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【取材File】プロとしての自信と万全な設備で医療的ケア児を受け入れる児童発達支援・放課後等デイサービス『きっずかしこ』/障害者福祉サービス事業所『Daysかしこ』@横須賀市長沢

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目次

医療的ケアを必要とする障害児が利用できる事業所、横須賀市にはどのくらい?

用語解説医療的ケアを必要とする障害児とは…

年々増える横須賀市内の児童発達支援・放課後等デイサービス

障害のある未就学児が日中通える場として『児童発達支援』が、そして学齢期の児童が放課後や土曜日の時間を過ごせる場として『放課後等デイサービス』があり、横須賀市内でもこれらの事業所の数がここ数年で大きく増えました。

子どもたちがのびのび過ごせる場所を提供し、子どもたちの成長を見守る事業所もあれば、療育に力を入れて独自のカリキュラムを提供する事業所もあり、私たち保護者にとっては子どもの特性や状況に合わせてどんな事業所を利用すればよいか、選択肢が増えつつあります。また、医療ケアを必要としないことを条件に重症心身障害児を受け入れる事業所も増えてきています。

医療ケア児を受け入れるための設備・体制を増強して移転オープンした『きっずかしこ』を取材

私たち、sukasuka-ippoのメンバーが横須賀市や近隣の事業所への取材を始めた2年前は、医療的ケアを必要とする障害児の受け入れ(医療ケア児)ができる事業所というと『ライフゆう学齢デイ』や『きっずかしこ』など、ごく限られた事業所の情報しかありませんでした。

今回は、設立当初より医療的ケアの必要なお子さんを受け入れ、2017.11の移転に伴い、その内装・設備・体制を更に強化してリニューアルオープンした『きっずかしこ』さんを取材させていただきました。

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『きっずかしこ』の経営母体は住宅型有料老人ホーム運営の『有限会社かしこ』

『きっずかしこ』の経営母体である『有限会社かしこ』は、長年、住宅型有料老人ホーム、訪問介護・訪問看護等を展開。2013年からは放課後等デイサービス『きっずかしこ』を運営してきましたが、この2017年11月に、18-64歳までの胃ろうや痰吸引などの医療行為を必要とする方を中心とした障害者デイサービス『Daysかしこ』を横須賀市長沢に新設。

この新設された『Daysかしこ』の1階部分に設備と人員配置を更に充実させて移転オープンしたのが、児童発達支援・放課後等デイサービス『きっずかしこ』です。

また、2018.04には、三崎口にある同社運営の有料老人ホーム『かしこ三崎口』1階部分に、主に医療行為を必要とする障害者・医療行為が必要でない身体障害者・難病患者を対象としたグループホーム(18-64歳対象)・ショートステイ(0-64歳対象)『ゆあはうす かしこ』を新設予定。(連絡先は下記、『有限会社かしこ基本情報』に掲載)


▲2018.04のオープンに向けて着々と内装が進む『ゆあはうす かしこ』

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記事では医療的ケアを必要とする障害児者受け入れのために整えた設備と職員配置、送迎問題にも迫ります

記事前半では、細部まで配慮し、数々の工夫と思いを設計に盛り込んだ施設内をご紹介。

後半では、看護師でもある有限会社かしこの代表取締役・門原裕子さんと施設設計を主導し、Daysかしこの管理者としても活躍する門原美智子さんとのトークを記事にまとめました。

  • ヘルパーは全員、喀痰吸引研修を受講
  • 医療的ケアを必要とするお子さんの送迎と移動支援の現状

など、見所がいっぱいです。どうぞ最後までご覧ください!


