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【取材File】イチオシはワンちゃんのための安心クッキー!生活介護事業所『トライ Ⅰ(ワン)』ソーシャルスキルも大事に育てたい!社会福祉法人 なないろ/横須賀

横須賀中央駅近く、ビルの一角にある生活介護事業所『トライⅠ(ワン)』。運営するのは『社会福祉法人 なないろ』です。

click here! 社会福祉法人 なないろ
今、横須賀の障害者団体として施策などへの提言を行っている「横須賀の福祉を推める会」のご家族がお子さんの居場所をつくるということで生活介護事業所『トライⅠ』『トライⅡ』を作り、グループホームを作ったのを機に法人化して社会福祉法人なないろを設立。その後、『長沢ベーカリー』もできました。

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こちらでは主にワンちゃん用のクッキーを手作り・販売。他にもカラフルなエコポットや、折鶴のかんざしなども目を惹きます。

今回は、利用者さんの特性に合わせた作業や活動時間の組み立てなど、様々なところに工夫がキラリと光るお仕事や活動の様子を取材させていただきましたので、ぜひご覧ください。

[商品-01]ワンちゃんも安心の無添加クッキー!


▲こちらはワンちゃん用のクッキー。

・ミルク味
・ささみ味
・チーズ味
・キャロブ味

味によってラベル、リボンも違います!お花や、星、車など形も様々♪
そして、ここで気になるのは「キャロブ味」!!聞きなれない方も多いかと思いますが…

キャロブとは・・・キャロブ(carob)は地中海地方原産のマメ科の植物で和名はイナゴマメ(蝗豆)。カカオに似た風味、天然の甘さを持ち、脂質が少なく、カルシウムや鉄も豊富。ノンカフェイン。


▲こちらが「キャロブパウダー」。見た目はココアパウダーに似ています。

海外では既にスーパーフードとして話題の「キャロブ」。中毒性があるためワンちゃんにはあげられないチョコレートですが、こちらの「キャロブ」ならチョコの風味を安全に楽しんでもらうことができます!

また、クッキーの原材料は…

  • オリーブオイル
  • 小麦粉
  • ささみ、チーズ、ミルクはワンちゃん用のものを使用しています。

安心無添加、保存料は一切使用していません!

基本的に作業は利用者さん、職員はサポート

作業については、利用者さんの性格や特性・特徴に合わせて「生地作り」と「型抜き」を分担しています。また、同じ内容の作業でも、利用者さんによって方法を変えるなど、取り組みやすいように工夫しています。

みなさん作業に集中して、1枚1枚、とても丁寧に作られていました。

そして、衛生面については「買っていただく商品作り」を意識して特に徹底しているそうです。

それでは、さっそく作業工程を見ていきましょう!

step.01 生地作り


▲まず職員さんが材料の分量を量り…


▲計量された卵・オリーブオイル・小麦粉等を利用者さんが混ぜています。

こちらの利用者さんは、手先がすごく細やかで器用ということでこの係を担当することになったそうです。


▲こね担当の利用者さんは、ひとつの作業を持続するのがすごく得意で、力強く生地をこねていました。


▲こねた生地はこのようにラップにぴっちりと包み、冷蔵庫で寝かせます。

step.02 型抜き


▲生地を伸ばしていきます。仕上げに職員さんが薄く伸ばして湿気を飛ばします。


▲型抜きの作業。

  • クッキングシートにマスと点が描かれたガイドシートを重ねて、並べやすくしています。
  • 力加減が難しく一度に全ての型を抜いてしまうと、抜けているかどうかがわかりづらいため、ひとつ型抜きをしては、ひとつ並べるという作業を繰り返します。
  • 型抜き後の余った生地を集める際にも、職員さんが「もみもみ、もみもみ」「ぎゅっぎゅ、ぎゅっぎゅ」とリズムよく声かけをされていました。


▲こちらの利用者さんは、職員さんが型抜きしたものをひとつずつ並べています。


▲ズラリときれいに並んだクッキー生地!こちらをオーブンで焼いていきます。


▲こちらは「ラッキークッキー☆」

職員さんが生地の余った部分に顔や模様をつけています!
見つけたあなたはラッキー♪何かいいことあるかも!?


