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【手記】広汎性発達障害として向き合ったからこそできたサポートと成長。5年生で特別支援級から普通級に移ったふうくん by ひろママ

今回は、小学校5年生の時に特別支援級から普通級に移ったふうくんのケースを、保護者であるひろママさんに手記として綴っていただきました。

特別支援級から普通級に移るきっかけは、あくまでもふうくん本人の希望。そして、第3者である専門機関にも公正な判断を仰いだ背景には「大切なのはよく観察し、その子に合った方法でサポートすること」というひろママさんの思いがありました。

幼稚園前は落ち着きがなく、多動傾向の強かったふうくん

長女、次女に続く、長男として生まれたふうくん。

幼稚園前は落ち着きがなく、外に出るとすぐにどこかに行ってしまいました。
お母さんがいなくてもおかまいなし。

それなので、ずいぶん大きくなるまでおんぶひもでおんぶしていました。

そして、
「これをやったらダメよ」
「あれをしたらダメよ」
といわなければいけない場面が多いのに、ダメだという指示がふうくんにはなかなか伝わらなかったのも、長女・次女の子育てとは大きく違うところでした。

母からもらった発達障害の本が転機に

そんな頃、私の母がテレビで「発達障害」が取り上げられているのを見て、「ふうくんに症状がそっくりだった」と教えてくれました。

そして、発達障害について詳しく書いてある本を買って、私にくれました。

読んでみると納得、「ふうくんは発達障害かもしれないな」と私も思いました。
同時に、私の育て方が悪いわけではないということもよくわかり、本当に気持ちが楽になりました。

私は以降、発達障害の本をたくさん読み、知識を取り入れました。
そして、発達障害には早期教育が必要で、ふうくんに合った方法で教えてあげれば、社会の中でも十分やっていけるようになるとわかりました。

年中から入った幼稚園で、園長先生に勧められた療育相談

入ってからしばらくして園長先生から、「一度、療育相談に行ってみることをお勧めします」と言われました。

「入園してから1ヶ月くらいはみんなと一緒に行動してたけれども、その後は、楽しそうなものが目に入ると、平気で園庭に飛び出してしまう」というお話でした。

それを聞いた私は、「多くのお子さんを見ていらっしゃる先生がおっしゃるのだから、やっぱりそうなんだ」と思い、すぐに横須賀市療育相談センターに電話をしました。

その後、検査をし、ふうくんは『広汎性発達障害』であることがわかりました。

私の場合は、はっきり診断がついたことで、「やっぱりそうだったんだ」と安心することができました。これからどうすれば良いのかが、はっきりするからです。

療育スタート。2週間に1回、作業療法士さんと一緒に運動

2週間に1回、作業療法士さんとの訓練のため、運動できる部屋に行きます。そこでは、

  1. ビニールのトンネルをくぐる
  2. 平均台を渡る
  3. ボールプールに飛び込む
  4. トランポリンを10回跳ぶ
  5. ハシゴを登って一番上をタッチする
  6. 丸太のブランコに乗って5回揺らす
  7. そしてまた最初のトンネルに戻る…

というようなコースだったと思いますが、これを3周することが課題。

ルールを説明し、運動機能を訓練しながら、ルールに沿って行動する訓練で、私の目からは年中さんだったら楽しくてすぐに終わってしまうなと思えるコースでしたが、ふうくんには難しいようで、なかなかできません。

一番最初は初めてのことで、興味があったのか、何となくできました。
でも、回数を重ねるごとにできなくなっていきます。

  • 最初にトンネルをくぐらなければならないのに、トンネルの横を通ってしまったり
  • ボールプールにずっと入ったままだったり
  • ボールを全部外に出そうとしたり
  • トランポリンの上で寝てしまったり
  • 丸太ブランコにしがみついたまま動かなくなってしまったり
  • 他の部屋の備品に目がいってそこに行こうとしたり…。

ルール以外のいろんなことをしようとしましたが、それでも何とかコースに戻って1周する。そういう練習を繰り返しました。
15分ぐらいで3周くらいはできてしまいそうなコースでしたが、1時間で1周回るのがやっとの日もありました。

続けることで得られた成果。幼稚園での小さな変化

幼稚園を卒業する頃には、調子の良い日、悪い日ありますが、スムーズにコースを回れるようになってきました。

幼稚園でも少し変化がありました。

年中の時には先生に引きずられるようにしていた運動会のダンスが、年長の時は、満面の笑顔でみんなと一緒にできるようになっていました。自分の好きな曲だったということもあるかもしれませんが、楽しそうに生き生きと、曲を聴きながら、次にどんな振り付けが待っているかを理解しながら踊っているふうくんの姿を見た時は、本当に嬉しかったです。

幼稚園や療育相談センターの皆様、地域の皆様が協力してくださったおかげで、できなかったことが少しずつできるようになっているふうくんの成長を実感でき、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

最初の挑戦は、小学校の入学式

じっと座っていなければならない入学式が、ふうくんには難しいだろうと心配でした。

そのことを小学校に事前に相談させてもらったのですが、わざわざ時間をとって、ふうくんのために入学式の練習をしてくれたことに驚きと感謝でいっぱいになりました。

事前にやることがわかっていると少し落ち着くことができるふうくん。

「ここから入場するんだよ」
「ここの椅子でしばらく座るんだよ」
「音楽が流れるよ」
「ここから退場するんだよ」
と親切に教えていただいたことで、迎えた入学式当日。段取りがわかっていたふうくんは、少し落ち着きはありませんでしたが、立ち歩いたり、声を出すこともなくちゃんと座って、無事に式を終えることができました。

