それは小学校入学を目前に控えた春休みのこと。ダウン症の息子が初めてちゃんとした文のかたちで喋りました。
完成した初めての文、それは…
キッチンにいる私を見上げて、知っている言葉を一生懸命探しながら、ゆっくり発した言葉は…
「まま、ぼくね、ぼくね、え、えだまめ、だいすき」
私はとてもびっくりしました。
そして、とても嬉しかったので、
「そう、なっちゃんは枝豆が大好きだよね。ママ知ってるよ。」
と笑顔で答えました。
息子は私に気持ちが伝わったことが分かり、満面の笑みで抱きついてきました。
ダウン症の我が子の言葉の成長
同じダウン症でも、もっと早く上手に話す子もいますし、もっとお喋りがゆっくりな子もいると思いますが、我が子の言葉の発達について書いてみたいと思います。
年少の頃は、「ママ」「バイバイ」など、簡単な単語を数えるほどしか言えませんでした。
年中の夏頃、言語療法を始めたのと、2歳の妹が色々と喋り始めたのが重なり、急に言葉が増え始めました。
年少・年中は名詞が中心
この頃、口にするのはほとんどが名詞でした。
- 「ごはん」「納豆」などの好きな食べ物
- 「赤」などの色
- 「ワンワン」「ガオー」など動物の鳴き声
- 他にも身近なものの名前
年長になると形容詞や動詞も少しずつ
その後、年長になると形容詞、動詞も少しずつ増えました。
「痛い」「美味しい」などの言葉の意味を理解して発してくれるようになると、本人も気持ちが伝わらずにイライラするということが減ってきました。
また、「履く」「開ける」「切る」など動詞の意味も分かるようになってきて、「なっちゃん、靴履いて!」「ドア開けて!」など私の話す言葉を理解して、その場に合った行動ができるようになってきました。
そして徐々に2語文や数字も…
年長の後半では、
「僕がやるの!」「もういらない!」「ママ、ジャンプ!」など2語文が出ることが多くなりました。
お友達の名前を呼んだり、外出先で「あ、救急車!」と言ったりすることも増えました。
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数字に関しても、1がひとつ、2がふたつ、と理解しているようです。
これは例えばお菓子で私が「1個だけ取って食べていいよ。」と言うとたくさんの中からひとつだけを取ることができるので数字も3くらいまでならちゃんと理解しているんだなと…
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また、犬や猫は動物で、バスや電車が乗り物、大根や人参が野菜、などの分類分けがだいぶできるようになりました。
息子にとって言葉は未知の世界
普段、わたしたちが何気なく使っている言葉、でも息子にとってはきっと未知の世界なんだろうなと感じます。
言葉とその意味を理解することについて、息子はゆっくりです。
時々間違っている時もあります。
例えば夕方なのに「おはよー」と言ったり、「おかえり」と「ただいま」が逆だったり…。
でも、それでもいいと私は思っています。ゆっくりゆっくり覚えればいいなと思っています。
だって、喋るたびに訂正されたら、きっと息子はがっかりすると思うから。
そしてわが家では、今4歳になった妹も息子のよく分からないお喋りに付き合ってくれています。母の私にも全然理解できないお喋りをふたりで一生懸命しているときもありますが、きっとそのうち会話らしい会話ができるようになると思っています。
そしていつの日か、息子が学校での出来事を楽しそうに私に話してくれる日を楽しみにしています。
2016.03

reiko