▲焼きあがったクッキーは、とてもいい香りです♪

step.03 袋詰め・ラッピング


▲ピンクの小皿で包装するクッキーを計量します。量ったクッキーはあらかじめラベルを貼っておいた袋に詰めて…


▲封をしたらできあがり!
(小サイズ)80円
(大サイズ)150円
二つのサイズが用意されています。写真は小サイズになります。

納品先は動物病院やトリミングサロンなど、主に8ヵ所に納品しています。
お客様のニーズにお応えし、季節やイベントなどにはラッピングを変えています♪


▲納品先の動物病院へは、FAXで納品予定をしっかり連絡します。

配達は利用者さんと職員さんで行っています。

[開発中の商品]カラフル♪折り紙から作られるエコポット


▲折り紙を再利用して作られているカラフルで見た目もかわいいエコポット。作り方を見せてもらいました!

step.01 ご近所さんでもある「下町作業所」からいただいた折鶴を…


▲利用者さんが休憩中に折られた鶴をいただいています。

step.02 展開して、色分けし、シュレッダーにかけます


▲手間のかかる作業ですが、利用者さん全員が集中してみんなで一緒に携われる作業なのだそうです。

step.03 水でミキサーにかけ脱水。さらに、これを細かくブレンダーで砕きます。

step.04 細かくなった材料をこちらの機械の金型内部に投入。回転・圧縮して完成!

最後はエアコンプレッサーを使って、空気の力でカポッとエコポットを型から取り外します。

・・・

その他、利用者さんのお仕事を少しだけ紹介!


▲こちらの利用者さんは何をしているのでしょうか?手元を覗いてみると…


▲繊細に折られたとても小さな折鶴がいっぱい!


▲元々は右利きでしたが、右手に麻痺が残ってしまったため、現在は利き手ではない左手で鶴を折っています。とても細かい作業ですが、利用者さんがリハビリの中で得た技術です。


▲完成した小さな折鶴はコーティングされ、かんざしとして商品化されています(写真右)。このほか、ピアスなどにアレンジされた商品もあります。写真左は折紙で作られた12角形をキーホルダーにした商品。配色もしっかり考えられています。


▲そんな素敵な折鶴を、私たちにプレゼントしてくださいました!


▲昼食の注文のお弁当の受け渡し・支払いも利用者さんのお仕事のひとつです。


▲ハサミでシュレッダー作業をする利用者さん。ハンドシュレッダーで作業をすることもあります。


▲作業で使用したシートを洗浄して、干しています。物干しの洗濯バサミには、対になるピンチに同じ色のシールが付いていてわかりやすくなっています。

メリハリも大事!のびのび和やかな休憩時間

午前中の作業が終わり、いよいよ休憩時間。

作業を終え、皆さんまったり。職員さんと和やかに談笑をされたり、音楽を聴いたり、読書をしたり…
皆さん各々自由な時間を過ごされていました。


▲休憩時間中、職員さんが親御さんたちへの連絡帳を記入していました。とても細かく1日の様子が書かれています。


▲休憩中、読書をする利用者さん。読んでいるのは料理のレシピ本です。前日に読んでいた電車の本も見せてくださいました!


▲お気に入りの場所で音楽を聴いている利用者さん。プレイヤーから流行りの曲が流れています。

トライⅠに来たばかりの頃は場所に慣れず、こちらに仕切りのカーテンを付けて一時待機場所として使っていたそうですが、今ではその必要もなくなり、カーテンが取り外されています。


▲利用者さんが使用するコップ。手前左側のコップに添えられたストローに注目!


