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【寄稿】きょうだい児の視点『障害を持つ弟に対する姉としての気持ち。そして今、親として/ 芝田 弘子(横須賀市肢体不自由児者父母の会)

障害を持つ弟が産まれたのは、私が12歳の時でした。遺伝の病気です。

弟が赤ちゃんの時期はかわいくて、わたしも毎日、子守りをしていました。でも、3年くらい経った頃から「障害児の弟」として見るようになりました。

そしてそれを自覚してから、私には友だちから弟を隠したいという気持ちが芽生え、友だちを家に呼ぶことができなくなりました。

でも一方で、そんな自分の気持ちを母に気付かれないように努めていました。弟の障害を悲観して夜中にシクシクと泣いてる母の姿を私は何度か目にしていたからです。そして、そんな母を気遣わなくてはならないと感じていたからです。

母は今でも、そんな当時の私の気持ちを知りません。

そして、その頃、私は「とにかく早く高校を卒業して独り立ちしたい!」と、そのことばかりを考えて過ごしていました。

真剣なお付き合いだからこそ悩んだ「弟のことを打ち明けるべきか」

その後、高校を卒業して、就職して、今の主人とのお付き合いが始まりました。

そうすると、次に出てきたのは「弟のことを打ち明けるかどうか」という問題でした。

「弟に障害があることを話したらどうなってしまうのか?もう会えなくなるのかな?」と、会う度に不安が増してきて、心配ばかりの日々でした。

真剣にお付き合いをしていくなかで、とうとう弟のことを隠しておけなくなり、話すことにしたのですが「弟のことを聞いて、引くような男なら諦める!」と覚悟を決めて話をしたのを覚えています。

でもそんな心配に反して、彼はスンナリと受け入れてくれました。正直、拍子抜けしてしまいました!

そして嬉しいことに、その後、すぐに弟に会ってくれました。

彼の両親も結婚に反対することもなく、「お前が良いと決めたのなら、頑張れ!」と言ってくれたそうで、それを聞いてとても嬉しかったです。

結婚、そして遺伝の病気を持って生まれた三男

その後 結婚し、長男、次男は健常児として産まれ、三男の直哉は遺伝の病気を持って産まれました。

その時に私が思い、心配したのは「長男・次男に私と同じ思いはさせたくない!」ということ。

そこで、私が考え、実践したのは、長男・次男の友だちをなるべく家に呼び、直哉も一緒に部屋に居させてオープンにすることでした。

それを親として常に心掛けていたので、その頃の長男・次男は「弟を隠したいとか友だちを家に呼びたくないということは思わなかった」と言っていました。

思春期になると気持ちに変化、我慢の裏側にある「寂しかった」

そんな長男と次男ですが、やはり思春期には少し気持ちに変化がありました。

長男は自分の目標をしっかり持ち、曲がることはありませんでしたが、親にほめてもらいたいという思いもあったのでしょうか、頑張って福祉学科に進みました。

・・・

そして、次男はというと、中学に入学を機にグレました。
せっかく入学した高校も中退し、疲れるほど…色々なことがありました。

高校を中退してからは自分で頑張って立ち直り、定時制高校を卒業し、就職し、今では弟思いの優しい次男です。

あとになって次男が話してくれたのは、私が障害児の直哉にばかり目を向けていて「寂しかった」という当時の気持ち。

思い起こせば、小さいころから長男と次男の性格は対照的

長男は甘えん坊で、次男は手の掛からない子でした。

私は知らず知らずの内に、甘えん坊の長男ばかりを気にして、その一方で次男は寂しい思いを我慢していたのだと知りました。次男はずっと「自分は男だから!」と我慢していたようです。もちろん長男も色々な場面で我慢して、頑張ってくれました。

個々の環境によってきょうだい児の受け止め方というのは変わると思うのですが、私自身と私の息子たちの思いには共通点があり、それは「本当は母親に甘えたい、でも障害を持つ弟がいるから甘えられない」というものでした。そして、そこでは「我慢する」ことが強いられました。

最後に…

今は29歳と27歳になる長男と次男、そして、私と主人は、

直哉に会えて良かった
この子で良かった

と、心からそう思い、直哉のお陰で今、家族が笑顔で過ごせているのだと感じております。

芝田 弘子(横須賀市肢体不自由児者父母の会)

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