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【勉強会レポート】ヒントがいっぱい!療育相談センター所長・広瀬宏之先生の勉強会『子どもの行動のみかた・かんがえかた』

投稿日:2016-05-27 更新日:

横須賀市療育相談センター(以下、療育相談センター)の通園施設である「ひまわり園」では毎年、心理士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士のほか、障害福祉課などを講師に招いた保護者向けの勉強会が月替わりで開かれます。

そして今回、許可をいただいてこの『sukasuka-ippo(すかすかいっぽ)』でレポートするのは療育相談センター所長・広瀬先生の『子どもの行動のみかた・かんがえかた』についての勉強会。

主に発達障害のお子さんを例にとりながら、実例に富んだわかりやすい説明で子どもの行動について親としてどう向き合うべきかなど、子育て全般に通ずるたくさんのヒントを得ることができました。

広瀬先生の独特なユーモアやテンポなど魅力的な語り口を紙面ではお伝えできないのが残念ですが、ダイジェストだけでもお届けできればと思いレポートにまとめてみました。

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(仮)

「いい子にしててね」じゃ伝わらない!?

まず、行動とは何でしょう。

普段の生活で「いい子にしてね」「優しくできたね」と口にすることは多いでしょう。でも、広瀬先生によるとこれって子どもにとっては抽象的でわかりにくい表現なのだそうです。

例えば、

「いい子にしてね」→「椅子に座って静かに待とうね」「手をつないで歩こうね」
「優しくできたね」→「お母さんにお茶を持ってきてくれたね」「お友だちにおもちゃを貸せたね」

など、具体的な行動に置き換えて話してあげると、子どもには理解しやすいのだそうです。

それでは以下、今回の勉強会について広瀬先生のお話をご紹介します。

子どもの行動のみかた・かんがえかた

診察室に入るなり置いてあった時計を抱えてウロウロする子ども…その心は!?

子どもは時に大人にはよく理解のできない行動をとることがあります。

例えば、時計の好きな自閉症のお子さんが診察室に入るなり時計に興味を示し、時計を抱きかかえてウロウロ…。こんな時、親御さんはどうするでしょうか。

「何をやってるの!?やめなさい!」と言いたいところをグッとこらえてその行動の意味を考えてみてください。

初めての診察室、知らないお医者さんに不安を感じている時に、その子は大好きな時計を抱えることで心を落ち着けようとしているのかもしれません。かわいいぬいぐるみでも抱えていればわかりやすいけれど、その子にとっては時計がその代わりだったりします。

発達に凸凹があるお子さんの場合、こうした行動が時に公共の場では不適切となってしまう場合もあり、怒られてしまうことが多いのですが、親御さんにとってはやめさせたい行動でも子どもにとっては理由があります。

気持ちの余裕があるときは、そんなふうにお子さんの行動を楽しんで観察してみてください。その理由が見つかるはずです。

「行きたくない!」という言葉の裏に隠れているもの。

子どもに限らず、人間の行動には表(見た目)の理由と裏(背景)の理由があります。

例えば、大人でも「会社へ行きたくない!」という場合は大抵、心の中では行かなくちゃいけないと思っているものです。本当に行きたくない時は「行きたくない!」と言葉にすることもなく、もう行かない!それは子どもでも同じです。

行動や言葉の「表」だけに反応しないで、その裏側にある理由を探してみてください。

これまでできていたことができなくなるのはなんで!?

通常、発達の過程で「できていたこと」が「できなくなる」ということはありません。多くの場合、「できていた」ことを「しなくなる」のであって、これも成長なんです。

例えば、これまでできていたことをひまわり園ではするのに、家ではしなくなる。これは場面によって使い分けができるようになったことを示しています。そして、しなくなってしまった行動も、消えてしまったわけではなく、ちゃんと頭の中にストックされています。

我々、子どもに関わる専門家にとっては、反抗期も含めて、こうした子どもの成長を見られることがとっても楽しみだったりするんですよ。

対処行動という視点で子どもの失敗を見てみよう!