▲目の前は、長沢の海というロケーション。出入り口が道路に面していないので、子どもの飛び出し等の心配がなく安心。

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1F-児童発達支援・放課後等デイサービス・障がい児日中一時支援『きっずかしこ』
動きの多い発達障害のお子さんも医療ケア児も、みんなが心地よく過ごせる環境づくり

ここに通う30名のうち半数の15名が医療的ケアを必要とするお子さん(2018.01現在)

  • 未就学児(2-3歳から)のお子さんは、主に日中、遅くても15時ぐらいまでの時間帯で『児童発達支援』として利用。
  • 学齢期のお子さんについては『放課後等デイサービス』として利用。現在、高校生までのお子さんが通っています。
  • 発達障害や自閉症、そして身体に障害を持つお子さん、そして医療的ケアを必要とするお子さんなどをお預かりしています。
  • 週の利用頻度はお子さんによって様々ですが、3-4回通われるお子さんが多いとのこと。

特筆すべきは、現在利用しているお子さん30名のうち、半数の15名が医療的ケアを必要とする、いわゆる医療ケア児で、胃ろうや気管切開をしているお子さん、人工呼吸器をつけた利用者さんまで受け入れ可能ということ。

設備面でのこだわりや看護師・ヘルパーを含むスタッフの配置など、医療的ケアを必要とするお子さんを受け入れるための体制について迫ります。

それでは見学スタート!


▲下駄箱に靴をしまって『きっずかしこ』のフロアに入ります。

「設備や内装にはとことんこだわりました!」と話す門原さんが案内役


▲案内してくれたのは『Daysかしこ』の管理責任者の門原さん。有資格のヘルパーとして現場で活躍するほか、大学で美術を勉強したセンスを生かして事業所内の内装・設計も主導しました。


▲出入り口には、タッチ式のロックが設置されています。

窓とドアは、安全面と機能面を考えてチョイス!

フロアに明るい光を取り込む窓には、割れやすいガラスではなく、適度な透明度を備えつつ柔らかく安全で扱いやすい素材ということで、養生などに使われる資材『ツインカーボ』の透明タイプを採用(写真左)。外からの視線をカットするほか、入り込む光のまぶしさを軽減するなど、色々な利点があるそうです。

フロアの入口の扉の素材も当初は『ツインカーボ』素材を利用していましたが、ちょっと姿が見えすぎてしまって良くないということで、不透明のボードに変更したとのこと(写真右)。

収納を活かしたスッキリ空間!子どもたちがのびのび過ごせるメインフロア

この広々したメインフロアで、子どもたちは走り回ったり、ごろりと寝転んだり、のびのび過ごしているそうですが、やけにすっきりしたこちら。おもちゃやロッカー、テーブルはどこに??

実は、驚くべき工夫とこだわりがいっぱい詰まっていました。


▲床に敷き詰められたクッションはかなり厚みがあり、弾力も十分。しっかりした素材を採用することで子どもたちの安全を確保しています。

あえて仕切りはつくらず、動きのあるお子さんも身体障害のあるお子さんも一緒に過ごせる空間づくり


▲フロア全体の中で、このスペースを身体障害のあるお子さんのリハビリスペースとしています。

また、大きいお兄さんたちが走り回っているときは小さいお子さんはここに集まってきて遊んだり、あえて仕切りは設けていませんが、その時その時の状況に合わせて子どもたち自身で遊び方を考えているようです。
伝い歩きのお子さんが移動しやすいように、この一角には子どもの背の高さに合わせて手すりが設置されています。


▲おもちゃや子どもたちの持ち物などは、左に並ぶ扉の中に収納。使うものだけをその都度、表に出すようにしているので、いつでもフロアはスッキリ!

収納の下にあえて残した空間は、子どもたちのお気に入りスペース。基地のように潜り込んで遊んだり、本を読んだりしています。

ターザン遊びは、子どもが大好きな専務のアイデア!


▲子どもたちは慣れてしまって、今では天井までよじ登れるそうです。中には、足の親指でロープを掴んで登れる子もいるのだとか。

勉強したりお絵かきをするスペースはどこにある?


