横須賀にある国内唯一の特別支援教育のナショナルセンター『国立特別支援教育総合研究所(特総研/NISE)』で、2017.11.11(土)、研究所一般公開イベントが開催されました。
『研究所』と聞くとちょっと難しそうと思われるかもしれませんが、迎えたイベント当日。研究所内は大変賑わい、どの部屋も体験コーナーが充実。親子で楽しく参加する姿が多く見られ、関心の高さが窺えました。
今回はそんな『NISE(ナイセ)研究所一般公開』イベントの様子を写真とダイジェストでリポートしたいと思います!
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▼今回のイベントでは、sukasuka-ippoは託児コーナー担当として、sukasuka-makerではチラシ・ポスターのデザインのお手伝いをさせていただきました。
託児コーナー(キッズスペース)
事前受付不要で利用できる託児コーナー。sukasuka-ippoの託児スタッフ(保育士資格保有&実務経験を含む)4名で対応しました。
【イベントレポート】親子で楽しめる企画がいっぱい!体験する特別支援教育『NISE研究所一般公開』
▲駐車場はドーンと80台分!
▲目の前に野比の海岸を望む絶好のロケーション。
その他、JR久里浜駅・京急久里浜駅やYRP野比駅からバスやタクシーでもアクセスできます。
まずは受付ロビーでスタンプラリーの参加用紙をゲット!各種ツアーの申し込みも盛況
ご覧の通り、人がいっぱい!参加に申込・整理券が必要な『生活支援研究棟見学ツアー』や『あん摩マッサージ体験』などは、特に人気で、午後には整理券の配布が終了していました。
【注目イベント】今年は横浜高校野球部前監督の渡辺元智氏の講演
当日は、プロ野球選手を多く輩出した横浜高校野球部前監督の渡辺元智氏を講師に迎えた講演『愛情が人の心を育て、人を動かす』が開催され、NISEの理事長との対談も行われました。
【注目イベント】車いすバスケットボール
東京パラリンピックの正式種目として注目される『車いすバスケットボール』。選手による迫力あるプレイを観たり、実際に競技用車椅子に乗って体験することができるイベントが、午前と午後、各2回行われました。
生活支援研究棟見学ツアー
肢体不自由・知的障害・視覚障害を併せ持つ重度重複障害のお子さんが過ごしやすい環境についての研究成果や相談実績を元に、家庭や学校でもすぐに使える工夫や配慮をわかりやすく展示してある生活支援研究棟。一般家庭で使えるアイデアがいっぱいです。
大盛況のミニ講義!発達障害の特性を疑似体験
▲聴講する人がいっぱい!関心の高さが窺えます。
スタンプラリーで研究所内を楽しみながらくまなく見学!
▲スタンプを集めながら研究所内を見学することで見落としなし!全部集めると最後に素敵な記念品がもらえます!
▲研究所内のいたるところで、楽しそうに見学する親子連れの姿が見られました。
発達障害教育の体験>>やっぱり人気!各種教材・教具がずらり
▲こちらのコーナーでは、実際に障害のある方がどのように感じているかを体験できます。
言語障害教育の体験>>見て体験・吹いて体験
楽しく言葉の学習をする工夫がいっぱい。吃音についてのパネル展示や各種資料のほか、各種訓練の映像や吹く感覚をゲーム感覚で体験できるコーナーもあります。
▲口をすぼめて息を吹きかけるとクルクル!ストローと綿棒を使った吹き矢など親子で楽しく体験できます。
ICT活用実践演習室>>タブレット活用や教材・教具作成の体験や手作りおもちゃコーナーも
▲こちらの演習室でタブレットを使った授業などが体験できます。次の体験までの空き時間中、この室内の様子は…
▲このモニターに映し出されています。普段は教壇に立つ先生の様子をモニターに映して解説するなど、実際に研修等で活用されています。
親子で作って遊べる各種工作コーナーも併設
視覚障害教育の体験>>3Dプリンタや触れる印刷物など見所いっぱい!
▲お子さんが特殊な眼鏡をかけて色ごとに並べる体験中。
▲触感や音で確認したり楽しめるグッズがずらりと展示されています。
▲3Dプリンターでの実演。左側のPCに映し出されている立体を右奥の装置で出力中。一層ずつ重ねて作っていくので、できあがるまで40分ほどかかるそうです。
平面のイラストをこの機械に通すと、あっという間に線が盛り上がって触れるイラストに。線はビロードのような手触りです。
その他、スタンプを集めながらいろいろな教育を体験できます
▲自閉症教育の体験ルームでは…
▲教材や障害のある児童がつくったすごろくを実際に触ってみることができます。
▲肢体不自由教育を体験。障害者スポーツの一種『ボッチャ』体験は親子連れに人気
車椅子乗車体験では、スポーツタイプ車椅子の機動性にビックリ!