先ほどの時計好きの子どもの話もそうですが、行動にはちゃんと理由があります。

子どもなりに考えて行動していることも多くて、例えばお母さんを喜ばせようとコーヒーを注いでみようとして、ほとんどの場合、それは失敗するわけです。こぼしてしまったコーヒーを見てお母さんは怒る!それは仕方ないことですが、子どもだって、ちゃんと自分の失敗を自覚しています。

そこでお母さんがガミガミ怒ったらどうでしょう。子どもは「またか…」なんて思っているかもしれません。
逆に、「ありがとう!コーヒーをいれようとしてくれたんだね。でもそういう時は、今度からお母さんを呼んでね」なんて優しく声を掛けたらどうでしょう。もしかしたら「何だろう!今日のお母さん、ちょっと変…」なんて思って、今度から気を付けるかもしれません。

子どもが何か失敗をしてしまったとき、怒る前にひと呼吸おいて、親御さん自身が自問自答してお子さんの失敗の裏にある気持ちを考えてみてください。

反抗期は子どもの素晴らしい成長の証!

3~4歳、思春期、お子さんによっては365日反抗期で大変!という親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、どこで覚えたのか生意気な口ごたえをしたり、行動が変化したり…。反抗期は親御さんにとってはやっかいな問題ですが、実は信頼しているからこそ反抗するんです。子どもは特にそう!ちゃんと人を見ています。

日本語では「甘える」という素晴らしい言葉があり、それを良く表しています。聞くところによると、自立を求める欧米にはこうした発想はなく、英語では「甘える」をうまく訳す言葉がないのだとか。

そして、子どもの言葉が増える時期というのも、行動がどうしても乱暴になりがちです。

というのも、例えば「欲しい欲しくない」で済んでいた要求が、子どもの中で言葉が増えて色々な分類が身に付くことで、「ヨーグルトが欲しい…、しかもあのメーカーの…」というように要求が増えていきます。でも、それを言葉で伝えられずもどかしい思いをする。すると手が出て足が出て声が出る…といった具合。

こうした時期は大抵半年ぐらい続き、それが反抗期とぶつかるわけです。この時期を越えると、次のステップのコミュニケーションに進めます。

反抗期を成長という視点で考えてみると、大変なことばかりではないと受け止め方が変わってくるかもしれません。

 

こんな時はどうする?

相談件数が圧倒的に多い言葉の遅れについて。言葉のシャワーは逆効果?

療育相談センターへの相談の中で、圧倒的に多いのが言葉の遅れについてです。

聞こえの問題なのか知能なのか発達障害なのか、理由を探すのは療育相談センターの仕事ですが、言葉にこだわらない意思疎通のやりとりを増やすことをひとつ提案します。

よく言葉のシャワーだとか言いますが、だらだら聞いてもあまり良いことはなく、下手をすると聞き流す練習をしているだけという逆効果になることも。

絵本の読み聞かせも一般的には良いとされていますが、これも子どもが絵本を読みたがっている、または興味を引き出せるように読むことができるという条件付きで有効です。例えば、絵を見たくて子どもが次から次へとページをめくっているようなときに、「ママが読むんだからちょっと待って!」なんていう読み聞かせはコミュニケーションのズレを経験することになってしまうのでおすすめしません。

言葉は便利な道具ではありますが、うまく使えないときは一段階戻って、一緒に行動して驚いてみるなど、遊びや気持ちのやりとりを中心にワクワク感を共有するコミュニケーションの練習をしてみてください。

癇癪(かんしゃく)に特効薬はありません!