▲左側のテレビの下のロールカーテンを上げると…


▲折りたたまれた木製の設備が登場。しっかり締められた2ヵ所のねじをクルクルクルクル回していくと…


▲このように展開し…


▲なんと作りつけの机が登場。この机で子どもたちがご飯を食べたりお絵かきをしたりするそうです。

子どもたちのお絵かきスペースは、壁をホワイトボードにして対応。


▲こちらの壁はホワイトボードのように使えます。材質は、システムキッチンで使われているキッチンパネル。アイデアに脱帽です。

トイレも清潔・安全。広々のバリアフリー対応

子ども用のトイレということで、個室の扉はプライバシーを確保しつつ、何かあったら中の様子を覗けるように絶妙な高さのものを採用しています。

フロアの奥には、医療的ケアの必要なお子さんのための仕切られたスペース。

ここから先は、寝たきりのお子さんが過ごせるようにベッド4床を備えたスペース。

医療的なケアをすることを前提にしているため、壁と扉で仕切られていますが透過性の高いアクリルを使用しているので、圧迫感はありません(写真左)。

状態が落ち着いているときは開放していますが、ケアが必要な時は、他の子どもたちが入ってこられないように、扉には鍵を設置しています。(写真右)。


▲ベッドで過ごすお子さんのために、壁紙のみならず天井の柄にまでこだわっています。

医療的ケアの必要なお子さんをお預かりするための体制作りと看護師やスタッフの配置

スタッフ全員が第3号の喀痰吸引研修を受けているので、医療的ケアの必要なお子さんをお預かりする際の痰の吸引や経管栄養についてはヘルパーが対応します。

併せて、経営母体である『かしこ』の訪問看護師が、お子さんの様子をみさせてもらいます。ただし、医療的ケアの必要度やお子さんの体調はしっかり見極め、少しでも不安がある場合は看護師がつきっきりで対応します。


▲事務所兼スタッフルームからは、ベッドの様子がしっかり見えるようになっています。

窓の外は車道。音に過敏なお子さんの利用を想定して、二重窓で騒音をカット


▲外はトラックなども通る車道。窓を二重にすることで騒音がカットできています。

 

やりたいことを応援します!リラックスしてもらうことを第一に考えているので、いわゆる偏差値的な教育や療育プログラムやは基本的にはしていません。子どもたちにはそれぞれやりたいことがあって、算数が好きな子は自分でやるし、折り紙を折りたい子は自分から折る。そういうやりたいことは応援しています。

読み聞かせの効果帰宅時の送迎をする際に、気持ちの切り替えができず車内で騒いでしまうお子さんに対して、スタッフミーティングで話し合いをしたんです。そして、帰りの会で読み聞かせをすることにしました。そうしたら、動きの多いお子さんもスッと集中するんですよね。それは、私自身も驚きの変化で、「この子たちにはそういう力があるんだな、すごいなって!」そうして気持ちの切り替えをしてから、車に乗ることで、送迎も安全に行えるんですよね。

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2F| 障害者福祉サービス事業所『Daysかしこ』
食事や会話、レクレーションから入浴まで!家のようにくつろげるこだわりの内装


▲エレベーターは家庭用のものを採用しています。

1階で乗りこむと、2階では反対側のドアが開くので、Uターンせずにそのまま直線で抜けられる仕様になっています。(写真左)
また、エレベーター内部は軽くカーブしていて、車椅子の人と一緒にスタッフも乗り込めるようになっています(写真右)。

階段の壁紙にもこだわり。ステップも低めに設計

建物全体に関して、壁紙はこだわって選んでいます(写真左)。階段のステップも、実は1段1段を通常より低めに設計してあるので、より安全に、負荷なく階段を使用できます(写真右)。

階段を上ってすぐの部屋は気持ちの良い相談スペース


▲階段を上ったところに相談室があります。

来客・職員用トイレの壁紙も厳選


▲2階のトイレの壁紙も華やか。

広々としたホールは眺望最高のアットホームなくつろぎ空間


▲このホールでは、利用者さんが食事したりくつろいだりするスペースとしてはもちろん、30名が入る研修室としても使えるよう設計しています。


▲窓の外に広がるのは長沢の海。毎日違う海の表情が眺められます。また、冬の空気が澄んだ日は房総半島もくっきり!

