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【取材File】0歳から100歳までが共生できる場所!学童とデイが一緒になった『きりんグループ』にも注目!/社会福祉法人 横須賀基督教社会館

JR田浦駅から歩いて7分、田浦郵便局の向かい側にあるこちらの建物。

この存在感のある外観、普段目にしていてもどのように利用されているのかはよくわからない…という方も多いのではないでしょうか。

こちら『横須賀基督教社会館』は、乳幼児から学齢期の子どもたち・高齢者・障害のある方・そして地域の誰もが利用できる複合施設。主に地域の方を中心に、子供から大人まで幅広い世代の繋がりを大切にしながら、誰もが安心して暮らせる場所を目指すという理念のもと、1946年に開設されました。

その時々のニーズに合わせながら事業を増やし、現在では

  • 児童福祉
    …善隣園保育センター・学童保育きりん・放課後等デイサービスきりんグループ
  • 高齢者福祉
    …地域包括支援センター・『喜望の園 』デイサービスセンター など
  • 障害者福祉
    …障害者相談サポートセンター・田浦地域活動支援センター『こまめの会』・地域リハビリセンター など
  • 地域福祉
    …ボランティア活動支援・福祉の講座や研修の開催 など

と、たくさんの事業所が集まる複合施設となっています。
同じ館内で、障害のある人もない人も、子どもから大人までいろいろな世代が自然な関わり合いを持って過ごせるのが大きな特徴です。

ということで、今回も盛りだくさん!
【第1部】では施設内をじっくり見学
【第2部】では障害児の親としては特に気になる学童と共存する放課後等デイサービスに迫ります!

【第1部】館内を見学!各階の中心はロビーのようになっています

社会館は創立70周年!?時代のニーズに合わせて立ち上がった事業の集合体

この社会館は、1946年に教会として始まり、去年で70周年を迎えました。
1948年に善隣園(保育園)が開設され、それから1950年代には母子寮ができたり、愛育園という肢体不自由の施設が立ち上がったりしました。

喜望の園というお年寄りのデイサービス、認知症に特化した高齢デイもあります。あと身体の不自由な方のデイサービスや知的障害の地域作業所があったり…と、その時々のニーズに合わせてどんどん事業所ができて、今はその集合体みたいな形で複合施設が成り立っています。

それまでは2階建ての施設だったんですが、実は20年くらい前にいろんな施設を立ち上げるにあたって全面改築しました。

・・・

8階建ての建物の1-3階部分に色々な事業所が同居するこちらの社会館。各フロアに共通しているのがこの中央の円形のソファーです。各事業所の利用者さんが自然と行き交う交差点のような役割を果たしています。

では、支援の対象別にまとめて、ご紹介したいと思います。

[児童福祉]0歳から小学生までの子どもがのびのび!学童・放課後デイは一緒に活動

学童保育『きりん』・放課後等デイサービス『きりんグループ』[3F]

▼ロッカーは1人1つずつ。現在14名が在籍しています

▼学校から帰ってきてからの流れ。子どもたちが視覚的にわかりやすいよう絵カードを使っています。

▼放課後デイサービスのお部屋はこちら。テーブル・座卓等に分かれて宿題をします。 

・・・

▼そしてこちらが学童保育のお部屋。小学1~6年生まで、25名います。(2017.02現在)

デイの子どもたちもここで一緒におやつを食べたり遊んだりしています。


▲壁にはチーム分けの紙が。
これは縦割りで、学童の子とデイの子、また学年も1~6年生まで均等になるように組み合わせたチーム。

「このかっこいいチーム名も子どもたちが相談してつけるんです。その様子を見ていると、ちゃんとデイの子の意見も聞いているんですよね。『どうすんだよ』とか『お前なんかあんの?』とか、聞き方はぶっきらぼうなんだけど、そうやって聞いてもらうとお話しできる子はちゃんと希望を言ったり、喋れない子のことも考えて『○○くんはこれが好きだからこれにするか』とか、さりげない子どもらしい関わりをしてくれてます」


▲お部屋の外には掲示板も。予定やお知らせはこちらで確認します。

善隣園 保育センター[1F]

社会館には0歳~5歳の子まで通う保育園もあります。園児数はなんと120名!