▲飲み物を一度にたくさん飲んでしまう利用者さんのために、切れ目が入っています。こうすることで空気が抜けるので、むせりを防止することができます。

『トライⅠ』の1週間&1日の流れ


▲こちらが1週間の予定。行事や作業予定はもちろん、パートさんやごみの日まで一覧で確認できます。

月・火・水
09:00 出社
散歩
ラジオ体操
朝の会
10:00 クッキー作り  調理実習  クッキー配達
12:00 お昼休憩
13:00 クッキーのパッケージ詰め
シュレッダー作業
折り紙作業
15:30  片付け・掃除
 帰りの会

▲基本的な1日の流れ。注文の量やその週によって変更されることもあります。

運動不足解消のために『マジ散歩』

利用者さんの運動不足解消のため、朝礼前に三笠公園のほうまで散歩に向かいます。
本気で散歩をしよう、という思いを込めて『マジ散歩』と呼んでいるそうです。

朝、気持ちが上がってしまった時や作業前の気分転換として、基本的には行くようにしているそうです。

散歩から帰って来てからラジオ体操と朝礼をして、10時頃に作業を開始するというのが基本的な流れになります。

栄養不足解消のために『調理実習』や毎日の味噌汁の提供

自分たちで食べるものをみんなで作ろうということで、木曜日には調理実習を行なっています。

使う材料は、利用者さんと職員さんでスーパーに買い出しに行き、炒めたり煮たりというのは難しいので主に切る作業をしてもらい、みんなで調理を楽しんでいます。

この他、トライⅠでは月曜日にはまかないとして昼食が提供されています。
メニューは、職員さん手作りのカレーやビビンバなど。不足しがちな野菜を補えるようにと、お味噌汁は毎日提供されています。

【TALK】工夫がいっぱい!思いもいっぱい!職員さんへのインタビュー

「伝えてあげれば、教えてあげれば皆さんできるんです」

やる気があり、チャレンジ精神旺盛な利用者さん。職員さんが特徴をみて、この利用者さんはこんなことができるんじゃないか、伸びるところはやってみようと積極的に挑戦をサポートしているそうです。

そこで大切なのは伝え方。この伝え方ひとつで、利用者さんが自らの思いで行動できるようになるそうです。

利用者さんと職員さんの信頼関係がとても強く、サインや細かい仕草を見逃すことなく、利用者さんの気持ちを汲み取る職員さん。作業が終わるとハイタッチをする場面もあり、お仕事以外でも楽しくお話しされている様子が印象的でした。


▲白衣の着脱をする利用者さんと、それを見守り、自らできるように声かけをする職員さん。


▲クッキーをきれいに並べることができるようになった利用者さんでも、初めはこのような格子のマスに描く練習をしたり、好きな車のスタンプを押したりする練習をされたそうです。今ではクッキーのラベルに賞味期限スタンプを押せるまでになりました。

最初は並べるところから、今ではほとんどの作業ができるように

当初はメンバー2名が、クッキー作業のほとんどを担っていました。

そのおふたりが長沢ベーカリーに移動することになって、じゃあ、ふたりが抜けた後を我々職員でなんとかしなければというところから試行錯誤が始まりました。

最初は並べる作業でも、クッキー生地が潰れてしまっていました。でも根気よくクッキー生地を並べるところから始めて、型を抜く、最終的には生地伸ばしも任せるというように、どんどん僕ら職員の担う作業を減らして、利用者さんに任せる仕事を増やしていきました。

サポート=杖的な役割ができるのが理想

サポートとひとくちに言ってもいろいろですが、基本的には杖的な役割ができるのが一番理想かなと思ってます。

もともと作業しかしていなかったところからスタートしているので、最初はビーズ通し、紐を通してシールを貼るなど、そういうものから始まって、今はクッキーやエコポットなど商品を作ることができるようになっています。