長年、高齢看護に携わってきて景観を大事にしてきた代表の門原さん。「最期の生活は、やっぱり景色のいいところで過ごしたいよね」という思いから、施設の場所もこだわりを持って選んでいます。三崎にある関連施設からは、富士山が望めます。

シーリングファンや経管栄養用のフックもホールの天井に設置


▲直接エアコンの風が当たらないように、天井にはファンをつけて空気を循環。また、テーブルの上には経管栄養を吊るすフックも設置してあるので、利用者さんの食事時間にみんなが一緒にテーブルを囲むことができます。

ホールの一角に設けられた大人向けのくつろぎスペース


▲畳の下は収納スペースになっています。フロア全体を大人の方がくつろげるように木目を基調としたインテリアで統一感を出しています。

ベッド周りのインテリアにもこだわりがいっぱい!

寝たきりの方にお家にいるように気持ちよく過ごしてもらえるように、壁紙からベッド間を仕切るレースのカーテンにまでとことんこだわっています。

ブラインドやベッド間を仕切るカーテンにもデザイン性を!胃ろうの方のためのフックも完備


▲周りは住宅なので、ベッド周りは窓からの視線と日差しをさりげなく遮るロールカーテンを設置。日中しか活動しない場なので、光を取り込みつつ、デザインも楽しめるようなものを選びました。

ベッド周りのカーテンには、さりげなく草木が描かれたデザイン性の高いレースカーテンを採用。「排泄介助もあるので迷い、カーテン業者さんにも相談しましたが、最近はエステでも使われているということを聞いたので、思い切ってこれに決めました。」(写真左)
経管栄養が摂れるように、ベッド上部の天井のレールにはフックが設置できるようになっています。(写真右)

「施設感を出したくなくて、インテリアには特にこだわって作りましたが、それも利用者さんに家にいるように心地よく過ごしてもらうため。『かしこ』内の他の施設建設にも関わらせてもらったノウハウを存分に盛り込んでいます」と門原さん。

ホールと浴室を仕切るのは透け感のあるアコーディオンカーテン


▲浴槽の出入り口に敢えて透け感のあるアコーディオンカーテンを採用したのはちょっと挑戦でしたが、ぼんやりとしたシルエットで利用者さんが入浴から出られたことがわかるので良かったです。

寝たきりの方も安全に入浴ができる介護用のお風呂を完備

浴室は、当初はユニットバスを検討しましたが、そうすると隙間が生まれて空間を有効利用できないので、希望の介護用の浴槽を導入するために、壁を塗装して、奥に向かって床を傾斜させ、スムーズに水はけができるような設計にしました。

この介護用の浴槽は、寝たきりの状態でも入浴ができるようリフトで昇降する仕様になっています(写真左)。リフトを下げると浴槽の縁に干渉して自然と頭の部分が上がる仕組み。ただ、最大限下ろしても胸の下あたりまでしか湯につからないので、気管切開の部分には水がかからず安全です。

また、このリフトは移動式なので、ベッドから利用者さんが寝たままの状態で移動して、そのままの姿勢で湯船に入ってもらうことができます(写真右)。

デメリットがあるとすると、追い炊きができないこと。そして、ちょっとでも自立できる方でも、この入浴方法になってしまいますが、やはり寝たきりの方の安全面を優先してこの浴槽を選択しています。

ホールからもお風呂場からもアクセスできる設計。トイレの内装もしっかりこだわる!


▲浴室から、アコーディオンカーテンを開けるだけでアクセスできるトイレ。ホールからはドアで利用できるようになっています。専務はもともと水道関係のお仕事を長くされてきたエキスパート。高齢者が使うことを想定すると、便座の高さは標準だと使いにくということで、位置や高さまで細かく設計。お風呂場の水栓の高さまで、利用者さんの使いやすいように経験を生かして細かくカスタマイズしています。

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[TALK]医療的ケアを提供する夢と覚悟を自信に変える設備と職員配置

ここからは、訪問看護師でもあるかしこ代表・門原さんと、ヘルパーとしての熱い思いと抜群のインテリアセンスで施設設計を主導したDayzかしこ管理者/サービス管理責任者の門原 美智子さん(写真左)とのトークで、医療的ケアにかける思いに迫ります。

『きっずかしこ』立ち上げ当初の2013年、横須賀に数えるほどしかなかった放課後等デイサービス

門原代表 放課後等デイサービス『きっずかしこ』を立ち上げた2013年当時、横須賀市内にある放課後等デイサービスは、歴史の長い『社会福祉法人 海風会』さんの『こどもひろば風/風キッズ』のほか、うちが4番目ぐらいと聞いて、その数の少なさに驚いたんですよね。

3-4年ぐらい前から急激に放課後等デイサービスの数は増えましたが、医療依存度の高い子どもたちを受け入れられるデイサービスは増えていない。なので、横須賀市の人も先日、こちらに来て、やはりそういう医療的ケアを必要とするお子さんの利用希望が多いということをお話されていきました。

正直、運営はラクじゃない。でも、やっぱり医療的ケアを必要とする方が利用できる事業所でありたい!