ただ子どもにとっては癇癪(かんしゃく)にも理由があるというのが最大のヒント。

例えばむしゃくしゃして机を蹴っ飛ばす…そうすることで気持ちが落ち着くなら自己治療の一種と考えられますが、発達障害のお子さんの場合、どんどん悪循環に陥ることも。そうなったらどこかで介入して止めてあげる必要があります。

不機嫌の原因を探しつつ、外出先なら場所を変える、モノで釣る、どうしても泣き止まないときはそっとしておくのも手です。親御さんが一緒になって感情的になると、火に油を注ぐことになります。

ただ、どうしても泣き止まない子どもがいて、実は中耳炎だったということも年に1、2件あります。6月、7月はジメジメして自閉症のお子さんが不安定になりやすい時期でもあります。

偏食のピークは3~5歳!?

偏食については、基本的には成長を待つしかありません。

もちろん、刻んだり混ぜたりというように工夫することはよいですが、頑張りすぎてムキになると良くありません。

大抵、小学校1、2年生になると食べられるものが増えるお子さんが多いです。そのタイミングで直らない偏食は、たぶん本当に嫌いなものなので、長期戦を覚悟しましょう。

皮肉を言うくらいなら褒めないほうがマシ!

子どもの好ましい行動を増やすためにはどうすればよいか。

それは、ちょっとのことでも褒めることです。宿題をしたら「10分座っていられたね!」なんていうことでもいい、小さいことでいいからとにかく褒める。

でも、この時に「いつもそうすればいいのに…」なんていう皮肉を言ってはいけませんよ!皮肉を言われるとそれまで褒められた気持ちが帳消しになってしまいますから。皮肉を言うくらいなら褒めない方がマシというくらいです。

反対に騒ぐ、ぐずる、屁理屈をいうなど、好ましくない行動を減らすためにはどうすればよいか。

もちろん危険な行動については「ダメ」を伝え、再発を防ぐように環境を見直す必要はありますが、どうでもいいことはスルーして、好ましい行動を待ち、それを褒めてあげてください。

こちらの記事をギュッとA4サイズ1枚にまとめたPDFファイルはこちら>>取材File.09 広瀬宏之先生の勉強会『子どもの行動のみかた・かんがえかた』

 

sukasuka-ippo隊長・五本木愛の視点

広瀬先生のお話はいつもとても分かりやすく、保護者に障害児を含め、子どもを育てる面白さを教えてくれます。一見、問題行動に見える子どもの行動も、感情的に怒りたい気持ちをちょっと我慢して、その行動や言葉の裏側に目を向けることで、ちゃんとその子なりの理由が隠れていて、それを見つけられるとお互いに感情的に空回りすることが避けられるよね、というのは、実はついつい忘れがちだけど親が心がけなくちゃいけない視点だなと思います。

広瀬先生のお話は本当にわかりやすくておススメです。今後もsukasuka-ippoの取材で色々なお話を伺いたいと思っています!

ゆっぴーの感想メモ

今日の広瀬先生の話は、発達障害の子どもの行動とそこに隠された理由についての話と成長という言葉が印象的でした。

例で、先生の診察中に子供がそこにあった先生の時計をいじり始めた時、大抵のお母さんは「勝手にいじっちゃダメじゃない。やめなさい。」と言います。と…きっと私もそう言います。そこで、なんでこの子はそんな事をするのだろうと考えることはないでしょう。でも今回広瀬先生は、そこには意味があると、診察は子供にとって不安なこと、大好きな時計を触っていると落ち着く。だからいじって安心したい。そう考えれば、時計をいじるというとっぴな行動をしてしまう理由が私にも納得できます。

また、子供がお母さんにコーヒーを持っていってあげようと考え、運ぶ途中でこぼしてしまう。この時の親の行動…やっぱり私だったら「何やってるの!掃除するのはお母さんなんだからね!」とすぐに怒ってしまうでしょう。でも、そもそもなんでコーヒーをお母さんに持ってきてあげようとしたのでしょう?と考えると…「お母さんに大好きなコーヒーを飲んで笑顔になって欲しい。」という気持ちだったら…。もう自己嫌悪ですよね。なんでその優しい気持ちを踏みにじるような言葉ばかりかけてしまうのだろうと。