  • 利用者さんの集中力をどこまで保てるか
  • どこまでみんなの気持ちをこちらに向けていられるか

ということも、僕ら職員がお手伝いすることのひとつだと思っています。

『ソーシャルスキル』をアップして社会の中へ

ここは基本的にお仕事をしに来る場所ではありますが、それだけではなくみなさんのソーシャルスキルを上げる場と考えて、時間を組み立てるようにしています。具体的には、

  • 順番を守る
  • 人にぶつからずに歩く
  • 静かに待つことができる

という基本的なことが一番大事だと思っています。

仕事を通して学ぶこともありますが、町中で暮らすということもすごく重要で、みんなで買い物に行くというような活動も、横須賀中央という立地もソーシャルスキルを上げるにはもってこいだなと。

ソーシャルスキルが上がれば、関われる人も多くなるし、それを上げることによって隔たりをなくしていければ、皆さんの未来がどんどん広がる。

障害をどうクリアにしていくか、みんなの個性や特性は一旦受け入れながら、少しずつ社会に寄せていく。
それが豊かな人生に繋がっていけば良いなと思います。

遠足ではオービィ横浜やディズニーランドにも

遠足の課題は「電車で行くこと!」

ディズニーランドには車で行きましたが、オービィ横浜には電車で行きました。

経験はすごく大事だと思っているので、経験したことのないことはひとつひとつしてみよう!というかたちでチャレンジしています。

トライⅠの一員として僕ら職員も楽しんでいこうと思っています。職員が楽しまないとみなさんも楽しめないだろうと。

言葉がないぶん、喜怒哀楽のような感情は伝わりやすいんです。言葉では伝わらなくても気持ちは伝わると思っています。だから、どんなかたちであれ、伝えることが一番大事だと思います。

・・・

生活介護事業所『トライⅠ(ワン)』の基本情報

〒238-0006
横須賀市日の出町1-6-8フォレースよこすか1-C
TEL/ 046-828-5658
FAX/ 046-828-5659

運営/ 社会福祉法人 なないろ

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sukasuka-ippo代表・五本木愛の視点

今回取材した『トライ Ⅰ 』は、訓練するのではなく、当然、無理強いすることもなく、利用者さんができることを職員の方が見つけ、ひとりひとりの特性を理解して、仕事に繋げていました。

事業所に取材に行き、職員の方がよく言われることがあります。

  • 子どもの頃からずっと続けているこだわりの中に、仕事に支障があるものがいくつかあること
  • 大人になってからそのこだわりをやめさせるのは大変
  • だから、小さい頃からこだわりにしないように工夫してもらえると良いのだけど…

具体的に今回の『トライⅠ』の取材でも、トイレについてのお話がありました。トイレへのこだわりがある方は比較的多いようです。

でも、幼少期の保護者からすると、どんなこだわりが将来、問題になのかはわかりません。
また、日々の生活の中で「このこだわりは、このままにしておくとまずいな」と思っても、泣いて暴れられるくらいなら…とついその場しのぎで対応してしまうことも正直あります。

私自身もこれだけ取材に行っていても、なかなか自分の子どもの将来を明確にイメージすることができません。
でも、今の生活がそのまま将来につながっているということを意識することで、見える課題、できる行動があると感じます。

横須賀市の事業所は、見学などを申し込めば快くお話を聞かせてくれるところがほとんどだと思います。
とはいえ、個人ではハードルが高いのも事実。
そんなときは是非、『sukasuka-act(すかすかあくと)』の見学ツアーなどを活用してください!百聞は一見にしかず、施設を直接見ること、支援者の方のお話を直接聞くことで得られるものはとても大きいですよ!

私自身もまた、取材の際は、幼少期の子どもを育てる家族の視点で、将来に繋がるお話を聞けるようにしてきたいと思います。


・・・

2017.07.12
取材/ 五本木愛・うさぎのめろん
写真・加工/ ゆっぴー・うさぎのめろん
テープ起こし/ うさぎのめろん
文・構成/ うさぎのめろん
編集/ takeshima satoko

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『自分たちが足りないと思うこと、欲しいと思うものを自分たちで作り上げていく』を現実に!夢を1つずつ叶えるために!
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