門原代表 以前、医療的ケアを必要とするお子さんの受け入れについて、経営者の立場で同業の方のお話を聞く機会があったんですが、

  • 医療的ケアを必要とするお子さんをお預かりするには、やはり専門的な知識が必要。
  • そうなると、経営的にはそれほどプラスにならない。
  • 受け入れ人数が増えれば増えるほど、医療従事者の配置を増やさなければいけない。
  • 受け入れられるけど、支出も多くなってしまうので、現実的には受け入れ人数を制限することになってしまう。

というように、経営者として志は高くても、信頼できる人材を集めるのにも先立つものが必要で…という限界があるのが現実なんだなと。

横須賀には今、『ライフゆう学齢デイ』さんがあるけれど、まだまだニーズはあるし、誰かがやらなきゃいけないでしょ?というところで、私自身は、医療的ケアを必要とする方のことをやりたいと腹はくくっています。

決して手を抜けない医療的ケア。ヘルパーも経管・吸引等の研修を受けて、全員が対応可

門原代表 医療的ケアを必要とする方を受け入れる以上、経営者として私は必ずスタッフは有資格者であることを条件としています。ただ、全てをナースでまかなおうとすると支出が膨大になってしまいますよね。

今は、国の方でもヘルパーさんに痰の吸引や経管栄養の研修を受けてもらって、医療ケアに対応できる質を確保できるようになっているので、うちでもヘルパーは全員、第3号の研修を受けて、自分の判断で痰の吸引ができるようにしています。

ナースも常にいるので、随時適切な方法を指導してもらって、ヘルパーさんのスキルアップを図れるようにしています。専門性の高いヘルパーさんを配置するので、通常以上にお金はかかりますが、ここはやはり譲れないところですね。

人工呼吸器を実際に扱えるのかという不安も自ら研修を受けて決断

門原代表 人工呼吸器の使用については、正直、最後まで迷いがありました。

私が看護師になった40-50年前とは人工呼吸器自体の安全性が向上しているとはいえ、果たしてそれを安全に扱えるのかという疑問が私の中にあったからです。

そこで、先日、私自身、神奈川県立こども医療センターに人工呼吸器を扱うための研修を受けに行って、そこでポイントさえ守れば、ほぼトラブルなく使えることを勉強。これなら介護職の人たちに任せても大丈夫だと判断できたので、今は、『かしこ』でも人工呼吸器をつけた利用者さんを受け入れています。

当然、呼吸器を扱うことの緊張感は私にもスタッフにもありますが、そこで立ち止まっては前に進まないので、困っている人たちのニーズに応えるために、私たち自身も不安を乗り越えるために頑張らなくちゃいけないなと。

2階の『Daysかしこ』にナースは常駐、1階の『きっずかしこ』と連携できることも強み

門原代表 今、この2階フロアにいるスタッフは、老人介護から入ってもらっていますし、研修にも随時行かせているので、ある程度のことには対応できます。また、ここには看護師が常にいるので、1階の『きっずかしこ』で何かあったら、すぐに連携が取れるのも強みです。

2階にいて子どもの声が聞こえてくるのも、とても良いんです。
そして、1階のお子さんも、ここでくつろいだりという交流も見られます。

医療的ケアが必要なお子さんには、ナースもしくは責任者が常時付き添い

門原代表 5年前の『きっずかしこ』オープン当初にお預かりした医療的ケアを必要とするお子さんについて、ナースが必ずしも常時つかなくても良いことになってはいるのですが、状況的にやはり万全を期すために常時付き添いが必要と判断。お母さんにまずは希望日を伺って、その中で看護師である私か他の看護師が常時付き添える日のみに調整してもらって受け入れてました。