広瀬先生のお話を聞いていて振り返ると、子供が何か行動した時の私の反応は、よくない行動をした時に叱る。いい事をした時にも褒めた後にすぐに小言(いつもこうやってちゃんとやればいいのに)を言う。子供がやる気をなくす原因は私にもあるかな〜?まずは親である自分の行動を見直し、ちゃんと褒められる親でいたいと思いました。

misaの感想メモ

とにかくほめる!
夫婦間の会話や日頃の子どもとの生活の中での会話を例にとり、とてもおもしろかった。

「せっかくやってくれたことなのに『いつもやってくれればいいのに…』と否定的なことを言ってしまう…
そんなこと言ったら余計にやる気を無くす⇒二度とやるもんか!ってなりますよね~」という広瀬先生のお話に思わず笑ってしまったけど、本当にその通り、頷けました(笑)

ゆかねこの感想メモ

発達障害に対しての知識を並べるのではなくて、先生自身が日々、診察で子どもたちや保護者に接し、子どもの目線や感覚に寄り添っているような広瀬先生独自の視点がとても新鮮で、そのためか、お話がスッと入ってきて、すごく頷けた。
親としてやってしまいがちな失敗(「いつもそうならいいのに」「そんなことしないの!」などの言葉)も見事に言い当てられた気分。
反抗や甘えは、成長の証…そうかそう捉えればいいんだ、と納得でき、悩んでいた気持ちが軽くなりました。
先生がお話をしながら眼鏡をかけたりとったりするのは無意識なのかパフォーマンスなのか気になりましたが(笑)、楽しい勉強会でした!

障害児も健常児も関係なく、子育てする上で大切なことをいろいろ聞けたと思います。

がらっぱちの感想メモ

ゴニョゴニョおもろいこと言う先生だなぁ、みんななんで笑わないのかなと思ったのが、年少の時に初めて広瀬先生の勉強会に参加したときの感想です。去年は、勉強会のタイトルが同じだったので欠席したけど、今年は違うようだし、もう広瀬先生の独特なお話聞けるのもこれで最後かと思ったら迷わず参加でした。
常々、むやみに明るく話しかけるなどわざとらしいところがない先生だなと思っていましたが、こどもの成長を見るのがこの仕事の醍醐味とおっしゃってたのが印象的でした。機会があったらまたこのようなお話を聞きたいと思っています!

pototonの感想メモ

広瀬先生の軽妙な語り口も魅力のひとつ。肩の力を抜いて、子どもの行動の裏にあるものををすっと理解させてくれるような勉強会でした。

年長の保護者として、広瀬先生の勉強会を聞くのも3回目になりますが、思い起こせば自閉症ってなんだろう、発達障害ってなんだろう、言葉がこのまま出なかったらどうなるんだろうというところから出発した年少の頃から、親子通園、親子プログラムや療育相談センターでの個別心理指導などを通して、日々、子どもについての新しい発見がありました。そして、言葉がなくてもなんだかんだ意思疎通ができることを経験的に理解できるようになり、言葉が出始めた年中以降はその独特な言葉の成長を楽しめるようになり、年長になった今では障害の種類や特性を知ること以上に、子どもひとりひとりの特性に目を向けることの大切さがだいぶ身に付き、かなり謎めいて独特な、それゆえに興味深い自閉症の我が子の成長や日々の生活を楽しめるまでに、親として成長できたのかなと…。

今回の勉強会の冒頭で広瀬先生がおっしゃっていた『とても簡単なことですが、伝えるのは難しいこと』という意味が実感としてちゃんと理解できたのも、3年経った今だからこそ。我が子の見ている世界を一緒に楽しむ下地を作ってこられたのも、ひまわり園での療育に親として多分に関わってこられたからこそと感謝しきりです。

 

文/ 五本木愛・ゆっぴー・misa・ゆかねこ・がらっぱち・pototon
編集/ pototon

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