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【レポート】万能ではないけれど、共助の第一歩!出前トーク『教えて!災害時要援護者支援プランについて』2017.07@ひまわり園

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目次

時に甚大な被害を生む豪雨・地震などの災害。

各地で防災の意識が高まる中、地域の避難訓練のお知らせを目にしても、幼少・学齢期の障害児を連れて参加することに遠慮してしまい、なかなか現実的な防災行動に取り組めないという方は多いのではないでしょうか。

今回はそんな防災についてのお話です。

2017.07.07に横須賀市療育相談センターの通園部門・ひまわり園の保護者会で行われた『災害時要援護者支援プラン』の出前トーク(横須賀市の市民安全部/福祉部)にsukasuka-ippoも参加させてもらい、その内容をひまわり園保護者向けの臨時版及びサイト記事にまとめてみました。

▼ひまわり園保護者向けに作ったダイジェスト版『ひまわり通信 臨時版』(PDFで開きます)

もっと詳しい情報をお知りになりたい方は横須賀市HPをチェック!>>横須賀市災害時要援護者支援プランについて


▲幼少の障害児を育てるひまわり園保護者に向けてわかりやすく説明してくれた市民安全部の鈴木係長

実は身近な防災対策『災害時要援護者支援プラン』

災害時に自力で避難することが困難な人=『災害時要援護者』

高齢者等の方々はもちろん、障害児者の多くがこの「災害時要援護者」に該当します。

2004年の豪雨被害から生まれた『災害時要援護者支援プラン』

『災害時要援護者支援プラン』と聞くと、地震対策として作られたと思われがちですが、実は豪雨被害の反省から生まれました。

2004(平成16)年7月
新潟・福島・福井を襲った豪雨では、死者行方不明者が21名、そのうち17名が65歳以上の高齢者でした。
国は、こうした災害が起こるたびに、色々な反省を踏まえて対策をとってきましたが、この2004年の被害の反省をもとに『災害時要援護者支援対策』が進められていきます。

2005(平成17)年3月
内閣府が『災害時要援護者の避難支援ガイドライン』を作成し、全国の市町村に配って取り組みを行うように指導。この時はあくまでもガイドライン、つまり任意の取り組みでした。

2013(平成25)年6月
災害対策基本法が改正されて、この要援護者対策が法律に位置づけられました。

ロゴコップくん
横須賀市では、2005年のガイドラインの発行を受けて2年後の2007年、つまり2013年に法律に位置づけられるずっと前から、取り組みを開始していたそうです。

災害時は公的機関の初動がなかなか行き届かない!?

災害のニュースなどで救助活動を目にしますが、実際に地震や水害などの大きな災害が起こった時には、消防・自衛隊・市町村・警察、そして神奈川県の行政の人間たちの初動が隅々まで行き届くことが難しい様態となります。

防災の限界、それを補うのは減災

『防災』は時間とお金がかかるので限界が…
例えばがけ崩れが起きないように工事をしたり、津波が来た時に備えて防波堤を高くしたりするのが防災対策。ただし、これにはお金も時間もかかります。完璧にするのはなかなか難しい現状があります。

連携することで地域で取り組める『減災』…
災害を止めることはできないので、災害が来ることを前提として、どうしたら被害を少なくできるのかを考え、取り組むのが減災です。減災を考える上でポイントになるのは『自助・共助・公助』の連携です。

『自助・共助・公助』のイメージ

この『共助』を進めるために横須賀市では災害時要援護者支援プランを推進

2005(平成17)年
国から『災害時要援護者の避難支援ガイドライン』が出ました。

2007(平成19)年5月
横須賀市の防災部局と福祉部局で検討開始。

2008(平成20)年末
横須賀市災害時要援護者支援プランを策定。

2009(平成21)年7月
これを『広報よこすか』で公表。一人暮らし高齢者の同意登録作業から開始。

2010(平成22)年2月
マニュアル策定。

同年7月
名簿を町内会自治会長に情報として提供開始。当時は211団体の町内で受領(提供率は61.3%)

要援護者登録から始まる支援プランの流れ

実は目にしている方も多い!?『災害時要援護者支援登録カード』

この支援プランの活用は、登録カードに記入して福祉部に提出することから始まります。

ダウンロードは横須賀市のHP>>横須賀市災害時要援護者支援プランについて

ロゴコップくん
療育手帳や障害手帳の更新時などに、書類と同封されて送られてくるので目にしたことのある方も多いはず。

災害時要援護者支援登録カードを提出すると…

訪問にあたっては、可能な範囲で個別調査票を作ってもらっています。どのような支援が必要なのかを記入するほか、支援者を個人もしくは班単位で特定して記入しておける欄もあります。

