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【取材File】今できることを大事に…。生活介護事業『ぶどうの木』(特定非営利活動法人 一麦)@横須賀

今回取材をさせていただいたのは、2016.04に池上十字路付近の大通り沿いに開所した生活介護事業『ぶどうの木』(特定非営利活動法人 一麦)。

『ぶどうの木』を立ち上げたふたりの女性、代表の大岡さんと看護師として医療的ケアを支える青木さんに、『ぶどうの木』の「今」を取材させていただきました。どうぞご覧ください!

身体障害・知的障害のある方がのんびり過ごせる活動の場
看護師が医療的ケアに対応する生活介護事業『ぶどうの木』

取材当日の利用者さんは11名でしたが、定員は20名で2018.02時点の現員は15名。身体障害のある方と知的障害のある方が対象です。

利用者さんの年齢は10-20代が中心

  • 2016年の開所当初から利用されているいわゆる1期生にあたる5名(うち1名は卒業)は20歳になりました。
  • 翌2017年度に入られたのは6名で、学校を卒業されたばかりの10代の方の他、20代、50代、60代の方もいらっしゃいます。

利用時間は利用者さんによってフレキシブルに対応

  • 利用時間は10:00~16:00ですが、利用者さんの体調、移動支援等の福祉サービスの利用条件によって始まりの時間も終わりの時間も変わってきます。

・・・

それでは1日の流れに沿って、見学スタート!

10:00_順次受け入れスタート
送迎車や移動支援で利用者さんの来所ラッシュ

10:15_朝の会
オリジナルソングで始まる『ぶどうの木』の朝の会

朝の会の流れ
01.

みんなで楽しく歌を歌います。

02.
歌が終わると、そのままピアノの伴奏に合わせて利用者さんひとりずつお名前を呼んで、会話を楽しみながら朝の挨拶を交わします。

03.
1日の予定を伝えます。ちなみに『ぶどうの木』の活動内容は…

ぶどうの木の活動予定(例)

  • 午前中は『ぶどうの木』自慢のひのき風呂に順番に入浴します!
  • 作業ではオリジナルの作品を作ります
  • ゆっくり長めのお昼休憩で、おいしいお弁当を食べます
  • 音楽療法(月1回)で、みんなと一緒に音楽を楽しみます
  • 希望者はお散歩に行きます。
  • 体重測定は毎週行います。

04.
それが終わると、またみんなで歌を歌って…

05.
最後に体操をします!

・・・

利用者さんの中には、スタッフの「おはよーございまーす」という呼びかけの口真似する方も!音楽に合わせるので独特な節回しになるのがおもしろいようです。

10:30_活動スタート
利用者さんとスタッフさんとが工夫を楽しみながら作品作り


▲作業の時間。カットした新聞紙を丸めてかごに入れる作業。スタッフさんが手を取り、一緒に丸めます。

利用者さんが作業に関われるひと工夫
端切れならではのランダムな配色が魅力のマルチ台

そのままでは難しい作業でも、利用者さんの状況に合わせてひと工夫することでグンと関わりやすくなります。

Q1.
こちらは木製のゴミ箱。1ヵ所開いた穴から中に何やら新聞紙を詰めている利用者さん。さて、何を作っているのでしょうか。

実は、この箱の中に三角柱に加工された牛乳パックがセットされています。細長い牛乳パックに直接新聞を入れるのは難しくても、このようなしっかりした木の箱なら手元が安定して作業がしやすくなります。

Q2.
利用者さんが新聞紙を詰めた牛乳パックは、最終的にどんな商品になるのでしょうか。


▲左側から材料となる新聞紙→作業をしやすくするために使う木の箱→そして、新聞紙が詰められた牛乳パック24個を6角形にまとめたもの→ここに端切れをバランス良く貼り付けて完成したのは…

そう!答えは、牛乳パックの『マルチくん』(マルチ台)です。


▲奥に映っている牛乳パックの『マルチくん』(マルチ台・400円)は、スタッフのアイデアで端切れを使ってみたら、とてもカラフルな仕上がりに!端切れを作る手間は増えましたが、ランダムに貼ることでパッチワークのような、趣きが1点1点異なる配色が魅力的な作品になりました。

人気ナンバー1のパックちゃん(200円・▲写真手前)
「利用者さんも色の選定をするのですが、一瞬『ん?奇抜!?』と心配になる配色でも、完成すると素敵な仕上がり。今では、利用者さんのセンスにお任せしたほうが良いなと思っています。」

・・・

その他、バリエーション豊かな商品の数々


▲写真手前はカラフルな鍋敷き。Tシャツを裂いて編みこんで作っています。その他、スタッフ寄贈の着物の生地でつくったペンケース(写真右)など、オリジナルの作品が多数生まれています。


▲メンバーさんがお母様と一緒にご自宅で作り、こちらで販売できるようにと持ってきてくれたクリスマスオーナメント。

 
▲新商品のリサイクル缶(400円)は、空き缶をリメイクした物入れ。ヴィンテージ加工が人気です。

その他、夏にはプランターで夏野菜を作ります。

商品の売り上げは工賃としてメンバーさんにお渡し

大岡さん 作った商品はこちらで日々販売しているほか、注文を受けて制作したり、バザーに出店しています。そうした売上から費用を引いたものをそれぞれ来られた日数で割って、みなさんに工賃としてお渡ししています。


▲玄関にある作品コーナー

作品作りに熱い思いを持つスタッフを中心に作業を楽しむ工夫をしています

大岡さん 作品のアイデアや作業に関わりやすくする工夫をしてくれるスタッフさんがいるので、このような充実した作業の時間が提供できていますが、できあがった作品を「かわいい!ステキ!」と盛り上げてくださるスタッフさんもいて、良い連携が取れています。

・・・

午前の活動
入浴タイムはゆったりした『ひのき風呂』で!


