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【体験レポート】どんな子も必ず慣れる!親子参加で成長を間近に感じてほしい。障害児を対象としたプール教室『マッコウズ横須賀』/くりはま花の国プール

 

障害をお持ちのお子さんの習い事ってどうしていますか?

水が好きな子ならプールを習わせたい、だけど一般の子と一緒のプール教室はハードルが高い・・・

というわけで今回は、市の施設である「くりはま花の国プール」内の温水訓練室で週に1回、障害児を対象に行っているプール教室『マッコウズ横須賀』を取材させていただきました。

メンバー2人が子どもを連れて体験参加!

  • うさぎのめろん&自閉症の5歳女の子くーちゃん
  • ゆかねこ&体幹機能障害・下肢不自由の6歳男の子ハル

教えてくださる先生おふたりと、こちらに通われている保護者の方々との座談会の様子も併せてご覧ください!

どんな雰囲気?どんなことをするの?はじめてのプール教室、ドキドキ体験レポート!

▼くりはま花の国プールの施設内にある『障害者温水訓練室』。こちらで、毎週土曜日の午後、プール教室が行われています。


▲入口は自動ドア。ピンク色の床までは土足でOK、その先は靴を脱いで入ります。(左側に下駄箱あり)

体験のみでも、プールを利用する際は利用者カードを作成します

ちなみに、こちらを利用するには専用のカードが必要。療育手帳を提示して、作ることができます。入室するときにカードを受付(写真左側)に置きます。


▲受付を抜けると、左に保護者の方の見学スペース。ガラス越しにプールの様子を見ることができます。


▲もうひとつドアを開けると、ここからは体が濡れた状態で移動できるエリア。男女のトイレと、奥には更衣室があります。


▲トイレ


▲女子更衣室。鍵付きロッカーと、カーテンで仕切られた着替えスペースもあります。


▲私たちも着替え完了。行ってきま~す!

シャワーで全身を軽く流し、準備体操へ


▲シャワーで全身を流して・・・


▲準備体操~!


▲見よう見まねですがなんとなく動かせている・・・?


▲はじめはプールサイドに座って足だけちゃぷちゃぷ!


▲子どもたち、やや緊張気味ですが、先生がとても優しく声かけしてくれます。

いよいよ入水!


▲1段ずつ慎重に降りるハル。


▲入水~!


▲普段は水が大好きなくーちゃんですが、初めての場所にどきどき!

ここでアイテム登場!いろんな形のおもちゃを、水中へ沈めていく先生

これをどうするかというと・・・

▲潜ってキャッチ!


▲お兄さんたちはなんなくクリア!すごい!!
これ、簡単そうに見えますが、しっかり深さのあるプールの底に沈んでいるものを拾うのってなかなか難しい!


▲潜るのはもちろん、顔付けもしたことがないハル。手を伸ばすだけじゃ届かなーい!
先生がさりげなく、手が届くところまでおもちゃを持ち上げてくれました。

次はビート板を使って、体を安定させながら前へ進む練習


▲ハルも挑戦!思いのほかスムーズで、先生もたくさん褒めてくれるので、本人まんざらでもない様子。


▲定番のバタ足ですが、足を交互に動かすという動作が意外と難しいのだそう。

先生たちがお子さんひとりひとりに向き合い、声掛けをしながら練習が続きます


▲ビート板なしでの練習。息つぎの指導もあります。

まわりの保護者の方たちも、お互いのお子さんをよく知っているようで「すごいすごい!」「上達したね!」など声を掛け合いながらとても和気あいあいとした雰囲気!


▲お兄さんたちは、潜る練習をしてます!


▲先生の足の間をくぐり抜け!さすが!


▲最後に体操をして終了!お疲れさまでした!


▲あたたかく指導してくださった先生方、ありがとうございました!

先生方や保護者の方にインタビュー!

運動をさせたいけどさせる場所がない!『マッコウズ』立ち上げのきっかけは養護学校の先生の思いから

子どもたちと関わるなかで養護学校のある先生の心に芽生えた

”運動をさせたいけどさせる場所がない・・・”

という思いが、この『マッコウズ』立ち上げのきっかけ。

たまたまその先生が水泳が得意だったこともあり、数ある運動の中でプールを選択。市の職員の方と連携して、2人で立ち上げたのが始まりです。

メンバーが増えた今では、小学生までのお子さんのクラス『マッコウズ』と中学生以上のクラス『フリッパーズ』に分かれて活動しています。

現在、指導員をされている先生2人は、水泳つながりで声がかかって、こちらに来られたんだそうです。

泳げるようになるのが目的じゃない!水泳というひとつのかたちを通して、いろんなところの刺激になればいい

先生  あくまでも「泳げることが目的」ということではないんです。お水に触れるのを楽しんでもらいながら、運動を通して色々なところの刺激になるように・・・、そのためのひとつの手段としてクロールがあります。