登録することで期待できる支援の内容は…

  1. 安否確認
  2. 災害時の情報の伝達
  3. 避難誘導活動など

ただし、全ての支援が保障されるわけではなく、安否確認を第一に、その他については地域の実状に合わせて可能な範囲でお願いをしています。

災害時要援護者支援対象者の範囲

  1. 高齢福祉課にひとり暮らし高齢者として登録している方
  2. 重度障害者等(身体障害者等級が1-2級の人・知的障害障害の人・精神障害等級が1級の人)
  3. 要介護支援認定者(要介護3-5の人)
  4. その他、市長が認める人(状況を福祉部の方で勘案して上記1-3までに該当しなくても、要援護者登録の必要があると認めた方は登録できます。具体的には高齢者世帯の方が多くを占めています)

横須賀市の登録状況、ひとり暮らし高齢者の登録率は高め

ロゴコップくん
障害児者の登録については、まだまだ課題がありそうです。

葛藤抱えつつ支援の取り組みを進めてきた町内会・自治会

横須賀の課題が透ける地域の自治体の声

各町内会・自治会から要請を受けて、市では年間10回程度、このような出前トークで説明に伺うのですが、その時に共通して聞かれる意見は以下の4つ。

  • 支援者の減少。
    横須賀は全国的に高齢化が進んでいて、これに伴い町内の役員の担い手も高齢化。プランに対する支援者の数が根本的に足りないという声は市内でもどんどん増えています。
  • 支援を困難にさせる地域の立地状況の問題。
    本来、横須賀は山が多く、車が入らないような山の中、または一軒一軒の距離が離れている町内会も多数。一方で、平らなところで若い方がたくさんお住まいの町内会も存在。こうした立地条件によって条件の異なる町内会がある。
  • 要援護者の個人情報の管理
    個人情報の管理を誰がどこまでするべきかわかりにくい。個人情報の取り扱いがシビアになっている昨今、町内会長さんが持っている情報をどこまでの支援者に公開すればよいのかわからないという悩みも切実。
  • 災害時の法的な責任の所在
    支援者を定めた場合、災害時に法的な責任が生じることがあるのか、もしそうであれば支援者の負担は相当大きいのではないかというご意見も多く聞かれます。これに関しては、法的な責任は生じないということを市としてはっきり申し上げています。そして、共助の前にまずは支援者自身の安全を確保してくださいということ。つまり、自助を成立させたのちに共助、というお願いを強調しています。また、色々なお願いを掲げていますが、状況によって難しいこともあることは承知しているので、まずは安否確認だけでもお願いできればと思っています。

支援者側(町内会・自治会)の取り組み/
市内365の町内会のうち、名簿の受け取りを了承してくれている町内会は291

平成22年当初
地域の基盤であるという考えに基づき町内会長・自治会長を対象に情報提供。
大規模災害が発生した際の行政による公助には限界があるため、地域の共助による要援護者支援を迅速かつ的確に進めるため、市が必要な情報を地域に提供し、これをもとに町内会・自治会で要援護者の生命・身体の安全確保に取り組んでもらうことになりました。

平成24年5月
東日本大震災の発生を受けて、民生委員さん・児童委員さんに情報提供開始。
市としては、こうした共助の取り組みを地域の方に辛抱強くお願いを続けてきましたが、東日本大震災以降、急激に関心が高まりました。

平成28年現在
横須賀市内には365の町内会・自治会がありますが、その中で登録している方がいる町内会は347。
この347のうち、名簿の受け取りを了承してくれている町内会は291。残り56町内会・自治会はいまだ受け取りが進んでいませんが、町内会長さんの任期満了に伴う交代の際などに名簿の新規受け取り先は少しずつ増えています。

横須賀では統一的なマニュアルは使えない。ならば『可能な範囲の支援』から

マニュアルができてすぐは、マニュアル通りに進めてくださいと呼びかけてきましたが、やはりプランを進めていくうえで色々な状況があることがわかり、市としては、統一的に進めていくことは無理だろうという判断をしました。

例えば、山の中にある町内会と平地の町内会を同一的に進めていくことは不可能なので、その町内会に合った形でのプランの運用をお願いしています。

難しいけど柔軟に活用したい個人情報と要援護者名簿

また、このプランを運用していく中で、個人情報の管理はとても重要になっています。

個人情報については、地域に提供することを了承したうえで共助の取り組みに参加したいという要援護者(登録者)の名簿を、地域で要援護者支援に取り組む目的で町内会長・自治会長さんにお渡ししています。

少しでも漏れることはあってはならないということは前提としてありますが、プランを進めるうえで最低限必要な個人情報は共有していかないと事態は進みません。例えば災害時の訪問調査以外では使わないようにという約束のもとで、ある程度の個人情報の共有はしていただきたいとお願いしています。

万能ではないけれど、地域との連携の第一歩!自らも行動を

『要援護者支援プラン』は万能ではない!?登録するうえでの注意点

  • 登録後、名簿として町内会・自治会に届いているかは要確認
    受け取ることを了承してくださった町内会・自治会に名簿をお配りしています。つまり、受け取りをされていない町内会・自治会に登録をされても、情報が届かないという状況があります。
  • 登録することで災害時に必ず支援が受けられるというものではない
    これはあくまでも共助の一環、取り組みは地域によって様々ですので、万全の支援が受けられるものではないということ。
  • 自らも共助のために連携作りに参加
    地域における防災活動(防災訓練・避難訓練)には積極的に参加してください。登録したら終わりというのではなく、日ごろから顔の見える関係づくりを自ら作っていく努力をお願いします。