※ 写真は、sukasuka-ippo代表・五本木愛(左)と見学中にばったりお会いした放課後等デイサービス『いちごいちえ』の佐藤さん(右)
特別支援教育はもちろん各分野の専門書がずらり!図書室も公開
所蔵は7万冊程。教育関係、特別支援教育関係、障害に関連する医療関係のほか、国内外の雑誌や点字、拡大教科書、障害を扱った映画まで揃う図書室も公開されていました。
拡大読書器や、カラーを白黒に、さらに白黒を反転する機械もあり、そうした方が見やすいという方のニーズにも応えられるよう環境が整えられています。他にも活字読み上げ機能なども…。
事前に連絡をすれば一般の方も利用できますので、是非ご活用ください。平日9:00~17:00(昼休みあり)
当日は、研究所内に特別支援教育関連の書籍販売ブースの出店もありました。
子どもも大人も興味津々!大人気のスヌーズレンルーム
Snoezelenとはオランダ語のスヌッフレン(くんくん匂いをかぐ)とドーズレン(ウトウトする)の2語を組み合わせた造語で、障害者のためのリラクゼーション空間として活用されるのがこちらのスヌーズレンルーム。幻想的な雰囲気に親子連れの人気も高く、常に賑わっていました。
人気のあん摩マッサージ体験
特別支援学校(視覚障害)で職業訓練として行われているあん摩マッサージを1回15分300円で受けられるこちらのコーナー。
人気のため、お申し込みはお早めに!
作業所による販売コーナー>>パンやあったかメニューに行列がずらり!
▲こちらではあったかいカレーやシチューのほか、各種ドリンク、焼き菓子やパンなどが販売されています。
▲美味しい匂いが漂う中、行列がずらり!
▲13:30にはお食事メニューが売り切れ。焼き菓子はまだまだ人気。
▲パンが売り切れた後も、マンゴーパイとラズベリーパイを追加販売!
▲購入したものは、こちらのテラスでゆっくり食べられます。
事前のお申し込み不要の託児コーナー(キッズスペース)も大盛況!
- 保護者の方が研究所内をゆっくり見学する間、お子様は楽しくお留守番!
- 今年はsukasuka-ippo(保育士資格&実務経験ありのメンバーを含む)が託児を担当させていただきました!
▲その場で必要事項を記入していただき、お子さまをお預かりします。もちろん、保護者の方と一緒におもちゃで遊ぶことも可能です!
▲研究所内をトレードマークの白杖を片手に歩き回るゆるキャラ『つえぽん』がキッズスペースにも遊びに来てくれました!
▲ピエロさんが出し物をしてくれました。親子連れの観覧も多数。
託児担当メンバー・misaの感想今回の託児(キッズスペース)は、事前申し込み不要。その場で必要事項の聞き取りをしてお子さまをお預かりしましたが、短い時間だけ利用された方、午前と午後の2回利用してくださった方、親子でプレイルームとして利用された方など様々でしたが、多くの方にご利用いただきました。
・保護者の方にはじっくり見学を楽しんでもらう
・お子さまには楽しい時間を過ごしてほしい
今回のイベントのように、障害のあるなしに関わらずお子さまをお預かりする託児について、特に障害のあるお子さまの保護者の方々はお子さまを預けること自体に不安を感じていたかもしれません。
実際に、詳しくお子さまのことをお話ししてくださったり、「すぐ戻りますから!」と慌てている保護者の方もいらっしゃいました。そんな時には「大丈夫ですよ、焦らずゆっくり見学してきてください!」とお声をかけさせていただきました。
私自身、障害児を育てる親なので、人に預けることに対する不安や迷惑ではないかという遠慮の気持ちはとても良くわかります。けれど、お預かりする立場でいうと、とにかく一緒に楽しむことを考えているので、遠慮せずどんどん利用していただきたいと思っています。
お迎えにいらした時には「なかなかこういう所をゆっくり見学することはできないので助かりました、ありがとうございました」など感謝の言葉をいただき、とても嬉しく思いました。
参加者の声をご紹介します!
今回の取材中に、親子で参加されていた当事者のご家族や支援者の方にもお会いしました。個別にイベントの感想を伺ってみたので、ご紹介します。
Oさんの感想[当事者のご家族]
特総研の見学は初めてでした。15時くらいに特総研に着いたのであまり体験はできなくて残念でしたが、いろいろと見ることができて良かったです!