だから「クロールができるように!」というところがゴールではなく、あくまでもそれは楽しみ色々な刺激を得るための方法であるというところが、普通の教室と違うところかなと思います。

現在、マッコウズのメンバーは11名。始めたきっかけや、慣れるまでの様子もそれぞれ

マッコウズは、未就学児~小学生が対象になっています。現在は小学生10名と未就学児1名の合わせて11名。

保護者 うちは通い始めてちょうど1年ぐらいですが、きっかけは放課後等デイサービスの『風キッズ』にポスターが貼ってあって、それで申し込みをしたんです。うちの子はどうかな…ってやっぱりドキドキで来たんですけど、もう小学4年生だったので、だいぶ落ち着いてきていましたし、もともと水がすごく好きだったこともあり、半分は大丈夫かな、でも半分どうかな、と思いながら入ってみたら、意外にすんなり。体験を終えて、そのまま入会しました。

周りのお子さんたちに刺激される部分が大きくて、学年がひとつ下のお子さんを見て、あの子がいるから、僕も頑張んなきゃとか、僕も褒めてもらわなきゃっていう気持ちが強いみたい。ライバル視するんだけど、それが励みになって、結構上達も見られます。

なので、最初は心配したんですけど、今ではもう何年もやってるかのように、楽しく参加させていただいています。

保護者 子どもはいま小学1年生なんですけど、久里浜特別支援学校の幼稚部に通っている時に、なにかサークル活動的なものはありませんか?と先生に尋ねたのがきっかけで、このマッコウズを知りました。

体がちっちゃい子なので、入ったときは、水面が背の高さより上だったんですが、やっぱり一緒に入ることによって子どもの成長過程というのが、実感できました。

潜るのは好きでしたが、ものをつかんだりすることがなかなかできなくて。色分けするなど、先生がいろいろ工夫してくださって、徐々にできるようになりました。

あと、普段はジャンプという動作ができないんですが、最近になって水中ではジャンプできるようになったりという変化がありました。

先生 本当にひとりひとり違いますよね。だから、お水に慣れてもらうその形も、ひとりひとり違うので、その子に合わせて、強制的なことは一切しません。

うまく促しながら、繰り返しやっているうちに、自分でできたような感じになればいいなぁと思っています。声には出しませんが、できた時は喜びますよね。そういう機会を、たくさん作ってあげたいなと…。

保護者 うちなんて、最初は建物にすら入れませんでした。ここの建物を見て、「やだ!」って何回も繰り返すので、こちらが心折れそうになっちゃうときもありました。それが今では嘘みたいに、やる気満々。やっぱり諦めないことが大事なんだなぁと思いました。みんな、そういうのを乗り越えてきてるんですよね。

どんなお子さんも絶対に慣れる!という自信があります

先生  人馴れしにくいお子さん、並んだり待つのが苦手なお子さんもいらっしゃいますよね。プールは好きなんだけどみんながいるということで、なかなか水に入ることができなかったり、水の中に入っても、今度はみんなの輪の中に入っていけなかったり。

そういうお子さんは必ずいますが、「絶対、慣れる!」という自信があるんです。最初はダメだった子も慣れてきちゃうのを見ているので、「ああ、慣れるんだ~!慣れない子はいないんだな!」って。

だからどんなに泣こうが、どんなに喚こうが、私は動じません!

落ち着くまでちょっと離れたところで遊んでてもらったり、いつまででも待って、慣れてきたら自分から輪の中に入ってきます。ときどき自ら出てもいいし、ひっくり返ってもいいし。それでこの仲間さえ慣れちゃえば、もう大丈夫!

ここで慣れることで、大きいプールに行くという次のステップにもつながるんだと思います。

「迷惑をかけてしまうんじゃない?」なんて、まったく考えなくて大丈夫!

先生   あるお母さんが、「うちの子が来ることでみんなに迷惑をかけてるんじゃないか」って最初すごく気にしていらっしゃいました。でもまったくそんなことないの。今、できてるお子さんを見ちゃうと、そう思っちゃうかもしれませんが、みんな最初は同じ。でも、いつの間にか慣れるから、というお話をしています。だから「うちの子でも大丈夫かな…」っていう心配は、しなくていいんですよ。

五本木   でもすごく分かります。親御さんの気持ち。うちも、本当どれだけ迷惑かけるか分からないって思っちゃうので。

保護者   ここでは、親同士も寛容というか、なにかあってもお互い様だよねという気持ちでみんないるので、すごく気楽です。

五本木   その安心感って大きいですよね!