移動すると痰も溢れるように出るので、学校に迎えに行くのも家に送るのも運転手とナース。車中で電源を確保して、車中で吸引して、私自身もお母さんにお子さんを引き渡すまで本当に緊張していました。でも、お母さんは慣れているとはいえ、これがずっとですから息つく暇がないだろうなと。

うちは、土曜日祭日もやっているんですが、2年ぐらい通われていた間に、土曜日・祭日なら朝から夕方まで預けてお母さんはバイトを始めることもできました。お預かりできたのは365日のうちの本当にわずかな時間でしたが、少しはお役に立てたのかなと思いましたね。

当初の計画では「送迎はやめよう。移動支援を利用してもらおう」でもこれが大誤算!?

門原代表 かしこ全体では、8名の訪問看護師を抱えていますが、こちらが安全を心がけてももらってしまうのが事故。毎回、看護師たちが無事に帰ってくるかを心配しながら待っています。だから、無事故で1日終われたことに感謝して、翌日も無事故でいようと声を掛けあってスタートしている日々。

そういうこともあって、当初、『きっずかしこ』では、送迎はやめよう、そこは業者に任せようと計画していたんですが、これまで志高く移動支援に関わって来られた方が高齢化したり、閉鎖したりということで、この2-3年で移動支援の事業所もどんどん減っているのが現状。

それでも送迎については、なんとか移動支援や介護タクシーが使えるようにと、全体の利用が集中する時間帯を避けて、この『きっずかしこ』と『Daysかしこ』の営業時間は後ろにずらして11:00から最大19:00までとしてみたものの、現実はそう甘くなくて…。

2018.03には医療機器を必要とするお子さんの送迎に対応予定

実際ふたを開けてみると大誤算!医療機器を必要とするお子さんの送迎に対応してくれる業者さんがいない。
あるいは、保護者の方が送迎してくれたら、こちらでは体制を整えて、きちんと責任もってお預かりをすれば喜んでもらえるねと思っていたのが、やはり実際は、通いたくても保護者が運転できないなどの理由で通えない利用者さんが多かった。

そこで、2018.03を目標に、『Daysかしこ』のほうで「医療機器を必要とするお子さんについてはうちで送迎をやろう!」と年末にみんなで決めて、今、車椅子を載せられる福祉車両等の準備を進めています。

医療機器を必要としない身体に障害をお持ちのお子さんは、やはり移動支援をご自身で探してもらうか、保護者の方に送迎をお願いすることになってしまうのですが…。

移動支援等の利用が広がることで、お母さん方のできることはもっと広がる!?

門原さん ご自身で送迎をしなければいけないとなると、学校が終わった後、こちらに送ってもらっても、2-3時間こちらを利用して、またお迎え。そうなると、お母さんたちの時間はほとんどないですよね。

私たちのように医療的ケアができる事業所があって、そしてそうしたお子さんの送迎に対応できる移動支援等の体制が整うことを望む声というのは、実は結構多いんです。このあたりがきちんと機能すると、例えば働きに出たいというお母さんもいるだろうなと。

医療行為に関して『かしこ』はかなり強みがある事業所。その自信を『きっずかしこ』でも!

門原さん 経営母体である『かしこ』で長年培ってきたのは、看取りを含めた老人ホーム経営の実績。人工呼吸器をつけた利用者さんも受け入れてきているので、その強みを『きっずかしこ』にも生かして、医療的ケアを必要とするお子さんを受け入れています。

医療的ケアを必要とするお子さんを受け入れるために必要なのは、介護者の知識、そしてなによりも『自信』。

門原代表 お預かりする上で、私自身がヘルパーさんにお願いできるかどうかの判断はして、その判断ができなければ看護師が常時付き添う体制をとります。困っている方のお力になってこその事業所なので、そこは私たち自身が思い切って覚悟を決めなければいけない部分だと思っています。

専門職=プロである我々が「できない」と言うのはおかしい、それが自信

門原さん 日々、医療ケアを必要とするお子さんを育てているお母さんに対して、私たちは専門職。言うなればプロ。

知識も技術もある私たちが利用を希望される方に対して、「できない」「受け入れられない」というのはおかしいと思うんですよね。プロであるという自信と覚悟をもって頑張ることが私たち事業所には必要なんだと思います。

そして、お母さん方も自分のお子さんとはいえ、日々、24時間、気の張る生活をしていらっしゃると思うので、そのうち1時間でも2時間でも休まる時間があるといいなという思いがあります。私たちが責任を持ってお預かりしますので是非、ご相談ください!