育児相談・遊びの教室・開放保育も行っています。
また、平成12年には東逸見町に乳児保育の分園「こばと園」を開設しました。


▲ホールに面した壁の一部がガラス張りになっていて、エレベーターを社会館利用者と子どもたちが互いに手を振りあってコミュニケーションがとれたり、さらに出入り口からもチラリと中の様子が伺えるようになっています。


▲園庭です。夕方になるときりんグループの子どもたちも混ざって一緒に遊ぶことも。

[障害者福祉]相談も通所もひとつの場所で!知的障害・身体障害それぞれに合った支援を提供

田浦障害者相談サポートセンター[3F]


横須賀市内にある18の指定相談支援事業所の中のひとつがここ、田浦障害者サポートセンター。

障害のある方の総合的な相談窓口であり、サービスの調整やケアプランの作成も行っています。

施設内にあるので、支援する側の職員などにとっても意見交換の場になり、連携がとりやすく良い関係で仕事ができるのだとか。

田浦地域活動支援センター「こまめの会」[3F]


▲こちらでは主に身体障害のある方が、『当事者主体』をコンセプトとした手工芸品などの作業や自主トレーニングなどの活動をしています。


▲こちらは卓上のはた織り。使う糸の順番や組み合わせは自由!皆さんとても楽しんでやっていらっしゃいました。ボランティアの先生が教えに来てくれています。


▲織った布で作ったベストとポーチ。世界に一つしかないとても味のある作品です

大きなはた織り機もあり、時間をかけて製品にしていきます。作ったものはバザーへ。


▲縦糸を張るのがすごく大変だという説明に、「俺にかかれば!」と頼もしく胸を張る利用者さん。


▲利用者さんの手作りの棚があちこちに!

ほかにも・・・

  • パソコンが得意な方がいるので、名刺などの印刷物も作っています
  • 毎月1回、きりんグループのおやつを担当。作り手である当事者は男性が多いということで、ガッツリした丼ものやそば飯など、まさに男飯!

田浦障害者地域リハビリセンター[3F]

ここでは身体障害をお持ちの方が、身体機能や家事や仕事などの社会生活力向上のために必要な訓練を受けられます。


▲自立訓練・機能訓練室


▲明るく、ロケーションが抜群!目の前に教会・横須賀線を眺めることができます


▲さまざまなリハビリ機器が充実!

田浦障害者活動センター(就労継続支援B型)[2F]

ここは主に知的障害をお持ちの方で基本的な日常動作が可能な方が、地域に根差した作業活動をしながら、社会性を身につけるための通所サービスセンター。

集中して作業されている中、手元をのぞかせていただくと…


▲ひもをほどいて巻く作業でしょうか


▲縫いものは、針糸を通すところに目印が


▲障子張りの仕事も引き受けます!

主に地域の高齢者などから作業依頼を受けて活動しています。
そのほか生活体験として、調理や買い物をしたり、レクリエーションも大切にしています。


▲ちょうどこの日も、活動センターの方がクッキー作りをしていました
こちらは共有の調理室なので、各事業所の方、地域の方も利用できます。料理教室に使われることも。


▲こちらのミサンガはバザーの時はもちろん、いつもこちらで販売しています。色合いの相談にも乗ってくれるそう!

[高齢者福祉]さまざまな相談からデイサービスまで!子どもたちとのふれあいもひとつの楽しみ

地域包括支援センター・介護保険サービスセンター[2F]



▲高齢者福祉に関わること全般の相談を受け付けています。


▲仕切られたスペースで落ち着いて相談できます。


▲車いすの貸し出しも。怪我の時など短期間の利用でも手続きをすれば気軽に借りることができます。

デイサービスセンター 『喜望の園』[1F]

こちらは介護を必要とする方が通所されています。送迎はもちろん、介助入浴も行っています。
日中活動は、楽しみながら身体を動かすプログラムが中心。機能訓練として、階段の上り下りも。

善隣園の子どもたちはここへ来て一緒にボールあそびをしたり、足の体操をやったり、数を数えてあそんだり。きりんさんも、夏まつりに招待されてステージ発表に参加させてもらったり。給食を一緒に食べることもあるんだそう。


▲お風呂。こちらで入浴介助を行います。高齢者だけでなく、通所の身体障害の方も利用します

田浦高齢者デイサービスセンター[2F]

認知症に特化した通所サービスも。同じく送迎、食事と入浴の介護、レクリエーションなどの活動があります。


▲みんなのトイレ(2・3Fに設置)

地域の方にも施設の一部を開放!