先生   だからこそ、お母さん方とたくさんコミュニケーションを取るようにしているんです。そういうご家族の悩みも聞きたいし、逆に指導員としてお母さんお父さんに聞きたいことがたくさんあるんです。

「こういう時はどうしてますか?」とか、「この顔はダメなときの顔ですか?こわがってる顔ですか?」みたいな。嬉しい時の表情はわかりやすいのですが、ダメの段階がどれくらいなのか、そのまま続けても良いのかやめたほうが良い限界なのか、というのがわからないことがあるので、そこはしっかりご家族に聞くようにしています。

お父さんお母さんも一緒に入ることで、間近で成長を感じられたり、家ではできない親子のスキンシップがはかれるのが魅力!

保護者   マッコウズって、親も一緒に入るから、皆さんハードルが高いと思われるようですが、そこには良いところもいっぱいあって、大体ここのメンバーは、お父さんが一緒に入っていることが多いんです。もちろんお父さんがお仕事の時とかは、母である私も入ります。でも、メインはお父さんということが多いです。

で、すごく良いなと思うのは、ちっちゃい頃から、水泳を通してお父さんに褒められたり達成感を感じたり、お父さんとの絆みたいなのができてるんですよね。うちは息子なので、思春期になってもお父さんとの繋がりがあることに安心を感じますし、ありがたいなと思います。

先生   ほかの運動とかと違って、水泳は密着度がすごいんです。私が、「お母さん、お父さん、そっちを持って!」と言いますので、常に子どもに触れているし、余計にわかりやすいですよね。それで子どもも嬉しそうなんだと思います。

例えばお子さんがお父さんをおんぶするとか、お父さんが子どもの股くぐりをするとか、逆転させてみたりすると、お父さんも喜ぶんだけど、子どもがすーごく喜びます。そういうところで、家ではできないスキンシップもはかれるかなぁと思いますね。

保護者   どうしても家にいると、「いけない!いけない!」と言ってしまうばっかりなんですが、この会に来て、先生が

「誰に褒められるより、お父さんお母さんに褒められるのが一番うれしいのよ」

って言ってくださって、その通りだなと思いつつ、なかなか褒められない自分がいるんですけど…。
でもこの会を通じて、一生懸命、「できるようになったね~!」って褒めて、本人のテンションをあげつつ、親も楽しみつつやっています。

私たち指導員からしてみたら、お父さんたちの力ってすごいんです!

先生 最初、私がきた頃は、お母さんばっかりだったんです。それで一生懸命、「お父さん、参加してくださーい!」って声をかけていたんですが、今では逆転しちゃいましたね、お父さんが多いので。

並ぶとか待つというひとつの目標も、お父さんが頑張って並ばせてたりするのを見ると、そういうのもいいなぁって思います。

保護者   最初なんて、水着を着替えさせることも、結構とまどってる父親でしたけど、手慣れてくるというか、ああ任せられるんだ、って。そのうち、私がいなくても、2人で行って2人で帰ってくることが多くなりましたね。

先生   お父さんの力ってすごいですよ。感謝状をあげたいくらい!

年度末に先生から渡された、ひとりひとりの1年間の記録ノートに感動

保護者   一番感動したのが、年度末に先生からノートをひとりひとりにいただいて、そこに日々の訓練や練習のことが、すごくあたたかい言葉で書いてあったんです。

先生   大したあれじゃないのよ~。元々はね、私が自分で思い出として書いていて、後で見たときにあの子こんなだったなぁとか、引っ越しちゃった子を思い出したり、自分で見て楽しんでいたんです。

それをたまたま、辞めちゃうお子さんに見せたり、お父さんかお母さんのどちらかしかいらっしゃらない時とか、お家でおじいちゃんおばあちゃんが待っている方も居られるかもしれないし、どういう風にしてるのかちょっと教えてあげたいなと思って、「良かったら読んでください、なにかメッセージ書いてもらえたら嬉しいです」という感じで、お渡ししたのがきっかけなんです。

保護者   それをこう最初から読むとね、そうだったんだ、こんなこともあったんだって思い出すんですよね。今は当たり前にできているように見えるけど実はこれまでこうだったんだって、思い返すんですよね。主人と読ませていただいて、つくづく「あぁそうだったよね」って。「こんなに成長したんだー」って。