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有限会社かしこ基本情報

有限会社かしこ
〒239-0842 横須賀市長沢1-3-15
TEL/ 046-839-2424
FAX/ 046-839-2423

住宅型有料老人ホーム かしこ長沢
〒239-0842 横須賀市長沢1-2-10
TEL/ 046-845-9511
FAX/ 046-845-9512

住宅型有料老人ホーム かしこ三崎口
〒238-0111 三浦市初声町下宮田169-1
TEL/ 046-876-7444
FAX/ 046-876-7776

2018.04オープン グループホーム・ショートステイ ゆあはうす かしこ
〒238-0111 三浦市初声町下宮田169-1
TEL/ 046-876-7444
対象/ 主に医療行為を必要とする身体障害者・医療行為が必要でない身体障害者・難病患者
年齢/ 入所の場合は18-64歳、ショートステイは0-64歳まで受け入れ可能
規模/ 全9床のうち2床がショートステイ

2017.11移転オープン きっずかしこ
〒239-0842 横須賀市長沢1-2-7-1F
TEL/ 046-884-8224

2017.11オープン Dayzかしこ[障害者福祉サービス事業所 かしこ]
〒239-0842 横須賀市長沢1-2-7-2F
TEL/ 046-845-6696

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有限会社かしこ公式HP

有限会社かしこFaceboook

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【求人情報】新規オープン及び事業拡大に伴い、正社員・パート募集!
送迎の運転業務・介助・福祉医療事務など

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sukasuka-ippo代表・五本木愛の視点

今回取材させていただいた『きっずかしこ』さんに到着すると、笑顔がステキな門原さんが施設の案内をしてくださいました。

施設内の配慮ポイントや、建てるときにこだわったところ、代表や大工さんとも何度も話し合った経緯など…とても熱心にお話しくださいました。

若い方の意見を尊重してくれる理解のある代表なんだなと思いながら施設内の見学を終え、代表のお話を聞かせていただく段になって、おふたりが実は親子であることが判明。長年、看護師として、そして事業所の代表として夢を持って頑張ってこられたお母様・門原裕子さんの力になりたいとこの世界に入り、ヘルパーとして必要な資格を取り、今では、代表にしっかりと意見を言える右腕として活躍する娘の美智子さん。

おふたりのお話に思わず、門原代表が家庭や子育てと両立しながら、夢を持って働いてこられたこと。それは簡単なことではないですし、きっと色々大変なこともあった…でも、娘の美智子さんにはその熱意が伝わり、今はその夢に向かって一緒に歩いてくれている…そんなおふたりの関係に目頭が熱くなってしまいました。

私にも中学3年生の年頃の娘がいます。今は反抗期でぶつかることばかり、顔を合わせれば喧嘩になってしまう日々。とはいえ、家事という部分では一番頼りになるのも娘です。

同じ福祉の世界へ進まずとも、いつか、子どもたちが私が今、頑張っているsukasuka- ippoの活動を理解してくれる日が来たら、どんなに嬉しいだろうと、『かしこ』についての熱い思いを共有する門原代表と美智子さんのお話を聞いて思いました。

お母さまが作り上げてきたものがしっかりと娘さんに受け継がれ、そして医療行為の必要な障害児・者の方々が安心して過ごせる場所が増えていくことを、私たちsukasuka-ippoも心から応援したいと思いました。

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関連記事>>医療的ケアを必要とするお子さんを受け入れている『ライフゆう学齢デイ』

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取材日/ 2018.01.12
取材/ 五本木愛・Yuka Kaneko・takeshima satoko
写真・加工/ takeshima satoko
文・構成/ takeshima satoko

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