機能回復訓練室は、広いお部屋です。訓練以外にも会議やレクリエーション、地域の方がピアノの教室を開いたりなど、いろいろなことに使えます。


▲奥には畳の小上がりスペースも…

ボランティアさんの協力で成り立っています

館内の各事業所では、高齢者や子どもたち、障害のある方たちのサポートをしているボランティアさんたちがたくさんいます。夕方になると、地域の中学生たちもたくさん来るのだとか。


▲「みんななかま」。よく見ると折り鶴でできています!

【第2部】学童&放課後等デイ、明るく丁寧に奮闘するきりんグループの職員の方々にインタビュー

ここからは、学童と放課後等デイサービス(以下・放課後デイ)のお話をじっくり伺いました。

歴史ある施設の中でいちばん新しい放課後等デイサービス

この放課後デイは1番新しくて、今年で4年目になります。制度自体がまだ始まったばかりということもありますし、社会館の中でも1番若い施設なので整っているような整っていないような…。スタッフを整備したり、書類の整備をしたり…やってみては失敗したりを繰り返している段階です。

立ち上げについてお話すると、もともと保育園(善隣園)のほうでは、障害のある子もない子も看ましょうという統合保育をしていたこともあり、色々なお子さんをお預かりする学童をやっていく中で、障害の重たいお子さんもお預かりするということが以前もありました。

障害というと重たい言葉、でもそこに大きな違いはないというのが基本姿勢

障害という重たい言葉ですけど、小さいお子さんのことなのでそこに当てはまる・当てはまらないは、実はあまり重要じゃなくて、ちょっとだけ目をかけ手をかけることを厚くしていきましょう、という感じでやってきました。

とはいえ、保育園自体はもともと働いているお母さんを支えるための施設ということで、就学した子どもたちがそのまま学童に上がってくることが多い。だから、子どもたち同士の繋がりの中ではそれほど色々なお子さんがいることに違和感はありませんが、全体的には人手を厚くすることが必要。そういう意味で放課後等デイサービスを市の制度に枠の中でしっかり立ち上げて、多くの方に利用していただきやすい形にしているという経緯があります。

放課後デイも学童、どちらも必要!集団からちょっと距離を置ける放課後デイの意義

1日の過ごし方でも、ある時間は学童の部屋で一緒にいられるけども、ある時間は1人になりたくて、このデイの部屋で長く過ごす子もいるし、頑張って学童の集団の中にいたけど、ちょっとしたことで心を痛めて、このデイの部屋に来る子もいるし…。この部屋があることで、子どもたちの情緒が保たれているな…というのはすごく感じています。

自己肯定感を大切に。職員は反省を繰り返しながら、でも専門家としての個別対応もしっかり!

あまり『できない感』をお子さんが持ってしまうのはいけないと思うので、例えば鬼ごっこみたいな集団遊びでも、放課後デイの子はここでまず練習をしておいて、それから、学童の集団でデビューするという場合もあります。やっぱり『自己肯定感』っていうのかな?自分が自信を持って、できる気持ちを育みたい、達成できたっていう気持ちを育みたいなと思います。

うまくいく時もあるし、いかない時もあるし、デコボコしながらでも、日々、職員は反省を繰り返しながらやっています。それでも、一応専門家として「療育的なことでは、こういうところの能力を高めたほうがいいよね」という個別対応はしっかり心がけています。視覚で見えるもののほうが安定するということであれば、きちんと絵カードを活用するというように、特性に合わせた関わりの工夫は踏まえています。

一緒だけと違う、違うけど一緒、自然と子どもは理解する

放課後デイの子にはできることとできないことがあって凸凹していることを、学童の子も最初は不思議がっているけれども、最終的には一緒だけど違う、違うけど一緒だっていう気持ちが自然と備わってきます。

なので、小学校を卒業するまでの間に支援が必要と言われる子についての理解のベースができてくるようで、中学校に上がるという多感な時期に『共に生きる』って今、神奈川県で謳われているような共生社会を創る土台を、私たちが担えたらいいなと思っています。