先生   水泳って、大人が考えるとぱっとできることでも、子どもに教えるのはその過程から差がありますよね。

「えっ!そこから?」っていうのとか、「えっ!こんなことが必要なの?」ということがあると思うんです。だけどストレートにものを教えても理解できない、遠回りしないとわからないこともあったり、だから逆の発想から入ることもあるわけです。

そういった点も理解してもらいたい。でもそれを練習中にその都度説明をするわけじゃないので、ノートに書いておいて、そうすると案外、後から点が線につながって動きができてつながるみたいな。ことなんかもあるんじゃないかと思いますね。

保護者   一緒に親が入ってても気づけない面ってありますよね。先生からよくおっしゃっていただくのは、「これができたのはすごいのよ!」って。そこで初めて、そうかこれができるようになったことはすごいことなんだってわかることも多いんです。

卒業生には金メダルが。嬉しそうな子どもたちに親たちもじんわり

保護者   卒業生には、ノートと一緒にメダルをくださるんです。先生がお気持ちで金メダルを用意してくださって、それを6年生や卒業していく子1人1人に言葉をかけながら、首にかけてくださるんですが、それを受け取る時の子どもたちは本当に嬉しそうで、「やったんだ!僕」みたいな顔して。そんな姿を見ているとなんか本当に胸が詰まる思いですよね。

先生   金(メダル)しかないから!(一同、笑)

保護者   それを見てるから、次に卒業する子ももらえると嬉しいしね。あれは親からもらうより、先生からもらえるからこそ、すごく嬉しいんだと思います。

マッコウズを卒業したら、中学生以上のクラスへ移行できます

マッコウズを卒業した子どもたちは、そのまま中学生以上のクラス「フリッパーズ」へ移行することができます。

『マッコウズ横須賀』の活動情報

対象:療育手帳を持っている知的障害児(未就学~小学生)
※保護者も入水です
場所:くりはま花の国プール 障害者温水訓練室
時間:毎週土曜日 13:00-14:00
費用:横須賀市在住の方 月2,500円/市外在住の方 月3,750円
(半年分ずつの口座振り込みとなります)

  • 出欠席はとっていません。来られるときに来ればOK!
  • 遅刻も早退も自由です。

気軽に体験からどうぞ!

問い合わせは下記メールアドレスから/担当 望月

sukasuka-ippo代表・五本木 愛 の視点

今回取材させて頂いた『マッコウズ横須賀』さんは障害児向けのプール教室です。

正直、障害児の習い事というのは、なかなか悩ましい問題で、健常児のお子さんのように選択肢が多くあるわけではありません。多くのお子さんが習うプール教室も通わせてあげたい!絶対喜ぶだろうなと思っていても健常のお子さんの通う教室にはとてもハードルが高くて申し込めない…というのが現実です。私自身もそのように思っていました。

しかし、この『マッコウズ横須賀』さんのお話を伺って、 こまかい配慮やその子それぞれのペースで無理強いすることはなく、楽しめていること。これは障害児の親として非常に嬉しいことだし、可能性を見出だすチャンスにも繋がるとても貴重な『習い事』の1つであると感じました。

また、親子で過ごす時間の使い方としてもお父さんと一緒にというのもとても良い関わり方だと思いました。

うさぎのめろんの感想メモ

以前から気になっていたマッコウズ!

年長の自閉症の娘は水やプールが大好きなので、習わせてあげたいと思っていたところだったのですが…場所見知りがあり、なかなか最初の一歩が踏み出せない状態でした。

そんな中、今回の体験に参加させていただきました!

先生方やお母さま方がとてもあたたかく、いつも周りを気にしてチャレンジすることを躊躇してしまっていた私ですが…ここならばと思いました!

泣いてしまった娘にも優しく対応してくださり、本当にありがたい気持ちでいっぱいになりました。プールは無理かなぁと半分諦めていましたが、また挑戦したいです。

ゆかねこの感想メモ

この日の体験を、私もハルもとても楽しみにしていました。

小学校1年生になりましたが、超未熟児だったハルは今もまだ体幹が安定しないため、地上での歩行はフラフラしてしまいますが、プールに入ると、水を力強く蹴ってバタ足を披露!

そう、足の力はめちゃくちゃあるんです。地上ではできない手足の動きを水の中で楽しみ、とても生き生きとしているハルを見て、私は後ろで顔に水をかけられまくりながらも、うれしい気持ちでいっぱいになりました。

・・・

2017.05
取材・体験/五本木 愛・ゆかねこ・うさぎのめろん
写真・加工/五本木 愛・ゆっぴー
文・構成/Yuka Kaneko

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『自分たちが足りないと思うこと、欲しいと思うものを自分たちで作り上げていく』を現実に!夢を1つずつ叶えるために!
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