になったのは、訓練を進行しているのは比較的高齢な方が多く、若いもんがいないなぁって。
でもよくよく考えると、若いかたは働いていたり、もしくは休暇で出掛けてるのかなぁと。しかしながらこの訓練状況を実際に被災したときにスムーズに申し送りができるのかなと思いました。
どなたかが、「やはり、一番の力は中学生だ!」とおっしゃってました。中学生が大きな力になるって。将来的に見据えても、なるほどなぁと思いました。
まずはこれから帰宅して非常用持ち出し品リストを見ながら、用意せねばあかんなぁと思いました~(;´_ゝ`)
ゆかねこの感想メモ
初めての防災訓練。
今まで参加してこなかったのを恥ずかしく思いました。
引っ張っているのはやはりご年配の方々で、これは若い世代が担わないといけないのになと、自分を含め反省。
家族で来ている方も結構いたので、見習わなきゃいけないなぁと。
障害児の親としても、当事者を連れて参加することで、周囲の人に認知してもらえる機会を作ることの大事さを改めて感じました。
地域の方が「よくきたね~」と声を掛けてくださったり、武道館で話をした時も真剣に、あたたかい目で聞いてくださって、ちょっとじーんときちゃいました。
これは続けていきたいと思います!
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取材日/ 2016.10.16
取材/ ゆかねこ・がらっぱち
文/ ゆかねこ
sukasuka-ippo
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