子どもから出た興味のサインは逃さない!支援の意味を伝えるチャンス

確かに摩擦もあって、「普通に喋れるのになんで、これができないの?」とか納得いかない思いを抱える子も実際にいます。でも、それも生の子どもの声ですよね。今まで触れ合ってなければわからないことなので、6年かけてわかって卒業してくれればいい、というふうに思っています。だから、そういう時には「そうね」だけで流さないようにしています。

例えば、私たちが発語の少ないお子さんとのコミュニケーションツールとして使っている絵カードを持って支援に入っていると、そのカードを使っているところを目ざとく見つけた4年生の男の子が「それは何?」と聞いてきたことがあるんですが、「これはチャンスだな!」と思って、

「これは○○くんとお話をするのにすごく大切なもので、言葉だとわからないことも絵があることで○○くんがわかるから、これを使うんだよ。○○くんに必要だから使うんだよ」
「ほぉー!あとは何があるの?」
「こんなのもあるよ!お散歩の時はこれを使おうと思うんだ。あとどんなの必要かな?」
「えー。なんだろう?わかんねー」

なんていう会話になったんですが、一緒に何が必要かを考えたり、どういう意味でしていることなのか、というのも話の中でチャンスを逃さず、子どもと共有していくようにはしています。

「失敗しちゃった!」という気づきが大切!子ども同士のかかわりに時には大人が介入

子ども同士の人間関係のところで調整が必要な時に、例えば「ちょっとあの子、言い過ぎかな?」と思うところがあったとしたら、もちろん子どもたち同士の様子を見ながらですけど、ちょっとだけ大人が介入して「その言葉じゃなくて、違う言葉のほうが良かったかね?」「どんな言葉があるかね?」と、そういう調整はさせてもらっています。

「ちょっと言い過ぎちゃったかな」っていうことは大人でもあることだけど、でも、言っちゃった言葉は消せないので、そのあとどうするかという方法を、子どもたちも身につけてくれればいいな、と思っています。

ただ、 やっぱり「失敗しちゃった!」ということには気付いてほしいんです。「お顔見てごらん、悲しんでるよ。今、言っちゃったことが響いちゃったんじゃない?」というような感じで、子どもたちと一緒の目線で気づきを促していく感じですね。ひとりひとり、別なので、ひとりひとりに対応していく、というふうにやらせてもらっています。

友だち関係の距離など、集団の中でしか育たないことを重点的に!

目に見えることばかりじゃないっていうところがあるので、集団の中でしか育っていかないところは、大事にしていきたいと思うので、人間関係には力を入れています。

個別支援はその時その子に合ったものを提供するスタイルで

個別支援計画に沿って、その時々でその子に合った最善の支援・最善の環境を整えることが、きりんグループで行っている個別支援です。

中には、学校から宿題が出ない子、座ることがそもそも難しい子もいますが、活動のひとつの選択肢として知育玩具も用意しています。あとは塗り絵とか、絵本を読んだり、カルタやパズルをしたり。

スケジュールを見てもらうとわかるのですが、宿題をする10分でも15分でも着席することは、将来に繋がることなので、頭が良くなるとかそういう目的ではなくて、座って机上で何かする習慣を身につけていけるように、その時に、その子ができることを考えて提供しています。

五本木  普通の子育てもそうだと思うんですけれども、子供って自ら伸びる力ってちゃんと持っていると思うので、与えられたものをこなすっていう療育もあるとは思うんですけれども、その子の、その時にやりたいと思うこと、今これが伸びるっていう、その子の吸収がいいってところを見ながら、その適切な時期にっていうのは、私も子育てをしていて大事だと思います。

おやつは毎日手作り。お手伝いは自信をつける絶好のチャンス!さりげなく数字の勉強も

学童や放課後デイで出すおやつは毎日、手づくりで提供するようになっているので、お手伝いをする機会を意識的に作っています。お皿を数えるとか、「5枚ずつ重ねてみよう」とか「フォークを10本持ってきて」など、生活の中で数の概念が備わるように意識的に声を掛けています。