特別支援級での学習がスタート。時にはアスレチックの上で授業

小学校では、特別支援クラスに入ったふうくん。

環境が変わり、小学校で勉強する意味を理解できないふうくんの小学校生活はとても大変でした。

まず自分で歩いて時間までに小学校に行くことが、ふうくんにとっては大変なことでした。道にはふうくんの好きなアリや虫、石、木の棒など、目を引くものがたくさんあるからです。

私は一緒に登下校に付き添いましたが、学校に行きたくないふうくんは道の途中で地面に横になって、動かなくなってしまいます。そんな時は、一度、家に戻り、車をもってきてふうくんを乗せて登校させることもありました。

学校に着いても校舎に入りたがらないふうくんは、アスレチックの上で1、2時間目を過ごしました。
そんなふうくんのために、支援級の先生は、そこで国語の授業をしてくださり、アスレチックの上でふうくんはノートにひらがなを書きました。

家族で参加した集会も訓練に…

どうしたら人生まっすぐ生きられるのか、どうしたら子どもたちに正しいことを教えられるのかと日々考えていた私は、この頃、ある信仰に出会い、子どもたちを連れて時々、集会に参加するようになりました。

大人向けの話の中で、ふうくんは最初の頃は10分くらいしか座っていられませんでした。障害のあるふうくんにとって、ずっと座るというのはとても大変です。バランスが取りづらい傾向があるので、どうしてもフラフラしてしまうのです。

それでも、人の話を聞いて座っていることができるよう、諦めずに続けました。
療育相談センターでのトレーニングは幼稚園までだったので、それに代わって、この集会が良い訓練になったのかなと思いました。

3年生になる頃には、だいぶ座っていられるようになりました。
学校でも座ってノートに書く、プリントをするということが身についてきました。

4年生になったふうくん。「特別支援クラスにいるのが嫌だ」という本人の一言で迎えた転機

4年生になり、ふうくんができることもだいぶ増えてきたように思いました。
私が付き添わなくても安全に登下校できるようになってきました。

そんなある日。ふうくんが「特別支援クラスにいるのが嫌だ」と言い出したので、学校での1日の様子を見に行きました。

特別支援級にいる時はグダグダ、やる気がなく、先生に迷惑をかけているふうくんですが、通級で普通学級に行くと生き生きと楽しそうに授業を聞いていました。

それを見て私は「特別支援級での内容がふうくんの中で簡単になってきてしまったんだな」と思いました。

そこで、特別支援級の先生に、普通級への移動を考えていることを伝えたのですが、あまり良い反応が返ってきませんでした。特別支援級でやる気のないふうくんを見ていたので、普通学級に行ってもみんなについていけないのではないかと思われていたからでした。

そこで、私は第3者的な立場で専門家に入っていただくのが一番良いと考え、小学校に上がってからも年に1回、経過報告を兼ねて受診していた療育相談センターに相談しました。

ほどなくして、ケースワーカーさんがふうくんの学校での様子を見にきてくれました。

ケースワーカーさんからは、「たまに何をすればよいか、わからなくなっている時がありますが、そこをフォローしてあげれば、みんなの輪を乱すことなく授業についていけている」との見解をいただき、その後、学校や教育委員会とも話し合いを重ねて、5年生から普通級に移ることになりました。

5年生から入った普通級で、少しずつ成長したふうくん

5年生になったふうくんは、幼稚園の時に一緒だったクラスのお友だちや同じ年の子どもたちと切磋琢磨する環境の中で、どんどん成長しました。

はじめの頃は、黒板をノートに写すのも遅かったのですが、徐々に慣れていきました。
漢字の学習も、クラスのみんなより1-2年遅れていて、漢字10問テストをしても20点か30点。でも、5年生の終わり頃には80点を取れるようになりました。

特別支援級の時は、朝もなかなか登校しないし、持ち物も私が全て揃えていましたが、5年生になったとたんに「久しぶりに時間割そろえるー♪」と嬉しそうに全部自分でするようになりました。

夏休み、療育相談センターの診察に行った時、先生に「よく育ったね」と言っていただいたことが今でも忘れられません。

今、ふうくんは6年生。最後の運動会でも成長を実感

小学校最後の運動会。ふうくんは6年生として立派に競技や係に参加し、成長した姿を見せてくれました。

先日は、漢字50問テストで100点を取ることができ、本当に嬉しそうでした。

発達障害という特性を知っていたからこそできたサポート

今までの成長を振り返り、やってきて良かったと思うのは、ふうくんをよく観察し、ふうくんに合った方法で成長をサポートできたことです。

発達障害の特性を知らずに、一般的な子育てと同じ感覚でふうくんと接してきていたら、今のふうくんはいなかったと思います。

発達障害にかかわらず、子どもはみんなそれぞれ違いますから、その子に合った方法でサポートしてあげるのが一番の子育てなのではないかと思っています。そうすることで、個性がキラキラ輝く大人になった姿を見られるのではないかなと想像しただけで、私自身も笑顔になってしまいます。

ふうくんの成長はまだまだこれから。これからも見守って、ふうくんが必要とすることをたくさん注いであげようと思います。
親子共々、日々、頑張ります!

2017.12
ゲスト投稿者 ひろママ

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