災害時支援を推進するために、昔はこういう名簿がなくても支援ができたかもしれません。でも、時代の流れとして、こうした名簿がないと、地域で繋がりが作りにくい状況になっています。

我々としてはこうした名簿提供がコミュニケーション、地域で顔の見える関係づくりのきっかけとなればいいなと考えております。地域の見守り活動についても、皆さん方と地域の支援者の方々との協力が非常に大切となってきます。
可能な限り日頃から地域の連携を深めていただくようお願いします。

【役割分担/窓口】市民安全部は支援者周知、福祉部は登録者対応

市民安全部…要援護者支援プランの周知・啓発
主に支援する側の方々にプランの説明や地域に名簿を渡す取り組みを地域の支援者とともに進めています。

福祉部…登録者の新規受付・登録内容の変更受付
・高齢者であれば高齢福祉課
・障害者は障害福祉課
・要介護の方は介護保険課
それぞれ窓口が異なりますが、トータルとして福祉部で要援護者登録の受付をしています。
申込者への説明・援護を必要とする方々への啓発も進めています。
その他、個人情報の取扱いについては、登録データについては福祉部で一元管理をしています。

防災訓練、参加すれば得られるものも多いはず!by 障害福祉課廣川さん

昨年、災害時避難所の訓練に参加させていただきましたが、そこにも障害をお持ちの方やご家族の方がいらっしゃいました。

実際に参加された町内会の方々が

  • こういう方が地域にいらっしゃるんだな
  • 実際、訓練で扱ってみたら車椅子がこんなに大変なんだって初めて知った!

ということをおっしゃっていて、直接、親御さんと町内の方がどんなことが大変なのかを話している様子も見られました。

中には暴れちゃうお子さんがいらっしゃっても、そういうことも実際に見て知ってもらうことで、大変さを伝えるコミュニケーションができるんですよね。

実際に参加して初めて分かったことが多いと、ご家族の方、町内の方、それぞれがおっしゃっていました。

ですから、地域によって状況はいろいろあると思いますが、是非、機会がありましたら地域の中で訓練になるべく積極的に出ていただいて、避難所の訓練がどういうものかを実際に理解していただくことがいいのかなと思います。

・・・

保護者からの素朴な質問!

[Q1]子どもはまだ小さい上に、障害があってバタバタしてしまう。地域の避難訓練に出るのもプレッシャーになるんですが、行ったほうがいいとは思うけれど…

地域の状況によっても、みなさんのお気持ちも難しいと思うんですが、災害時に地域の協力を得るためには、地域の方々にご自分の状況を知ってもらわないといけないと思うんですよね。

災害が起こった時に、「私は登録しているから助けて!」と主張してもなかなか難しいと思います。

まずは知ってもらうために、防災訓練に限らなくてもいいと思います。地域の活動やコミュニケーションが取れる機会があれば参加して、皆さんの状況を知ってもらうことが大切だと思います。

[Q2]私は既に子どものことで提出さていただいたんですが、それが受け取ってもらえる地域とそうでない地域があるということで、それを知る方法はあるのでしょうか。

一覧として公開はしていませんが、危機管理課にお問い合わせいただければお答えすることができますので、是非お問い合わせください。

[Q3]そもそも支援というのは、どのようなものになりますか?

マニュアル上では、

  • 災害の発生直後に安否確認をしてもらう
  • 地震などでご自宅が倒壊するなど、ご自宅にとどまることができない場合は避難所へ誘導するお手伝い。
  • ご自宅で過ごすことができる状況でも、食料や生活物資がないなどの連絡をしてもらう。

ただ、必ずしもこの全てを共助の範囲でできるとは言えないのですが、まずは安否確認を第一に町内会・自治会にはお願いしています。

sukasuka-ippo代表・五本木愛の視点

今、いろいろな会議でも防災については話し合われています。

ここのところ、地震や豪雨被害なども多く、いつどこで災害が起こるかわかりません。

今地震が起きたら?発災したら?
障害児がいればなおのこと、その障害特性に応じた備えが必要です。そのために、保護者として何ができるのか、何をやっておくべきなのかを日頃から考えておかなければならないと思います。

偏食に応じた非常食の確保やお過ごしグッズを含めた備蓄品の準備はもちろんですが、共助の第一歩として『災害時要援護者支援登録カード』を提出したり、地域の避難訓練に参加してみるなどの『準備』も必要なのではないでしょうか。

この機会に、障害児者ならではの災害の備えについて、ご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか?

・・・

2017.07.07
横須賀市療育相談センター・通園部門(ひまわり園)保護者会主催の出前トーク
登壇者/ 横須賀市役所 市民安全部危機管理課・鈴木さん、石川さん、障害福祉課・廣川さん
参加・写真・加工/ misa・reiko
テープ起こし・文/ takeshima satoko

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