子どもたちにお手伝いを頼むこともあるんですが、手伝いをやってもいいかな、っていう気持ちを大事にしていて、頼んで断られたら、それはその子の意見として尊重する。『食』って当たり前にあることで、お皿を準備するのも当たり前にあることで、そういうのを自然に覚えていってほしいなと思っています。

毎日帰ってきて、「今日のおやつ何?」って聞かれて、「今日は焼きそばだよ」って言うと「えーっ!甘いのが良かったなぁー」とか、言われたりするんですけど、みんな楽しみに帰ってきてくれるので、嬉しく思っていますね。

手伝うと褒められて嬉しいって子どもたちは言いますよね。自信がついたりするんだよね。周りからも認められてね。自己肯定感って、さっきの話と繋がってくるんですけど、みんなの前で認められることも多いし、「今日は○○君が買い物に行ってくれたんだよ」「へ〜っ」とかね。

言葉で差別しないでと伝えるよりも一緒にいる中で自然に経験

やっぱり言葉で差別しないってことを伝えるよりも、一緒にいる中でいろんなことを経験する。理屈より慣れ。生活のなかで、いろんなことを一緒にしていく、友達以上兄弟未満というような感じがあります。

人間2人以上いれば、摩擦があってトラブルがあるのは当たり前なので。大人になったコミュニケーションが苦手な発達障害の方で、

「コミュニケーションが上手くいかないから、小さい時から人を避けてきた」
「人を避けてきたから、失敗して修正するっていう体験をしてこなかった。だから僕はこんな大人になっちゃった」

っておっしゃる方もいるので、やっぱりいろんな体験をしてもらって、失敗体験も重ねながら、人とどうやって付き合っていったら、お互いに心地いいのか学べるということがあるといいのかな、と思っています。

今は幼い障害児、大人になった時の姿が見える環境の利点

こちらは複合施設なので、大人になった時の姿が見えるというのも利点のひとつです。

発達障害の方々で「できることは自分でやっていきましょう」という形でやっていますが、「このタイプの人は切り替えが上手にできてないよね」という方と関わっていると、「じゃ、子どもの時に、どうしておいてあげたらいいかな」と先を見据えて指導にあたれる部分があるので、お母さん方にも同様に、大人になった時の姿を想定しながらお伝えするべきことはお伝えするようにしています。

例えば、性的な問題や異性に対する問題も成長とともに出てくると思いますが、お子さんが小さいうちはなかなか想像できませんよね。大人になった姿が見えていれば、「子どもの時からやってはいけないことは止めておいたほうがいいよね」というのもイメージしやすい。

実際の例では、「プライベートゾーンはオープンにしちゃいけないんだよ」など、大人になってから止めるのは難しいから、「エチケットとして、マナーとして、今のうちからやめましょう」というように…。見極めが難しいですけれども…。

五本木  普通の放デイだと、障害のある大人の方が同じ空間にいることがないので、保護者はあえて見学に行ったり、調べたりしないと大人になった時の我が子を想像するのは、とても難しいと思うんです。そういう保護者が、たくさんいらっしゃると思うので、そういった部分でいうと、自然に目に入ってきて、「あ、うちの子も大人になる」っていうのを自然に感じ取れるのは、すごく大きなメリットだな、という風に思いました。

放課後デイの保護者同士の交流も企画!馴染んで顔見知りになってくれたら

放課後デイでは、今年度初めて、先輩のお母さんたちに、1年生のお母さんたちが、いろんなことを質問できる茶話会を企画しました。初めてのことなので、みんな緊張感がありましたが、でも回を重ねて顔見知りになればいいなと思っているので、めげずにやろうと思っています。

2月に地域の中学校の見学会も実施!中学生ボランティアもよく来てくれています

ここは小学校6年までだから、その後どうするかという不安もあると思うので、地元の中学校とパイプを作って、不安を軽減できるよう支援級の先生に質問に答えていただくということをやります。職員もそこに参加して勉強してますね。支援級だけでなく、普通級の方もどうぞと、言ってくださったので、普通級も授業風景を見学させてもらいながら、質疑応答など2時間ほどの予定で行ってこようと思っています。