▲自然の木の香りにほっこり!


▲ワンフロアに4つあるトイレ。そのうちひとつは、奥のドアから脱衣所に抜けられるので、入浴時に便利です。


▲ベッドは全部で4床ありますが、休憩用が3床で、もう1床はお風呂の際の着替えなどに使っています。

ワンフロアなので、経管栄養などの医療行為をする際も、カーテンなどで目隠しをして、周囲の目線をはずせるように工夫されています。

職員スペースは2階

2階には職員の休憩室と着替えスペースとロッカーの他、今後、書庫にする予定のスペースがあります。

・・・

週1回、体重測定を実施

医療的なケアを必要とする利用者さんの中には体重の増減もデータとして必要な方もいらっしゃるので、週1回、体重測定を実施しています。

今後のことは未知数!新しいプログラムも模索中
現時点では音楽療法と理学療法を実施(2018.02現在)

大岡さん 音楽療法は、みなさんが何かしら関われる活動ということで、音楽療法士の方に月1回来ていただいて実施しています。

月2回、理学療法士の先生に午前中だけ来ていただいていますが、なかなか理学療法士の先生が見つからないという課題があって、2018.04からは月1回実施になります。


▲大きな大きなバランスボールのほか、立ち上がりの姿勢を保つウォーカーもあります。

スタッフ手作りの鬼と利用者さんが楽しめる工夫で節分を満喫


▲節分の時に使ったという特大の手作りの鬼はスタッフさんの手作り!

鬼の顔は絵の上手なスタッフが描いたそうで、とてもリアル!
節分の日は、メンバーさんが豆や丸めた新聞紙をお腹にある穴に投げ入れて、その日は大いに盛り上がったそうです。

他にも…

  • 持ち寄った着物と手作りの帯で成人式もステキに演出
  • 他の施設の方にも来ていただいてクリスマスコンサートを賑やかに開催

というように、イベントも工夫して楽しんでいます!

11:45-13:30 お昼の時間
『ぶどうの木』はゆっくり昼食


▲昼食の準備。注文弁当、または自宅弁当もOK。


▲この日のお弁当のメニュー。

お弁当は持参される方もいらっしゃいますが、つぶした状態、ショット注入できるようにした形、普通食…というように、みなさんそれぞれ。


▲『ぶどうの木』では、きざみとミキサー食に対応。スタッフがふんわりと美味しく作ります。

13:30-活動(散歩など)

午後は外の空気を吸いにお散歩に出ることもあります。定番のコースは、近くの公園だったりホタルのいる川辺まで足をのばすこともあります。

15:00- おやつ

16:00-帰宅
終わりの会を終えて順次帰宅

終わりの会では1日の感想を言ったあと、しりとりなどのゲームをして楽しんでいます。

・・・

ゴールを決めないことで今あるものを最大限発揮
人と人の出会いで成り立っているからこそ変化し続ける『ぶどうの木』

大岡さん 『ぶどうの木』には「うちはこれを目指しています」「このプログラムはずっと継続できます」と掲げられるようなものがありません。だから、事業所紹介のパンフレットもあったらいいなとは思うのですが、今できていることは、それができるスタッフがいるからこそ。人と人の出会いの中で実現していることなので、状況によって変化してしまう。『ぶどうの木』はそんなふうに変化していくものなのでまだ紙面化することができないんです。

でも、逆に言うと、新しい職員さんが入ってきたらその人の色合いでまた得意なことが活かされていくと思うので、その時その時にできることをやっていきたいと思っています。

 

・・・

生活介護事業所『ぶどうの木』の基本情報

特定非営利活動法人 一麦
生活介護事業所 ぶどうの木
代表者/ 大岡めぐみ
2016.04開所

住所/ 〒238-0035 神奈川県横須賀市池上5-3-2
TEL/ 046-852-0150
利用時間/ 10:00~16:00
対象/ 身体障害、知的障害の方
定員/ 20名
現員(2018.02現在)/  16名(車椅子11名、視覚障害2名、知的障害3名)医療ケア4名(吸引、導尿、留置カテーテルの管理、経管栄養等)併用利用6名

sukasuka-ippo代表・五本木愛の視点

とても柔らかい雰囲気の方だな、というのが、代表の大岡さんにお会いしてすぐの第一印象でした。その優しく柔らかい雰囲気は事業所のあらゆる面に感じられました。

でも、設立からのお話を伺うと、その穏やかな雰囲気の芯にある大岡さんの熱い想いに、素敵な『ギャップ』を感じました。開所して約1年という『ぶどうの木』さんに色々な意味で共感するところが多くありました。

・ひとりではできない。
・仲間がいるからできる。
・今できることに心を尽くしていく。

そして、最も共感したのは「まだ未知数!」というお話でした。

私たちも、sukasuka-ippoとして活動してきて約2年。分からないことだらけの中、学びながら、繋がりながら、仲間と一緒に進んできました。そして『ぶどうの木』さんと同様に、まだまだ「未知数!」という想いを持って進んでいます。

そんな共有できる想いを持った『ぶどうの木』さんの変化をこれからも楽しみに応援させていただきたいと思います。

・・・

取材日/ 2018.02.07
取材/ 五本木愛・misa・ぼんちゃん
写真・取材メモ/ ぼんちゃん
写真加工/  ゆっぴー
文・構成/ takeshima satoko

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『自分たちが足りないと思うこと、欲しいと思うものを自分たちで作り上げていく』を現実に!夢を1つずつ叶えるために!
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