知的障害のある生徒用の教科書を見たのですが、すごくよくできていて、音楽の教科書には、『崖の上のポニョ』や『魔女の宅急便』などが載っていてビックリしました!ジブリの協力で教科書に載せられたらしいです。
でも、すごく良い教科書なのに、実際にはあまり使われてないようで残念だなと思いました。
私も特総研で教科書を見てなければ知らないままだったので、行って良かったなと思いました!
託児所は本当にありがたかったです。
最初、託児の場所がわからず、子どもを連れて見ていましたが全く見られず(>_<)
託児で預かってもらい、ゆっくり見学することができたので本当に良かったです!
ありがとうございました。
ゆかりさんの感想[当事者の家族]
初めて行きましたが、まず第一に大盛況!と驚きました。各部屋でのブースに分かれてて、とても見やすく、実際に触れることもでき、親子で楽しめてとても良かったです。
託児があったおかげで、興味があったブースとぜひ聞きたかったミニ講義も聞けました。
子どもたちも「まだ遊びたい!帰りたくない!」と言うほど楽しませてもらいました。親子共々、楽しめてゆっくり見られてとっても助かりました。ありがとうございました。
帰りながら主人と「横須賀にこんな素晴らしい所があるなんて知らなかったよね。凄かったね!」となんだか嬉しく、夫婦共に胸がホクホクしました。
学生さんから幅広い方々が来ていましたが、一体この中に横須賀の教育関係者はどれくらい来ているんだろう??知られてはいるのかなぁ?とも考えてしまいました。
こんな立派な施設が横須賀にあるのだから、少しでもたくさんの方に周知してもらいたいですね。
また来年も楽しみにしてます!
Kパパの感想[当事者のご家族]
横須賀にこれだけの施設があることを知りませんでした。研究施設なので一般人にはなかなか認知されていないと思います。
大変興味深い内容であり、感心させられることばかりでした。
託児サービスがなければじっくり回ることもできなかったので助かりました。安心して預けることができました。
子どもたちも楽しめる工夫がされており、子どもにとっても良かったのではないかと思います。
様々な障害について知ることができ、参考になりました。支援が必要な方々への更なる支援を今後も期待します。
佐藤さんの感想[放課後等デイサービス『いちごいちえ』/相談支援事業『ハッピーサポート恵心』]
私がNISE一般公開に訪れたのは今回が2度目。1度目は 今から10年以上前になりますでしょうか…。
当日、まずビックリしたのが来場者の多さでした。イベント企画内容や広報宣伝活動も良かったのだろうと思われますが、 私が以前訪れた時には学校・福祉・保護者等の関係者が多かったように記憶しています。
しかし今回の来場者の中には地域の一般の方も多く来場されていた様子でした。地域の方々の関心の高さに感銘を受けました。
NISE内の各ブースは一般の方も親しみやすいような展示方法や体験型と工夫がなされていました。
例えば言語障害教育のブースでは、ストローを使い息を吹き掛けると廻るコマや綿棒吹き矢の体験コーナーがあり、こちらは唇でしっかりストローを挟む、綿棒の矢やコマを廻すために息を吸って吐く等の動作が遊びを通して体感することができまし た。
一口に障害と言っても個々に特徴や成長にも差があり、指導方法も 個別的対応が必要とされます。こちらでの教育研究がもっと一般化され、更には学校教育以外、地域で暮らす子どもたちへの理解へとつながっていくと良いなと思いました。
そのためのきっかけ、まずは広く知ってもらう良い機会ともなる素晴らしいイベントと感じました。
スタンプラリーを全部集めて少年のように喜ぶ佐藤さん。
【関連記事】当日参加できなかった方は、取材記事をどうぞ!
sukasuka-ippo代表・五本木愛の視点
国立支援教育総合研究所(特総研)には、sukasuka-ippoの取材や見学ツアーなどで何度か来させていただいていますが、今回の研究所一般公開イベントは体験型のブースが多く、見応えもあり、お子さんを連れてご家族で来場されている方もたくさんいました。
また、こちらの研究所には2ヵ月泊まり込みで支援教育の研修を受けに全国から先生方が集まると聞いています。横須賀市内の特別支援教育に関わる先生方も平日はお忙しいでしょうが、今回のような休日のイベントであれば参加しやすく、ご家族と一緒に参加することもできるのかなと思いました。
実際、会場では知っている先生方、ご家族で来られている先生にお会いしました。保護者も先生方も関心を持ち、支援教育のナショナルセンターと言われている研究所のイベントでお会いできるというのはとても嬉しく思いました。
・・・
2017.11.11
NISE研究所一般公開
取材/ 五本木愛・takeshima satoko
写真・加工/ pototon・ゆっぴー
文・構成/ takeshima satoko
sukasuka-ippo
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