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【学習会レポート】差別ってなんだろう?合理的配慮ってなんだろう?障害者権利条約と障害者差別解消法

 

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権利、差別、条約、法律…そんな言葉にとにかく難しそうだとあきらめていませんか?

2016年2月9日、横須賀市勤労福祉会館で開催された障害者施策検討連絡会主催の学習会「あたりまえに働き えらべるくらしを~障害者権利条約を地域のすみずみに~」にsukappo隊も知識ゼロの状態で参加しましたので、講師の赤松英知さんの事例を交えたわかりやすい説明をみなさまにもご紹介したいと思います。
1枚の紙面にギュッとまとめたPDF版【取材File】もご用意しました!どうぞご覧ください。

当事者が議論に参加して作り上げた条約への理解を広げよう!

当事者が参加して作った差別のものさし!それが障害者権利条約

それまでは障害者が後述する事例にあるような辛い思いをしても、
「それは差別なの?仕方ないことじゃない?」

というように差別をはかるものさしがありませんでした。
そこで2000年から国連で議論され、ニューヨークの本部で6年ぐらいかけて作られたのがこの『障害者権利条約』です。

日本からも当事者や障害者団体が参加して議論してきたため、水準の高い条約になっています。

「何もしない」という差別もある!?

2006年に国連総会において採択され、日本も2014年に批准したこちらの条約ではまず『差別』について次のように定義しています。

  • 差別とは…障害にもとづくあらゆる区別・排除・制限
  • 合理的配慮をしないこと=これも差別である。

ここで注目したいのは、『合理的配慮』という言葉。

これは障害のある人が社会参加するために必要な配慮をしたり環境を整えたりすることを指していて、例えば車イス利用者のためにスロープをわたすなどが例として挙げられます。

  • 整備をしないこと
  • 配慮をしないこと
  • そういう配慮が必要だと知らないこと

なども、すなわち障害者の社会参加を妨げる=いわゆる差別なんだよ、ということを示した新しい概念なんです。

そしてこれは後述する障害者差別解消法にもしっかり盛り込まれています。

特別視してほしいんじゃない、同じスタートに立てるように

そして、もうひとつ押さえておきたいのは

「わたしたち抜きにわたしたちのことをきめないで!」

というこの条約に込められたメッセージ。

そう、この条約は「障害者のために特別なことをしてください!」と言っているのではなく、障害のない人と同じように社会で頑張るためにまず同じスタートラインに立たせて欲しいと求めるものなのです。
例えばスロープや点字ブロックの設置も十分でないなど、社会はまだまだ障害のない人が基準となって作られています。

まずは障害のない人もある人もいるという認識を持ち、「社会を作る議論に障害者も参加しよう!」そんな思いがこの条約に込められています。

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▲申し込み不要・参加費無料の学習会、

当日はたくさんの人が集まりました。

2016年4月から施行される障害者差別解消法への理解を広めよう!

この法律は、例えば障害を理由にした採用拒否や入店拒否をした会社やお店を罰することが目的ではありませんが、障害を理由とした不当な差別的な扱いを役所も会社もお店も「してはいけない」と明言しています。

そして障害のある人から何らかの配慮を求められた場合に負担になりすぎない範囲で社会的なバリアを取り除くための配慮、いわゆる「合理的配慮」を

  • 役所には「しなければいけない」義務
  • コスト面の問題が生じるとの理由でお店や会社には努力義務

としています。

このあたりは今後の課題。

まずはみんなでこの法律を社会に広めていくことが差別解消の第一歩です!

障害のある人の現実・障害のある人から届いた辛い思いをした事例

講師の赤松さんが資料にまとめ、学習会当日に取り上げられた事例の中からいくつかご紹介します。

【行政関連】

  • 市民プールで「他の人の迷惑になるから、子ども用プールで遊んでください。」と言われた。
  • 目の見えないわたしが会議に参加するよう頼まれたが、行ってみると紙の資料しか用意されていなかった。

【教育】

  • 修学旅行に行くのに、医療的なケアが必要なことを理由に、わたしだけが親も一緒に行くことを条件にされた。
  • 小学校への入学を希望したら、「学校は排泄の介助はしない」「排泄の介助は教育ではない」といわれた。

【公共機関】

  • 航空会社から、もしもの時に障害があるからひとりで逃げられないことを理由に、飛行機に乗ることを断られた。
  • 駅で、どの電車に乗ったら目的地にいけるかを職員に聞いたら、わかるように説明してくれなかった。

【医療】

  • 病院で「重い知的障害があり、待つという意味がわからないので、順番を早めてください」と頼んだが、「どの子にも平等に待ってもらいます」といわれ、子どもがパニックになってしまった。

【サービス(小売店・飲食店等)】

  • 店に入ろうとしたら、車いすの人(盲導犬をつれている人)はお断りといわれた。(小売店・飲食店)
  • 障害者用の駐車スペースに障害のない人が駐車するのを店の人も知っているのに対応してくれない。

【サービス(銀行・保険等)】

  • 精神障害を理由に生命保険に入れなかった。
  • 銀行口座の開設に当たって自筆での署名を求められ、手を動かすことのできないわたしは開設できなかった。

【サービス(住まい)】

  • アパート契約のときに障害があることを伝えると、貸してもらえなかった。

【災害時】

  • 避難所で、精神障害のある人は裏口から出入りするように求められた。
  • 避難所で、聴覚障害があることを伝えていたのに、必要な情報を声でしか伝えてくれなかった。

【雇用・就業】

  • 車いすにのっていてもできる仕事はあるのに、障害を理由に採用を断られた。
  • 会社で昇給のために英語力の試験があるが、聴覚障害者はヒアリングができないので、受けることができない。

など。

講師 赤松 英知さんのプロフィール

1977年に全国の16の小規模作業所が集まって結成され、現在は全国に1800ヵ所超の会員を有するきょうされんの常務理事を2014年4月から務めている赤松さん。

もともとは作業所に20年勤務。

その後、2010年4月から2014年3月まで、障害者制度改革、障害者権利条約の批准に向けた国内法整備を整える目的で内閣府の障害者制度改革担当室に勤務し、障害者基本法の改正、障害者総合支援法の制定、障害者差別解消法の制定の事務方として活動されてきました。

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▲優しい語り口が魅力の赤松さん

sukappo隊長・五本木愛の視点

権利条約なんて言葉を聞いただけでは絶対難しい話だと思って尻込みしちゃいますが、今回の学習会で本当に分かりやすく教えてもらったら「そうか!要は私たち障害者やその家族が普段考えてること、望んでいることを条約にしてるだけなんだ!!」と身近に感じることができました。

確かに、こういう条約や法律があるから全てが解決するなんてことはなく、世界を含めどこまでこれが浸透するんだろう?なんて考えると少し不安にもなりますが、赤松さんのお話にあったとおり、まずは私たち、当事者や当事者家族が地道に動いていかなければならないんだと強く思いました。

このように条約になった原点も私たち当事者の思いなのだから、これを進めていくのも私たちの努力が必要!

私にできることの第一歩、今回知り得たことを多くの人に伝え、みんなで情報を共有できるように呼びかけていきたいと思います。

 

取材日:2016.02.09
取材・撮影:misa・がらっぱち・pototon
編集:pototon

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