また、地元の中学校では生徒会主催でボランティアを募集をしていて、一定期間、放課後、学童にも6人くらいが交代でお手伝いに来てくれています。

五本木  本当に地域との関わりって、すごく大きいですね。

保護者会は学童もデイも一緒。役員をやるかどうかは選択できるように

保護者会もあって、保護者も子どものいろんな姿から学ぶことも多いです。問題があるのは当然なので、そこで引っ込んじゃう、区切っちゃうのか、問題がなかったことにしちゃうのではなく、話し合って折り合いをつけていくってことをやっていけると、保護者だけでなく、そういう社会になっていくのかなと期待しています。

色々なご事情をみなさん抱えていらっしゃいますので、一応、利用される時に保護者会があるということは、お伝えさせていただいています。子どものためになることなので、保護者の皆さんは協力をしてくださいます。

バザーは、地域の方も、ご利用のかたも、その家族も、職員も、みんなで一緒になって、社会館全体でやらせていただいています。今年のきりんの収益は、ハロウィンの準備のため、お菓子とか装飾品の購入と、クリスマスの備品を購入するのに使わせていただきました。皆で話し合って子どもたちのために有効に使わせていただいています。

放課後デイのやり方はそれぞれ。事業所同士の連絡会でレベルの底上げを目指しています

横須賀市では2~3か月に1回くらい、児童の通所の連絡会というのをやっていて、そこで運営者や、発達支援管理者や、現場の支援員が集まって、レベルの底上げということで、いろんな取り組みをしていきましょう、と話し合っています。皆さんの生の声、みんなで考えてほしい、と思うようなことがあれば、あげていただけたらなと思います。

肢体不自由児の受け入れについて質問!

現在は、いないですね。一応、トイレとか設備はあるんですけど、そこの階段のところが、ちょっと怖いなと現実的には思っています。施設を見ていただいて、お子さんとご家族の方が安心であれば。大人の身体障害の方もいらっしゃいますし、エレベーターもあるので応相談です。医療的行為があるお子さんについては、ちょっと難しいかもしれないけど、そうでなければ対応は可能です。

定員は2017.02現在、曜日によってあります。年度が変わって学年が上がると、皆さん日数を調整されたりもするので、その都度変わりますね。

・・・

社会福祉法人 横須賀基督教社会館/放課後等デイサービス『きりんグループ』の基本情報

所在地 〒237-0075 神奈川県横須賀市田浦町2-80-1

法人事務局
TEL 046-861-9773 / FAX 046-861-9774

放課後等デイサービス『きりんグループ』
TEL/046-861-9775
対象児童/小学1~6年生で知的・発達障害および配慮を必要とする児童
開設日/月曜日から金曜日 ※特別プログラムにより土曜日実施あり
利用時間/平日 放課後~17:30・学校休業日 9:00~17:00(どちらも延長最大19:00まで)
利用料金/受給者証に応じて

HPもご覧ください!>>http://www.yokosuka-ccc.jp/index.html
(きりんグループのページは只今開設準備中!お楽しみに!)

sukasuka-ippo隊長・五本木愛の視点

今回の取材は、田浦にある社会福祉法人横須賀基督社会館にお邪魔して、その中の放課後デイサービスきりんグループを中心に社会館全体を取材させていただきました。

まず驚かされたのがその歴史。
都度都度その時代の背景に必要とすることをなんとかしようと創り上げてこられたという、これは社会館の基本理念のとおりです。

そして、今までも色々なところへ取材に行かせていただいてきましたが、社会館のような規模での複合施設というのは初めて拝見しました。その形態により、実生活において自然にインクルーシブ教育がなされていることに驚き、とても刺激を貰いました。

田浦という町が福祉に理解が深いという話を前に聞いたことがあったのですが、それはきっと社会館が田浦にあり長年にわたって積み重ねてきた結果なのだと感じました。

横須賀全体が田浦の町のように少しずつ種を撒き、少しずつ実をつけていけるよう私たちが出来る事をもっと学ばなければならないと思いました。

2017.02
取材/ 五本木愛・misa・ゆかねこ・Kyoko Aoyagi・pototon
写真・加工/ misa・pototon・ゆっぴー
テープ起こし/ misa・kayo
文・構成/ Yuka Kaneko・takeshima satoko

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『自分たちが足りないと思うこと、欲しいと思うものを自分たちで作り上げていく』を現実に!夢を1つずつ叶えるために!
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