息子は現在、年長さん。通園先であるひまわり園(横須賀市療育相談センターの通園施設)では、度々、外部からの見学者や研修生を受け入れています。そのおかげで短い間ではありますが、息子も色々な人と共に過ごす機会があります。
初めてお会いする方に保護者として申し訳ない気持ちに…
でも、息子は虚血性低酸素脳症で寝たきりのため、自分で歩くことはもちろん、手を動かしたり、話したり、笑ったりできないことに加え、かなりの人見知りがあります。クラスに知らない人がいるだけでドキドキしてしまうのか、筋緊張が強くなることもしばしば。
なので、保護者としては「初めて息子と関わる方は大変だろうなぁ…」と日々感じていました。息子に対して色々と働きかけてくださっても、息子の反応はわずかにあるかないか…。息子と一緒に過ごして、皆さんはどう思っているのかなぁ〜と。そいうい思いが常にあるので、研修生などでいらした外部の方が息子に接してくれるのはありがたいのですが、同時に少し申し訳ない気持ちになってしまうことも多いのです。
特総研から研修に来られていた方とクラスで一緒に…
最近は息子も単独通園することが多かったので、実際、外部の方が息子とどう関わってもらっているのかを見ることもなく過ごしていました。でも、必要があって久しぶりに息子に付き添い、クラスで一緒に過ごしたこの日は、ちょうど息子のクラスに研修生を受け入れる日でした。
見学者や研修生が来るときは、事前にひまわり園からその旨をきちんと説明するお手紙をいただけるのですが、今回の受け入れについては「国立特別支援教育総合研究所の教員の方が、就学前の施設で行われている支援の実際を理解し、学校教育の課題について多角的な視点で学ぶことを目的に研修を行うことになりました。」とありました。
この事前のお手紙により、外部の人がクラスにいるというのはわたしにも分かっていましたが、具体的にどういう方々が来られるのかは私自身、あまり理解していなくて、支援教育の研究をされている研究所の職員の方かなぁ〜ぐらいに思っていました。
実際にいらしたのは全国から特総研に合宿にこられていた教職員の方々
この日も数名の方とクラスでご一緒させていただきましたが、人見知りの息子が緊張しすぎない程よい距離感で皆さん、接してくれていました。でも、私は親として、「やっぱり他の動けるお友だちや積極的なお友だちのようにワイワイ楽しくするのは難しいなぁ…息子のそばにいる方は手持ち無沙汰だろうなぁ…」と考えていました。
その時、研修生の1人の男性が息子に話しかけてくれたのですが、息子は案の定、その方と目を合わせようとしません。息子を抱っこしてくれていた担任の先生が、気を効かせてその方と目が合うように息子の向きを変えてくれたのですが、ドキドキと緊張で力が入ってしまったのか、やっぱり息子は目を合わせません。
気まずい思いをさせてしまって申し訳ないなぁ…と思っていたら、その方が「嫌かぁ?でもそれでも(きみのこと)なんか好きなんだよなぁ〜」とまた話しかけてくれたのです。何度も何度も。
他のお友だちがみんなでワイワイ遊んでいるのを私と息子は遠くから眺めていた時も、「一緒やなぁ〜。入れないタイプなんだよなぁ〜」「行きたい気持ちはあるんだけどなぁ〜」など、息子の気持ちを感じとったかのように言葉にしてくれて、息子の近くにいてくれました。
そのうちに、遠くでワイワイやっていたお友だちが息子の周りで遊び始めたのをしおに、その方はスーッとさりげなくその場を離れられました。
言いようのない晴れやかな気持ち、そのわけは…
その後、息子と私はすぐに早退してしまったので、その方とゆっくりお話しする機会はなかったのですが、私自身の気持ちはとっても晴れやかで「今日は楽しかった!素敵な時間が過ごせた!」という気分になっていました。
認めてもらえたような気持ちでした。そして、愛想のない息子を好きだと言ってくれたのが嬉しかった!!言葉にするのはとても難しいのですが、とにかく心が暖かくなり、感謝の気持ちがいっぱいでした。
この方は、特総研(特別支援教育総合研究所)の職員ではなく、特別支援教育について学ぶための合宿に参加されている教職員の方で、いろいろ勉強する日々、ご自身もホームシックになりながらも、この日は子どもと接する時間の中で癒されたとおっしゃっていたのが印象的でした。
特総研とひまわり園と保護者と子ども
このように高い志をもって頑張っていらっしゃる方に、私は障害児を育てる親として励まされたことをお伝えしたかった…。そして、横須賀にある国立の特別支援教育総合研究所には、全国からこのように熱意ある方が集まり合宿というかたちで支援教育についての勉強をされていること、そして、そういう方々が、横須賀の療育相談センター(ひまわり園)に研修にいらして、実際に子どもたちと触れ合うことで何かを得ようとされていることを実際に知ることができたことは、障害児を育てる親として希望が持てる貴重な体験でした。
掲載の画像は当日(ひまわり園療育中)のものではありません。
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2016.10